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<2025花スケッチ>府中・郷土の森博物館」のアナベル:「植物画」の苦労を推し量る

 三月の桜のスケッチを投稿した後<2025花スケッチ>の記事として、しゃくなげさつきつつじバラの花と次々に投稿する予定でした。
 しかし、その計画はもろくも崩れ、すっ飛ばして6月あじさいの花を投稿することになりました。
 それも、今回はいつものように風景画ではなく、西洋アジサイのアナベル花そのもの線描方法について焦点をあてます。

 なぜ「アナベル」なのか? 私は、6年前から毎年6月になると府中市の「郷土の森博物館」の「あじさい祭り」にでかけることにしています。

 そこでは、多くの種類のアジサイをみることができるのですが、西洋アジサイである「アナベル」の群生が2箇所あり、最盛期には鞠のような白い花の塊が無数に重なり合って、まるで真っ白い小山のような風景が拡がり迫力満点です。

図1 郷土の森博物館のアナベルの群生 2025年6月18日筆者撮影

 そして見事な風景にスケッチ心が動きます。しかし、これまでに何度もアジサイは描いてきましたが、アナベルだけは敬遠してきました。
 その理由は、巨大な白い塊の前に立つと、いつも「ああ描きたくない」と思ってしまうからです。

 一つの塊が大きいのはゆるせます。しかし、それを構成するが、日本のアジサイに比べて小さく、そのため塊の中の花の数が半端なく多いのです。
 ですから一つの塊の中の花弁を描くだけでぐったり疲れてしまいます。おまけに、群生全体を描こうとすると、重なり合った無数の塊をさらに描かなければいけません。

 ところが、今年になって、どうしてもアナベルを描かなければならない事情が生じました。

 実は、まだ教室に参加されて半年の生徒Hさんが、「この花を描きたい、どのように描いてよいか教室で教えてほしい」と自宅の庭に咲いている花の写真を持ってこられたからです。

 写真の「白い」花が眼に入った瞬間、悪い予感がしました。やはり「アナベル」です。しかも規模が小さいながらも多くの塊です。まさか、「描きたくない花です」とは言えません。

 私は腹を決めました。
 そして初めて描いたアナベルを下に示します(図2)。

図2 最初のアナベルの花スケッチ ペンとインク

 大きな鞠状の中に、小さな花が多くあり、しかも立体感も感じるように描いてみました。 日本アジサイではなくアナベルらしさが出たのではないかと自分で勝手に思っているのですが、いかがでしょうか。
 さらに言えば、この省エネ描法であれば、塊の数がもっと多くてもF4サイズであれば2時間程度で描くことができる見通しがついたような気がします。

 さて、以上の中、遠距離アナベルの描き方は片付いたとして、肝心の近距離巨大な一塊の花スケッチはまだ済んでいません。

 そこで、この記事の投稿を機会に花の塊を線描することにしました。
 まず、観察です。図1に示した満開のアナベルの2週間前に訪れた、まだ咲き初めの状態のアナベルの花を撮った写真を下に示します(図3)。

図3 アナベルの花の変化(左から右へ) 2025年6月7日、筆者撮影

 蕾から咲き初めまでは、薄い緑色で、満開になるにつれて白色が増します。ここでは示していませんが、花が最盛期を過ぎるとまた緑色に変化していきます。

 実際のアナベルの塊のスケッチを示す前に、比較のために日本アジサイの花の線描を下に示します(図4)。

図4 日本のアジサイの花の線描

 あきらかにアナベルに比べて、一つの塊の中にある花の数が少なく、描きやすいことはお分かりになると思います。

 さて、いよいよ、アナベルです。実物ではなく、図3の右端の写真を用いて描きました(図5)。

図5 《アナベルの花》 アルシュ 23cm x 31cm ペンとインク

 ここで話は変わりますが、現在私は「植物画とは何か」について記事を書いています(記事その1は、先日投稿しました)。

 ですから、アナベルの花を写真を見ながらペンを走らしている間、どうしても「植物画」の描き方が頭を離れませんでした。

植物画ならば、次の作業のイメージになります(欧米のbotanical illustrator の you tube を参考)。

1.描く構図を決めたならば、実物を見て、鉛筆で輪郭も含め、植物学的に、すなわち科学的に形態を正確に写し取る(大きさもノギスなどで正確にに計測する)。
2.トレーシングペーパーで最終線描を鉛筆で描く(裏表に)
3.トレーシングペーパーの鉛筆の線を水彩紙に写し取る。
4.以下、彩色工程は省略

 さて、私のスケッチの場合、工程だけみれば、上述の「植物画」の1.に相当しますが、内容はまったく違います。

 すなわち、「植物画」の場合、科学的正確な形態を描くために、ペンではなく鉛筆で、消しゴムを用い修正しながら、描写していきますが、私の場合は、ペンによる模写なので、必ずしも正確な形態になりません。しかも、一部を抜かしたり、まったく大きさが異なったりもします。ペンですから修正もできず一発勝負です。

 今回のアナベルの線描で分ったことは、植物画において科学的正確さで描くことは、とんでもない忍耐がいるということです。

 一方、私の図5はスケッチと言うよりも、ペンによる写真の模写と言うことになります。しかも、正確な模写ではなく、形はゆがんだり、一部は省略せざるを得なくなります。
 もう一つ、今回アナベルを描いて思ったのは、正直あまり楽しくないという気持ちです。その原因は、花の量が多すぎて、間違えないようにという気持ちに終始引きずられたからだと思います。
 現場で直接実物見て描けば、もう少しのびのびと気持ちよく描けたかもしれません。

 来年は、目の前で描いてみようと思います。

参考
 参考までに、以前、郷土の森博物館で描いたあじさいのスケッチを示します(図6、図7)。

図6 《府中・郷土の森博物館、旧島田薬舗》 B5 ペンとマーカー
図7 《府中・郷土の森博物館、旧島田薬舗》 B5 ペンとインク

(おしまい)

 前回の記事は下記をご覧ください。


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