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誰も⾒たことない景色を創り、当たり前にする。WHILLロボエンジニアが考える自動運転の安定稼働のためのアルゴリズム開発

まえがき

人を乗せて歩行領域を自動走行するサービスとして、世界で初めて羽田空港で社会実装された「WHILL自動運転サービス」。現在は国内を代表する主要空港や病院をはじめ、ロサンゼルス空港やバルセロナ空港、コペンハーゲン空港など世界の主要ハブ空港でも展開されるほど安定成長を遂げています。

そんなWHILL自動運転サービスは世界的な高齢化や多様化に伴い、あらゆる人が安心快適に移動できるとともに、これまでその介助を担っていたスタッフの身体負担を軽減できるインクルーシブかつアクセシブルな移動インフラとして、グローバル全体で一層求められつつあります。

スマートかつスムーズな運用を支えているのが自動運転の開発エンジニアたち。この記事では、ちょっぴりベールに包まれたWHILLのソフトウェアエンジニアたちにフォーカスします。

シリーズ形式でお送りしており、他のエンジニアの記事もお読みいただけます。(末尾に記載)

今回は、⾃⼰位置推定技術に関わる技術全般に対する開発とメンテナンスを担当している河野に聞きました。

これまでにない新しいサービスを開発し、社会をもっと良くしたい!
PDCAを回しながら、実装から評価まで一気通貫で携わりたい!
そう考える方々へ、必読です。

プロフィール
早稲田大学総合機械工学専攻を修了。SONY R&Dセンターにてドローン操作システム等の開発に従事。退職後、徒歩での日本一周を経て、2022年にWHILLに入社。現在は自動運転ソフトウェアの開発の中でも、自己位置推定に関する技術開発とマップなどのメンテナンスを担当。現地データの解析を通じ、実運用下での安定性・再現性を高めることで、長時間での無人運用を可能にする基盤づくりに取り組んでいる。

概要説明も多いので、河野の登場ページまで一足飛びしたい方は「目次」より読みたい見出しをクリックして先へお進みください。


世界に広がる近距離移動インフラ、WHILL自動運転サービスとは?

WHILL社は「すべての人の移動を楽しくスマートにする」をミッションに、近距離移動のモビリティ・ソリューションでグローバルNo.1を目指しています。展開事業はモビリティ販売事業とモビリティサービス事業で、ハードウェアとソフトウェアを融合させたサービス体験を提供しています。

WHILL自動運転サービスは後者のモビリティサービス事業のひとつ。決まったルートを、人を乗せて自動走行することで、安心快適かつ効率よく遠い先の搭乗ゲートまで楽々移動できると同時に、これまで人力で介助していたスタッフの負担を軽減しています。

まさに施設に欠かせない移動インフラ。採用実績は、前出の羽田空港をはじめ成田国際空港、関西国際空港など国内主要5空港にとどまらず、世界中の巨大ハブ空港にまで及び、サービス提供件数は累計70万件を超えます。

WHILL自動運転サービスには、センサー群が搭載され、ほぼ全方位の障害物を検知・回避(場合によっては一時停止)しながら、人が行き交う歩行空間を自動で走行。ゴール到達後は、無人運転で元の場所へ自動返却されます。

「自動運転技術を社会実装する」ワクワクする未来とWHILLの本気度に魅せられて

(前置きが長くなりましたがここからが本題。河野さん目線で紹介します)

私自身、ワクワクすることや好きなことをとことん突き詰め、誰もみたことがない景色を見たいという思いがベースにあります。その関心ごとのひとつが、ロボットが動く仕組みです。

WHILLに入ったのは、その思いが実現できると考えたからです。

人がいる環境の中でどうやってロボットをスムーズに動かすか?など、私が大学や前職で取り組んできた経路計画や自己位置推定といった技術をもって、これからの当たり前のサービスとして世界に浸透させることに挑戦していることに面白さを感じました。これが広がれば、社会にとってもプラスになるだろうとイメージが沸いたのも非常に魅⼒的でした。

また、実際にWHILLの機体を⾒た際、⾃動運転という、いわば確立されきっていない技術を手掛けているにも関わらず、機体の完成度や社会に溶け込む・受け入れられるデザイン性が高いことに驚きました。

一般的に、研究段階のサービスやシステムでは、デザインよりもアルゴリズムの精度を重視してセンサーを⽬⽴つところに置くなど、外見の優先度を下げる場合があります。

しかし、WHILLのセンサーなどは目立たない位置に配備しスタイリッシュに⾒せる作り込み。社会に実装させるというWHILLの本気度が伝わりました。

誤作動などを避けるべく、非常停止ボタンも機体からはみ出ないようにデザインされている。

センサーを理想的な位置に置けない難しさはあれど、だからこそデザインも立てながら、アルゴリズムやソフトウェアの⼒で解決していくーー。道筋や決まった答えがない中で、自分のアイデアを形にしながら粘り強く、世の中で当たり前になるような開発を⼀緒にしたい、ハードウェアからソフトウェアまで内製するWHILLだからできる⼀気通貫の開発をしたいと考えました。

メンバーとディスカッションする様子

「どんな状況でも必ず戻ってくる状態にする」自己位置推定の精度を上げるアルゴリズムの開発

WHILL自動運転サービスでは、センサーで周囲を観測し、その情報をマップと照合することで、機体が自己位置を推定しながら走行します。

空港や病院のように人が行き交う屋内の歩行空間ではGPSが使えません。自己位置推定の難易度が上がる環境でも安全・安定的にサービスを提供できるよう、私はマップのメンテナンスと⾃⼰位置推定の精度を上げるアルゴリズムの開発・改善を主に担当しています。

