中国・四国横断の旅#3|仁淀ブルーと別子銅山へ、山と川を抜けていく日
中国・四国横断の旅 2024年8月17日
四国旅3日目は、高知競馬場でハルウララの記憶に触れる朝から始まった。
太平洋沿いを走り、仁淀川、にこ淵、道の駅木の香を巡って、海から川、山へと四国の立体感を味わう。最後は別子銅山記念館で産業の歴史に触れ、自然と人の営みが重なる四国の奥行きを感じた一日だった。
前回の話はこちらになります。
このシリーズのまとめ記事はこちらになります。
中国・四国横断の旅
高知競馬場とハルウララの記憶
2024年8月17日
四国の旅、3日目。
朝6時、最初に出た言葉は「暑い」だった。
高知の夏は、朝から容赦がない。
この日は高知を出て、愛媛方面へ向かう。
ただまっすぐ移動するのではなく、海沿いを走り、仁淀川へ寄り、山を越え、最後に別子銅山の歴史に触れる予定だった。
旅の最終日としては、なかなか濃い。
まず向かったのは、高知競馬場である。
早朝の競馬場は静かだった。
夜さ恋ナイターのゲートも、朝に見ると少し違って見える。

高知競馬場に近づくと、自然とハルウララの名前が浮かんだ。
通算113戦して、一度も勝てなかった競走馬。
それでも、負け続けながら走り続ける姿が、多くの人の心をつかんだ。
普通なら「勝てない馬」で終わってしまう。
でもハルウララは、勝てなかったからこそ記憶に残った。
勝つことだけが物語ではない。
走り続けたこと自体が、物語になることもある。
早朝の静かな競馬場で、そんなことを考えた。
太平洋沿いを走る
次に、春野赤岡線の海岸線へ向かった。
桂浜から西へ、太平洋を横に見ながら走る道である。
この道は気持ちよかった。

海が広い。
空も広い。
夏の強い光の中で、車を走らせるだけで旅をしている気分になる。
途中、「ドレー機不時着の地」の石碑にも立ち寄った。

Google Mapsがなければ見落としていたかもしれない場所である。
草木にまぎれるように石碑が立っていた。
1937年、東京とパリを結ぶ懸賞飛行に挑戦していたフランス人飛行家の飛行機が、悪天候と燃料切れによってこの地に不時着したという。
海岸線を走っていて、ふとそんな国際的な物語の跡に出会う。
旅先では、地図の端にあるような場所にも、急に世界史が顔を出すことがある。
仁淀川へ向かう
そこから、道の駅 土佐和紙工芸村くらうどへ向かった。

川沿いの景色が気持ちいい場所だった。
土佐和紙の文化に触れられる施設でありながら、宿泊施設もあり、どこか落ち着いた雰囲気がある。
その後、水辺の駅 あいの里仁淀川へ。
仁淀川の近くまで降りられる場所で、川の流れがとても近い。
水辺に人がいて、産直市場があり、食堂もある。
観光地というより、川と暮らしの接点のような場所だった。
仁淀川は、ただきれいな川というより、土地の中を静かに通っている一本の軸のように感じる。
にこ淵で見た、青というより深い緑
そして、この日の大きな目的地、にこ淵へ向かった。
駐車場に着いたのは11時50分ごろ。
ここからがなかなか大変だった。
駐車場から看板まで歩き、さらに階段を下っていく。
真夏である。
汗が滝のように流れる。
だが、下りきった先に見えた景色で、疲れが少し吹き飛んだ。
仁淀ブルー。


そう呼ばれる水の色は、実際には青というより、深いエメラルドグリーンに近かった。
森の緑と水の透明感が重なり、光の加減で色が変わっていく。
写真で見たことはあった。
でも、現地で見ると、やはり違う。
ただし、観光客も多かった。
写真を撮る場所を確保するのも一苦労である。
神秘的な場所であると同時に、人気スポットでもある。
その両方が、いまのにこ淵なのだと思う。
それでも、あの水の色は見に来る価値があった。
山を越えて、道の駅木の香へ
にこ淵をあとにして、道の駅 木の香へ向かった。
高知県と愛媛県の県境に近い山間の道の駅である。
道中の景色もよかった。
川があり、山があり、道がくねっている。
海沿いを走っていた朝とは、まったく違う四国の顔が見えてくる。
道の駅 木の香には、産直市場や温泉もある。
山の中で一息つくには、ちょうどいい場所だった。

その後、西条でうどんを食べた。
愛媛で食べるうどんは、思っていた以上にコシがあった。
四国といえば香川うどんの印象が強いが、こういう土地ごとの食事も旅の楽しみである。

別子銅山の歴史に触れる
午後は、別子銅山記念館へ向かった。

ここから旅の雰囲気が変わる。
それまで海、川、山を走ってきた。
最後にたどり着いたのは、産業の歴史である。
別子銅山は、日本の近代化を支えた重要な鉱山だった。
自然の中にある場所なのに、そこには人間が掘り、運び、働いてきた時間が残っている。

記念館の庭はきれいに手入れされていた。
石碑には、長く受け継がれてきた銅山への思いが刻まれていた。
山をただの資源としてではなく、畏れを持って見ていた感覚が伝わってくる。
その後、道の駅マイントピア別子にも立ち寄った。

鉱山観光の拠点であり、温泉や売店もある施設である。
ただ、今回は滞在時間が短かった。
別子銅山記念館もマイントピア別子も、本当はもっと時間をかけて見た方がよかった場所だと思う。
ここは再訪したい。
自然の旅から、産業の記憶へ
この日の移動を振り返ると、流れが面白い。
朝は高知競馬場でハルウララを思い出した。
そこから太平洋沿いを走り、仁淀川へ向かい、にこ淵の水を見た。
山を越えて、最後は別子銅山にたどり着いた。
そして、岡山経由で帰路につく。
馬。
海。
川。
山。
鉱山。
かなりいろいろなものを通り抜けた一日だった。
四国は、思っていたより立体的だ。
海沿いの明るさもあれば、川の透明感もあり、山の深さもあり、その奥には産業の記憶も残っている。
ただ美しいだけではない。
ただ歴史があるだけでもない。
自然と人の営みが、場所ごとに違う形で重なっている。
四国の旅、3日目。
仁淀ブルーを見て、山と川を抜け、別子銅山の記憶に触れた一日だった。
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