サンタクロースのモデル、聖ニコラウスの正体とは
12月6日、南ドイツ・バイエルンには子供たちにはお馴染みの聖ニコラウスがプレゼントを配って歩きます。赤い司教の帽子(ミトラ)に赤いマント、そして長くて白い髭…。どこかで見覚えのあるその風貌。それは「サンタクロース」そのものです。しかし、ここバイエルンでニコラウスの事をサンタクロースと発言してしまった日には、多くの反感を買うことになります。それはどうしてなのでしょう…。
今回はバイエルンのアドヴェント(アドベント/待降節)に欠かせない聖人の中でも大きな役割を担っている「Der heilige Nikolaus/St. Nikolaus 聖ニコラウス」のお話を紹介します。
【聖ニコラウスの日とは?】

12月6日のニコラウスの日は、子共たちの守護聖人として人気の高い、ミュラの聖ニコラウスの命日に由来しています。
🎁ドイツ全国における「ニコラウスの日」🎁
子供たちはニコラウスの日の前夜(12月5日)に長靴や靴を家の前に置き、ニコラウスから贈り物をもらうのを楽しみにしながらベッドに入ります。靴の中にはナッツ、りんご、レープクーヘン、チョコレートなどのささやかなプレゼントが入れられます。
🎁バイエルンでの「ニコラウスの日」🎁
バイエルンでは多くの地域で本物のニコラウスが12月5日または6日の夕方にやって来ます。そしてニコラウスは子供たちに「今年はいい子にしていましたか?」や「パパやママに言われたことをちゃんと守りましたか?」などと尋ねます。
この地域では、ニコラウスにはいつも真っ黒い顔をした恐ろしい姿の“クランプス(Krampus)”が同行し、悪い子供たちを怖がらせます。日本で言う、なまはげに似た存在ですね。「この1年の良い行いにはご褒美を、あまり良くなかった行いには戒めを」というものです。
※本物のニコラウスが来られない場合は長靴や靴を外に出しておき、プレゼンを待ちます。私たちの住む地域では5日の夜にニコラウスが来る習わしのため、子供たちも5日のうちにプレゼントを受け取ることができます。
🎁クリスマスプレゼントはいつもらう?🎁
かつてバイエルンではクリスマスの贈り物は「ニコラウスの日」のみでした。しかし、聖人を認めないプロテスタント教会(マルティン・ルター)の宗教改革によって、贈り物の日はクリスマス・イヴへと変更されました。この地域では、贈り物を運ぶ役目はニコラウスからクリストキント(幼子キリスト)へと引き継がれるようになったのです。
ドイツ国内では、北、中央、東のエリアではWeihnachtsmann(サンタクロース)が、南ドイツにはクリストキントがクリスマスプレゼントを届けに来ます。
【聖ニコラウスとは】

ニコラウスはおおよそ西暦270年頃、リュキアのパタラ(現在のトルコ南岸の一部)で生まれました。
後に彼はミラの司教に叙階されたことから、「ミラの聖ニコラウス」と言う名で現在も多く知られています。
彼は西暦345〜351年頃の12月6日に亡くなりました。
【聖ニコラウスの伝説】
聖ニコラウスにまつわる有名な三つの伝説を紹介したいと思います。
①ニコラウスと三つの金塊

まだ司教になる前のニコラウスが、夜中に貧しい男の家の窓から三つの金塊を投げ入れたという話です。これによって、男は3人の娘を売らなければならない状況でしたが、彼のお陰で家族は救われました。そのため、ニコラウスは多くの絵で金箔を施したリンゴや金塊を持った姿で表されています。
②穀物の奇跡で飢饉を終わらせる
昔、ミュラの町が大干ばつに見舞われたとき、人々は飢えに苦しみました。ちょうど、大量の穀物を積んだ船がミュラに停泊していましたが、船員たちは皇帝から厳命されていたため、積荷を分け与えようとしませんでした。
しかしニコラウスは「皇帝のもとに戻った時に、穀物の量が減ることは無いから安心してください」と、船員たちを説得し、少量の穀物を分けてもらいました。そして不思議なことに、減っているはずの穀物の量は増えており、皇帝に元からあった量を届けることができました。その少量の穀物で人々はなんと2年間も暮らすことができたそうです。
③船乗りの守護聖人

あるとき、船乗りが遭難しそうになっていたところ、ニコラウスが現れ、彼らを励まし、さらには自らも手助けして、船が無事に危機を脱することができたというのです。後に乗組員たちがミュラの教会に入ると、そこで彼らは助けてくれた人物が司教であったことに気づいたと伝えられています。そのため、ニコラウスは今日でも、船乗りたちの守護聖人としても知られています。
【終わりに】
上記の伝説以外にも、ニコラウスにまつわる伝説は数えきれません。そしてその中でも子供に関わる伝説が多かったことから、「子供たちの守護神」として人々の心に残っています。いつか彼の他の伝説についてもお話できればと思います。
私の住む村の教会には「St.Nikolaus」という名前がつけられており、ニコラウスに関する絵や像を沢山見ることができます。記事中の写真は教会に飾られている彼の伝説に関する絵を拝借しました。
私の村の近くではイン川が流れていることから、「船乗りたちの守護聖人」と呼ばれるニコラウスがこの地域ではよく崇められています。

イン川を流れる船の安全を祈る
最後までお読みいただきありがとうございました。
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「バイエルンの伝統的なクリスマスの風習」
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参考:
Weihnachten wie es früher war - Weihnachtsbräuche Bayern
Nikolaus von Myra: Drei Geschichten aus dem Leben des Heiligen
