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愛にあふれた人のマジギレ ~京極派スペース抄~

「心のままにことばの匂ひゆく」ように歌を詠む――鎌倉・南北朝時代の和歌文脈において異色であったこの歌論を、京極派という和歌グループは選択しました。
その京極派について、X(旧Twitter)にて毎週お話しています。

この記事は、そんな京極派スペースの音声を読み物として整えた京極派スペーステキスト版の一部を抜粋したものです。



2026年3月20日放送スペース「桜を待つ京極派和歌」
4月29日テキスト化した「待花――木々の心、人の心」より。

多くの人に愛されるお人柄の永福門院が絶対に許さなかったとある事象。
これについてお話した箇所を、今回テキスト版から抜粋しご紹介します。


全文を読みたい方はこちら(テキスト版)
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愛にあふれた人のマジギレ ~京極派スペース抄~

二条為世と京極為兼は永福門院との関係性が異なるので、一概に並べられないんですが、いちおう並べると、

二条為世が勅撰和歌集を編むときに、永福門院を含む京極派の人たちに詠歌資料の提出を求め、京極派側も応じたことがあるんです。
二条派と京極派はバチバチしていたけれど、勅撰集編纂という国家事業ですから、まあ資料ぐらい出すかということで。

そのなかから為世が永福門院のお歌を撰んで入れたのはいいんですが、
京極派特有の言い回しを嫌って、勝手に添削というか、意味の変わるレベルでの改悪をしてしまったんですね。

和歌として馴染んだ表現ではないけれど、歌の意味上それでなければならないという必然性があって選ばれた表現なのに、
為世が「そんな言い回しはふつうしない」ということで、ふつうの言い回しに直し、余った第三句の5音分、余計な語を入れて、意味を変えてしまったんです。

それに対して永福門院はぶちギレた。
為世は為世で「意味は変わっていません。添削の範囲です」と言い張って、
永福門院は「そう言い張るならその歌は切り出せ。そんな形で載せるな」と抗議した、
だけどけっきょくその改悪の形で残ってしまったんですよ。「永福門院作」として。

永福門院はそれに本当に怒っていて、その後一切の二条派系の勅撰和歌集に京極派として絶対に資料を出すな、と京極派の面々に固く命じています。

なので、それ以降の二条派系の勅撰和歌集には、ある時期以降の京極派の歌というのが全然入っていないんですよ。
京極派歌人の歌は、結構昔の歌しか入っていない。
おそらく二条派側にはその事件以降の京極派の詠歌資料が一切渡らなかった、なのでそれ以降の二条派系勅撰集でははるか昔に手に入れた京極派の詠歌資料のみを参照するしかなかったのだろう、
ということが推測されるんです。


永福門院はとても魅力的な女性です。
貴族のいいところのお嬢さんであり、伏見天皇の中宮になった方ですから、貴族のお嬢様として天皇の奥様としておっとりと柔和なところもあって、親しみやすい方で。
家族にも本当に愛されているしね。実家でも婚家でも愛されている、という方なんだけど、
一方でものすごく強い心を持っている方だから、為世のそういう横暴を許さなかったんです。

そして、自分の後輩に当たる京極派歌人たちに「二条派の勅撰集に絶対に協力するな、歌稿など絶対に渡すな」と厳命している。


「京極派スペース抄」は以上です。ありがとうございました。


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京極派スペース抄


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この記事を書いた人

photo by ミカアンドロイド

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