12月上旬に読んだ本──健康信仰、日本の芸術から人生の「成功」まで
12月上旬に読んだ本とそのメモ。5冊とも満足度が高かった。
『健康禍』 ペトル・シュクラバーネク
近代以降、医学が「健康」を振りかざすことでいかに人間を抑圧してきたかが語られる。医療は病気を治すためのものであって、健康や寿命をどうにかしようとすると危うい。医療が宗教の代わりになっているという論は腑に落ちる。「ピタゴラスは学生が授業中におならをするのを嫌った」とあり、それは誰でもそうだろと思った。
『グレート・ギャツビー』 フィッツジェラルド
言わずと知れた名作古典小説。今年はちょうど出版100年らしい。雄弁に語れるほどの教養はないのだが、アメリカの小説特有の乾いた雰囲気を感じる。ちょうどアメリカが「黄金の20年代」と言われた頃で、ギャツビーの胡散臭さは成り上がりが可能な時代だったから実感を伴っているのか。
『リバモアの株式投資術』 ジェシー・リバモア
20世紀前半の伝説の投資家、ジェシー・リバモアが書いた投資本。投資術を知りたいというより、当時の相場の雰囲気を感じたくて読んだ。本の後半は彼の人生を描く漫画で、これを読む限り彼は投資家というよりギャンブラー。ニューヨークが鉄火場のような雰囲気の時代に『グレート・ギャツビー』が書かれたと思うと興味深い。
『日本人にとって美しさとは何か』 高階秀爾
著者は美術評論の大家。古来からの日本の芸術表現を通じて、西洋とは違う日本人にとっての美を語る。切り捨ての美学、平面的視点、絵と字の並列性など、この知識を踏まえて美術館へ行きたくなる。本筋とは離れるが、江戸時代の参勤交代の際に各大名が鉢合わせしないよう移動の日程をガチガチに決めていたことが、現在の新幹線の定時運行に繋がっているという話は興味深かった。
『人生の「成功」について誰も語ってこなかったこと』 勅使河原真衣
組織開発のコンサルタントである著者が、世間で言われる「成功」に対する違和感を書いている。こちらの本のくわしい感想はこちらに。
余談。
最近話題の大相撲のマナー問題について、須藤靖貴さんという方が記事を書いていた。大相撲が概ね同意した。
一番嫌なのは客同士が互いに監視しあい、他の客の気に食わない行動を「マナー」で取り締まろうとすること。ギスギスした雰囲気になってしまっている以上、そろそろ相撲協会には「これだけはやめて」というラインをしっかり引いてほしいなと思う。
▼過去の読書メモ
