在宅勤務で役立った30年以上をともに過ごす祖父から贈られた椅子の話
子供部屋おじさんといった言葉が世に出回って久しい。誰にとっても自室は大体かつて子供部屋だったろうから、実家に居続ければ凡その人間が子供部屋おじさんあるいはおばさんになっていると思われるが、そんな子供部屋によく置かれている学習机に備え付けられた椅子を30年以上にわたって持ち続けている人間はどれくらいいるだろうか。いわんや使っている人間となるとほとんど居ないのでなかろうか。

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30年以上ともに過ごした祖父から贈られた椅子との生活
病を発症し、いわゆる一般就労ができなくなった時期から、早いもので10年以上もの月日が過ぎ去った。怪我の功名と言えば聞こえは良いが、運と縁に恵まれたお陰で、在宅勤務の形で自宅に居ながらにして仕事をする機会を得られ、何とか人並みの生活をできるようになっている。この辺りの話は先日書いた通りだ。
人並みの生活をできるようになったことで周囲から結婚について問われるなど年相応に圧力を受けるようになったのは何とも悩ましいが、さりとてそれだけ普通の生活ができるようになったのだと思えもするため、人生何がどうなるか分からないものだなと感慨に耽りもする。
もっとも結婚云々については相手が居なければできないので、毎度反駁せざるを得ず、それはそれで心苦しさがあるけれども、病に独り苦しんでいた時分にはそんな話はおくびにも出さなかった点に鑑みるに、世の中は現金なものだと思わずにいられない。とはいえ世の中そういうものなのだろう。
さて、椅子の話をしようと思う。岩手県に住んでいることもあって、日常生活において使う机と言えば炬燵で、だから椅子を使うのは椅子に座って作業したいとき、とりわけ春から秋にかけての寒くない時期に限定されていた。それは学習机を早くに亡くなった祖父に贈られたときからずっとである。
まして10年以上以前、病に見舞われた筆者は寝たきりとまでは言わないまでも、健常な日常を送るのが難しく、ほぼほぼ横になって過ごす日々を過ごし、何とか起きて仕事を行えても精々が一時間から二時間程度、その後は崩れ落ちて眠るといった始末だった。
そんな苦を繰る日々を過ごす中で、徐々に仕事に向かえる時間が増えていった。すると炬燵でPCに向かうのが辛くなっていった。毎日のように犬が膝の上にやってきては寝ていたので、尚更辛さがあった。そこで、炬燵の脚に台座を二つ重ねて座椅子で作業をするようにした。
ところがこの座椅子も曲者で、多少膝を曲げた姿勢で作業できるようになっただけで、作業中の上半身の辛さはさほど和らぐことなく、また今度は犬が跳び乗り降りするようになったので、やはり辛い状態が続いた。そこで、まとまった稼ぎを得られるタイミングで、炬燵そのものを変えることにした。
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いわゆるダイニング炬燵ーー高脚の炬燵を導入した。なお、このタイプの炬燵は今尚重宝しており、最初に買った1~2人用のタイプ、次に購入した2人~4人用のタイプの双方を利用している。ダイニング炬燵の導入により、兼ねてから感じていた辛さを概ね解消できるようになった。
犬は自力で上がれなくなり、膝上で寝るために鳴くようになったので、都度上げ下げする負担が発生するようになった。一方で、炬燵が高くなったお陰で中の空間が丁度良い広さの暗がりになったので、温かな寝床にもなった。膝上が暑くなったら炬燵の中で横たわりいびきをかくシーンがよく見られるようになった。蹴らないように神経を使う必要性が生じたのは言うまでもない。犬が死んだ今となっては昔の話である。
ダイニング炬燵を導入したとき、困ったのが椅子だ。ダイニング炬燵用の椅子が市販されているが、筆者の用途は仕事である。ダイニング炬燵用の椅子は比較的重く、動かし難い。また肘掛がないか、その具合が好くない。そこで出番が訪れたのが冒頭で紹介した学習机に備え付けられた椅子である。試しに使ってみたところ丁度好かったのだ。
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