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「夏祓」詠の出来るまで ~和歌の推敲記~

隠岐後鳥羽院和歌大賞にて古事記編纂1300年記念大賞を頂いたのを機に、梶間和歌、冷泉家時雨亭しぐれてい文庫に入会いたしました。
(大賞関係の記事はこちらに連載しております

そちらの年4回の会報に、題詠の和歌を投稿するコーナーがございます。
3回目の投稿歌もこのたび無事撰を通過し、掲載されましたので、
掲載歌、投稿歌、またその形に至るまでの推敲の様子などをnoteにて公開いたします。

ご自身で和歌をお詠みになる方の参考や刺激としてはもちろん、
歌詠みさんでなくとも、いち歌人が歌を詠み、推敲する過程に触れてみたいという方はぜひお楽しみくださいませ。




夏祓なつばらへ」詠の出来るまで ~和歌の推敲記~

会報「志くれてい」掲載歌

底清き早瀬に麻の葉をなかし憂さみなつきの夏祓へかな 梶間和歌

「志くれてい」読者投稿のお歌は濁点を付さずに表記するようですので、私も濁点なしで表記、投稿しております。

参考歌
底清き河瀬の水は麻の葉に白木綿しらゆふかけて禊をぞする 西園寺公相きんすけ 宝治百首1169
川水に憂き言の葉はみなつきの禊の瀬々に流す今日かな 河内 堀河百首560


おおまかな推敲過程

・題の発表とあわせて付された、冷泉貴実子先生の解説を読み込む
・各種定数歌で「夏祓」詠の先例を読み込む
・「夏祓」題で用いるべき語や頻出する掛詞などを把握する
・完成度を気にせず歌を詠む、詠みまくる
・推敲と削除を繰り返す


第1段階

思ふことみなつきはつるみそぎして岩根の波と見つる大幣おほぬさ
憂きことを早瀬に流すみそぎして夕べ涼しき波の白木綿しらゆふ
麻の葉に憂き身のとがを撫でつけてみたらし川にみそぎをぞする
早川に憂き言の葉は流しやりてみなつき果つる夕涼みかな
大幣にとがを撫でつけ思ふことみなつきぬらし夏の夕暮れ
麻の葉に厭ひし身をも撫でつけて千歳の命延べむとぞする

・「水無月/皆尽き」を掛けて「思ふこと」「憂さ」「憂き身のとが」など「皆尽き」ると詠む掛詞
・麻や白木綿しらゆうぬさが波に見えるという見立て

あたりを踏まえて数首詠みました。


第2段階

憂きことを早瀬に流すみそぎして夕べ涼しき波の白木綿
麻の葉に憂き身のとがを撫でつけてみたらし川にみそぎをぞする
早川に憂き言の葉は流しやりてみなつきはつる夕涼み哉
大幣にとがを撫でつけ思ふことみなつきにけり夏の夕暮れ
麻の葉に厭ひし身をも撫でつけて千歳の命延べむとぞする

1首削除、微調整。


第3段階

憂きことを早瀬に流すみそぎして夕べ涼しき波の白木綿
麻の葉に憂き身のとがを撫でつけてみたらし川にみそぎをぞする
早川に憂き言の葉を流しやればみなつきはつる夕涼み哉
大幣にとがを撫でつけ思ふことみなつきにけり夏の夕暮れ
麻の葉に厭ひし身をも撫でつけて千歳の命延べむとぞする
底清き早瀬に麻の葉を流し憂さみなつきの夏祓へかな

微調整しつつ、1首詠み加えました。


第4段階

麻の葉に憂き身のとがを撫でつけてみそぎするなり夏の別れ路
早川に憂き言の葉を流しやればみなつきはつる夕涼み哉
大幣にとがを撫でつけ思ふことみなつきにけり夏の夕暮れ
麻の葉に厭ひし身をば撫でつけて千歳の命延べむとぞする
底清き早瀬に麻の葉を流し憂さみなつきの夏祓へかな
暮れにけり秋を急がす風たちぬ早瀬涼しき波の白木綿

削ったり、詠み足したり。


第5段階

早川に憂き言の葉を流しやればみなつきはつる夏祓へかな
大幣にとがを撫でつけ思ふことみなつきにけり夏の夕暮れ
底清き早瀬に麻の葉を流し憂さみなつきの夏祓へかな

大幅に絞り込みました。
そろそろ思い切ろう、ということで……


会報「志くれてい」投稿歌

大幣にとかを撫てつけ思ふことみなつきにけり夏の夕暮れ
底清き早瀬に麻の葉をなかし憂さみなつきの夏祓へかな

濁点を消し、こちらの2首を投稿しました。
そして、無事撰を通過したのが、


もう一度、会報「志くれてい」掲載歌

底清き早瀬に麻の葉をなかし憂さみなつきの夏祓へかな 梶間和歌


2025年7月、隠岐神社奉納和歌

たまたま歌題が同じでしたので、
会報「志くれてい」への投稿歌を絞る過程で削った夏祓詠6首に4首詠み足して、隠岐神社様の夏越の祓のための奉納和歌を投稿しました。
あわせてお楽しみください。


2023年5月の「荒和祓あらにごのはらへ」詠

川の瀬に浮きみしづみゝおほぬさはいはねに白き浪のすゞしさ 梶間和歌

「堀河百首」チャレンジで2023年に詠んだものです。ご参考までに。


和歌をお詠みになる方の参考になりましたら幸いです。


和歌の推敲記


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和歌にフルベットして生きる梶間和歌がつつがなく和歌創作、勉強、発信を続けるため、余裕のあります方にお気持ちを分けていただけますと、
私はもちろん喜びますし、それは日本や世界の未来のためにも喜ばしいことであろうと確信しております。

「この無茶苦茶な生き方を見ていると勇気がもらえる」
「こういうまっすぐな人が健康に安全に生きられる未来って、希望がある」
「この人を応援することで、人文知の明るい未来が実現しそう」
なんて思ってくださいます方で、余裕のあります方に、ぜひともご支援をお願いしたく存じます。


noteでのチップ、メンバーシップ、その他様々な形で読者の皆様にご支援いただき、こんにちの梶間和歌があります。ありがとうございます。

特に2023年、令和5年隠岐後鳥羽院和歌大賞で古事記編纂1300年記念大賞を受賞し、表彰式を含む大会のツアーに申し込んだため、ツアー代金(9万円弱)と交通費を生活費と別に工面することになりました。
皆様のご支援のおかげでそちらのツアーに無事参加。
また翌年、城南宮・鳥羽殿賞を頂きまして、こちらの表彰式ツアーにも参りました。

すべて皆様の金銭的なご支援があってこそ叶ったことです。あらためて、心より感謝申し上げます。もちろん、お気持ちでの応援も大変うれしく思っております。

こうした応援のひとつひとつが私の器を広げ、より良い和歌仕事を世界にお返しすることにつながっております。

令和5年、6年分ともに、ツアーの様子はこのマガジンに連載しております。更新をどうぞお楽しみに。


今後とも、それぞれの領分において世界を美しくしてゆく営みを、楽しんで参りましょう。


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