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京極派、その始まり ~京極派スペース抄~

「心のままにことばの匂ひゆく」ように歌を詠む――鎌倉・南北朝時代の和歌文脈において異色であったこの歌論を、京極派という和歌グループは選択しました。
その京極派について、X(旧Twitter)にて毎週お話しています。

この記事は、そんな京極派スペースの音声を読み物として整えた京極派スペーステキスト版の一部を抜粋したものです。



2026年3月7日放送スペース「伏見院の春歌の変遷」、4月1日テキスト化した「「心のままに」の失敗と成功」より。

京極派の始まり方についてお話した箇所を、今回テキスト版から抜粋しご紹介します。


全文を読みたい方はこちら(テキスト版)
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京極派、その始まり ~京極派スペース抄~

鍛えられていない心の「ありのまま」を詠んだところで、それは独り善がりでしかない。


そういうことに、京極派歌人たちが初めから気づいていたわけではないけれど、
心のままに詞を匂わせて歌を詠むということをしながら

「でもこれが完成形ではない。どうしたらいいんだ? 『心のままに』というこの歌論は絶対に間違っていないとして、実践はどうしたらいいんだ?? 」

と試行錯誤した。それが、前期京極派、特に初期の歌人たちの、最初の十数年でした。


「心のままに」というのは、当時の和歌の常識としてはかなりあり得ない発想だった。
そしてその歌論は、のちのち京極派になる歌人たちにとって、当初「え、心のままに歌を詠んでいいの!? 」という感じだった。

当時の和歌の常識では、「詠むべき心」に沿って歌は詠むものでした。

特に、初期の京極派歌人たちはその「詠むべき心」に沿って歌を詠むという伝統的・二条派的な和歌の詠み方なんて余裕でできる人たちです。
中には、京極派の始まった時点で勅撰歌人である人、つまりその二条派的な詠み方で詠んだ歌がすでに勅撰和歌集に入っているという人もいました。

ですので彼らは当時の和歌の常識も持っていたし、同時に文学的にとても教養豊かで、心も柔軟で柔らかだった、という条件が重なって、
まだ天皇になる前の春宮時代の伏見天皇(熙仁親王)の周りに若い貴族たちが集って文学グループを形成します。

そこに京極為兼というちょっと変わり者の人が加わって、「心のままに」という歌論を打ち立てた。
そこで交流するうちに

「この文学青年たちとなら新しいことができそうだ。二条派と違う歌の詠み方ができそうだ」

という確信が生まれ、「心のままに」という歌論を固めるに至ったし、『為兼卿和歌抄』という歌論書を著したのだろう、と考えられます。


そんな形で、後々私たちが「京極派」と呼ぶグループの活動が始まります。


最初のうちはとにかく「伝統に囚われない、常識に囚われない」ということに逆に囚われた部分もあって、
奇をてらった歌の詠み方をしたり、和歌としてはありえないような音数で字余りや字足らずをしたり、色々ありました。


けれどもそこからいろんな試行錯誤を経て、約20年後に突如として、今私たちが「京極派和歌」として知っているような和歌を詠むようになります。
いや、今どのくらいの方に京極派和歌が知られているかは分かりませんが、あの美しく清新な、写実的な和歌の数々が約20年後に生まれます。

そしてそこからまた10年ぐらい頑張って、『玉葉和歌集』という前期京極派の集大成の勅撰集に結実した、ということがありました。


「京極派スペース抄」は以上です。ありがとうございました。


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京極派スペース抄


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この記事を書いた人

photo by ミカアンドロイド

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