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【ギリシア哲学】『プロタゴラス』

〖はじめに〗

世界は何からできているのか。
初期の哲学者たちは
宇宙の根源を考えていました。

タレス
「万物の根源は水」

アナクシメネス
「万物の根源は空気」

しかしある人物が
問いの方向を変えます。

宇宙ではなく人間へ。
その人物が
プロタゴラスです。

彼はこう言いました。
「人間は万物の尺度である」

2500年前の言葉ですが
今でも哲学の中心テーマです。

自然の哲学から
人間の哲学へ。

ここから哲学は
新しい段階に入ります。

① 人間は万物の尺度

プロタゴラスの最も有名な言葉。
「人間は万物の尺度である」
意味はこうです。

• 物事の正しさは人によって変わる
• 絶対的な真理は存在しない
• 判断の基準は人間である

例えば

同じ風でも

• 寒いと感じる人
• 寒くないと感じる人

がいます。
どちらが正しいでしょうか。
プロタゴラスは言います。

どちらも正しい。

なぜなら
それぞれの人にとって
それが現実だからです。

この考え方は
相対主義
と呼ばれます。

※相対主義
真理や価値は立場によって変わるという考え。

② ソフィストの代表

プロタゴラスは
ソフィスト
と呼ばれる人々の代表です。

ソフィストとは
• 弁論術の教師
• 政治教育者
• 知識人

でした。
当時のアテネでは
民主政治が発展していました。

民主政治では
• 演説
• 議論
• 説得

が政治を動かします。
そのため

話す技術
議論する技術
が重要になりました。

そこで登場したのが
ソフィストです。

彼らは
• 政治
• 弁論
• 議論術

を教える
職業教師でした。

プロタゴラスは
その中でも最も有名な人物でした。

③ 弱い議論を強くする

ソフィストは
議論の技術
を重視しました。

プロタゴラスは
「弱い議論を強くする」
と言われます。

これは
• 不利な立場でも
• 論理と話術で
• 有利に見せる

という技術です。

当時の
• 裁判
• 政治

では
非常に重要でした。

例えるなら
現代の弁護士や政治家の議論術
に近いものです。

ソフィストは後世しばしば
「詭弁派」とも呼ばれました。

これはプラトンなどによる批判の影響で
真理より説得を重視する人々と
見られたためです。



④ 神についての不可知論

プロタゴラスは
神についても有名な言葉を残しています。

彼はこう言いました。
「神々について私は知ることができない」

理由は二つです。
• 問題が難しすぎる
• 人生が短すぎる

つまり

神が
• 存在する
• 存在しない

どちらも
人間には判断できない。

この立場は
不可知論
と呼ばれます。

この発言は
当時かなり過激でした。

伝承によれば

プロタゴラスはアテネを追放され
彼の著作は
アテネで焼かれた
とも言われています。

※不可知論
人間には判断できない問題があるという立場。

⑤ プロタゴラスの政治思想

プロタゴラスは
政治についても重要な考えを持っていました。

プラトンの対話篇
『プロタゴラス』では

有名な神話が語られます。
人間が社会を作るとき
神ゼウスは

すべての人に
• 正義
• 恥の感覚

を与えた
とされます。
つまり
政治に必要な徳は

一部の人だけのものではなく
すべての人にある
という考えです。

これは
民主政治を支える
思想でもありました。

⑥ ソクラテスとの対立

プロタゴラスの思想は
後にソクラテス
と衝突します。

理由は
真理の考え方が違うからです。

プロタゴラス

・真理は人によって変わる
・社会の中で説得する技術が重要

ソクラテス

・真理は普遍的に存在する
・哲学は魂をよりよくする探求

つまり

説得の技術
vs
真理の探求

という対立です。

これは
相対主義 vs 普遍主義
とも言えます。

この対立から

・ソクラテス
・プラトン
・アリストテレス

へと続く
西洋哲学の大きな流れ
が生まれていきます。
アブデラ(トラキア地方)

【哲学者データ】

■ 名前   プロタゴラス(Protagoras)
■ 生没   前490頃 – 前420頃
■ 師匠  
不明(デモクリトスと交流の伝承あり)
■ 弟子  テオドロス、アンティモイロスなど
■ 地域  
アブデラ(トラキア地方)
■ 学派  ソフィスト
■ 系統  ソフィスト思想
■ 立場  相対主義・人間中心主義
■ 主要概念

・人間は万物の尺度である  
・真理は人によって異なる  
・弁論(レトリック)教育  
・社会契約的政治思想  

■ 思想の特徴

① 人間は万物の尺度  
「人間は万物の尺度である」
という言葉で有名。

意味

・物事の正しさは人によって変わる  
・絶対的真理は存在しない  
・判断基準は人間である  

② 相対主義  

善悪や正義などは  
絶対ではなく社会や人によって変わると考えた。

つまり

・正義  
・善悪  
・価値  

は固定されたものではない。

③ 教育思想  

プロタゴラスは職業教師でもあった。
教えた内容

・政治  
・弁論  
・議論技術  

民主政アテネにおいて  
政治家に必要な能力を教育した。

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【哲学者まとめ記事】

〖参考文献〗

プラトン『プロタゴラス』

プラトン『テアイテトス』

納富信留『ソフィストとは誰か』岩波書店

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