2D開発で培った運用と、3Dへの移行

マップは一度取得して終わりではなく、継続的なメンテナンスが必要です。

特に2Dの自己位置推定を開発していた当時は、施設のレイアウト変更や工事などによる環境変化の影響を受けやすく、運用中の機体から回収したデータを元に、マップへの反映やノイズ除去を遠隔で頻繁に行っていました。

2Dマップの一例イメージ

こうした対応は、2Dマップを前提とした自己位置推定の安定性を保つ上で重要でしたが、世界中の拠点でサービスを展開する中で、すべてを個別に調整し続ける運用だと限界があります。

そこで、マップ修正に頼りすぎない形を目指し、細かな環境変化については機体側の自己位置推定ロジックで吸収できるよう見直しを重ねてきました。また、一定のパターンで対応できるマッピング修正については、CX(カスタマーサクセス)や営業など現場のメンバーでも可能な体制を整え、属人的にならない運用を意識しています。

一連の取り組みは、自己位置推定やマッピングに関わる他のエンジニアとも密に連携しながら進めてきました。(詳しくは別noteでも)

現在主軸の3D自己位置推定では、マップ更新よりもアルゴリズム側の調整や実運用データを使った改善に比重が移っており、マップメンテナンスの頻度自体は以前より減っています。

2Dから3Dへと技術が移行する中で、これまでの運用経験を整理し、次の開発につなげていきたいと考えています。

マップ修正に頼らない安定運用を目指して

先に触れたように、マップ修正への依存度を下げていく中で、より重要になってきたのが、自己位置推定アルゴリズムそのものの改善です。
WHILL自動運転サービスのさらなる安定運用を実現するため、現場で動いている機体の実運用データを活用しながら、自己位置推定アルゴリズムの開発と改善を日々進めています。

WHILLでは、実際の運用機体から得られた情報をログとしてサーバーに集約しています。それらのログを解析することで、いつ・どのようなエッジケース(不具合や稀に生じる問題)が発生しているのかを把握できるようにしています。

自動運転の技術が社会に受け入れられるには、どんな状況でも、どこへ行っても、必ずちゃんと戻ってくることが重要指標の一つ。そのために、エッジケースを一つ一つ解消し、アルゴリズムの改善を繰り返していくことが、安定運用につながると考えています。

WHILLが自動運転を行うさまざまな環境。左の2枚はバルセロナ空港、右は中部国際空港

やりがいは、正解がない中で自分のアイデアを形にし、実現場での効果につながること

やりがいにつながるエピソードをひとつご紹介します。

入社当時は、エッジケースが発生した際に、その発生頻度や原因を十分に可視化できていない状態。都度対応することはできても、世界中でのサービス展開と継続運用を見据えるWHILLにとって、エッジケースを起こさない、仮に起こっても人の手を介在させずとも機体そのもので対処できる仕組みづくりが必須でした。

そこで私はまず、エッジケースの発生頻度を把握すると同時に、発⽣している場合には安全に機体を停⽌させる不具合検出アルゴリズムを提案。

ここで難しかったのは、WHILLのサービスに適した形になるよう設計すること。WHILL自動運転サービスはすでに、多くのお客様に日々ご利用いただいています。安全性ばかりを重視し、エッジケース発生時に停止させることを優先しすぎると、現場での稼働率を下げてしまうことにつながります。

このトレードオフを巡っては、現場メンバーと議論を深めるとともに、現場から得たデータを元にシミュレーションを何度も⾏い、アルゴリズムの精度検証を重ねながら調整していきました。

アルゴリズムの開発作業を進める様子

また、エッジケースが発生したデータのみを大量に回収できるようになることで、第一ステップであった原因の見える化と対応のみならず、データを使っての機械学習が可能に。その結果、エッジケースに対応した調整を継続的に行えるようになり、改善のサイクルが回り始めています。

このアルゴリズムは現在、世界中のほとんどの導入施設で採用されており、日々の安定稼働を支える一役を担っています。

大規模データを使ってPDCAが自動で回る体制を作り「真の意味での自動運転化」へ

WHILLのサービスは、世界中の現場に導入され、実際にたくさんのお客様に使われているので、膨大なデータを取得できます。それらデータをもとに、社会に活かせる新たなシステムを自ら考え、開発し、そして実用化までやり切れる環境がWHILLにはあります。

さらに、新しいシステムを実装しても、そこからさらにエッジケースやフィードバックがあったり、新たなデータを得られたりするため、「次はどうするか?」のネクストアクションまで一貫して取り組むことができます。

こうしたPDCAサイクルを重ねていく中で、これから目指すべきは、ほんのわずかな発生にまで減ったエッジケースを、限りなくゼロにすること。実は
残りわずかを潰し切ることは一般的に難しいとされています。それでも、ハードウェアもソフトウェアも内製するWHILLの強みを活かし、横断的かつ積極的に見直しながらサービス向上と発展を進めていきたいと考えています。

究極的には、大規模データを使って検知を自動化させることも目標。もちろんアルゴリズムも担っていますが、今なお例外的なエッジケースは人の手で見つける場面もあります。実運用の中で、自動でPDCAが回り続け、サービスとして進化し続ける自動運転の実現に向けて、改善の仕組みをこれからも構築していきたいです。

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WHILL社では上述の通り、今後も新機能やより高度で安定した自動運転サービスをグローバルトップランナーとして提供していきたいと考えています。そんなサービスの拡大を一緒に支えてくれるソフトウェアエンジニアに加え、電気設計エンジニアも積極募集中です。

興味を持っていただけたら嬉しい限りです。

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