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八重山諸島の旅#1|石垣島初日 雨の到着と島グルメではじまる旅

2025年5月10日 13時20分、自宅を出た。

関空連絡橋を渡りながら、「ようこんな長い橋を作ったもんやな」と小さくつぶやいた。そのひとことと一緒に、身体のどこかで旅のスイッチが静かに入った気がした。

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今回の行き先は八重山諸島。その入口となる石垣島へ向かう。第2ターミナル第6駐車場に車を停め、保安検査を抜け、Peachで石垣へ飛ぶ。

搭乗までの待ち時間には、LINEスタンプのキャラクターを生成していた。空港でAIを使って創作をしていると、旅と仕事と遊びの境目がずいぶん変わったものだと思う。これもまた、令和の旅支度のひとつなのだろう。

18時50分、石垣空港に到着した。

外は雨だった。南の島に着いたのに雨、となると少しは残念でもある。だが、年齢のせいか、経験のせいか、最近はそういう出だしも「これも旅のうち」と受け取れるようになった。

むしろ、晴天の南国より、しっとり濡れた石垣のほうが、最初の一歩としてはちょうどよかったのかもしれない。

バスに乗って石垣タウンへ向かう。窓を流れていく雨粒が、日常から旅へ切り替わるための薄い膜のように見えた。フェリーターミナルで降り、傘をたたみ、夜の街を歩く。

このバスターミナルで降りる

こういう時間がわりと好きである。観光名所を回っているわけでもない。ただ、知らない土地の湿った空気の中を、自分の足で歩いている。それだけで旅はもう始まっている。

雨で道路がひかる

その夜の宿は、The BREAKFAST HOTEL MARCHE石垣島。

コンクリート打ちっぱなしの、すっきりした内装のホテルであった。クローゼットもない簡素な部屋だが、不思議と「ここええわ」と思えた。

宿の豪華さより、自分の気分のほうが旅の快適さを決める。そんなことを、旅の初日はよく教えてくれる。

The BREAKFAST HOTEL MARCHE石垣島
ミニマルな部屋

少しだけ仕事を片づけ、休憩してから夜の街に出た。旅先でも完全に日常を切り離すわけではない。少し働いて、少し歩いて、少し飲む。その混ざり方が、今の自分にはちょうどよい。

20時すぎ、「とんでみーな」という名前に惹かれて店に入った。

こういうのは半分、店名で決まる。旅先では理屈よりも、なんとなく吸い寄せられる感覚のほうが当たることが多い。

とんでみーなの外観

店内は静かで、若いスタッフたちが大声も出さず、ていねいに回していた。その空気がまずよかった。

オリオンビールを飲み、ポテサラをつまみ、刺身盛りを食べ、てびちを食べ、島豆腐チャンプルーを食べる。どれも派手ではないが、ちゃんと沁みる味である。

オリオンビールとポテサラ
てびち(豚足)

旅先の一食目として、とてもよかった。身体が「石垣に来た」と認識していく感じがあった。

そして、イカスミ焼きそばが抜群によかった。

おいしいものには、ときどき小さな犠牲がつきものだが、この日も例外ではなかった。白いTシャツの前面がきれいにグレーに染まったのである。しまった、と思う一方で、「またやってもうたな」と笑って済ませられるのが旅のいいところでもある。

イカスミ焼きそば

日常であれば少し機嫌が悪くなるようなことも、旅の中では妙にやさしく受け止められる。たぶん、心に少し余白があるのだろう。

店を出るころには、雨の夜も悪くないと思っていた。

雨の街

観光地を精力的に回ったわけではない。絶景を見たわけでもない。ただ、雨の空港に着いて、バスで街に入り、静かなホテルに荷物を置き、感じのいい店で島の料理を食べた。それだけの一日である。

だが、旅の初日とは本来そういうものかもしれない。何かを達成する日ではなく、その土地の空気に身体をなじませていく日。石垣島の最初の夜は、まさにそんな時間だった。

雨がくれた静けさ、ていねいな接客、少し酔いの回った身体。派手さはないが、旅の始まりとしては十分すぎるほど豊かであった。八重山諸島の旅は、こうしてしっとりと始まったのである。

ここまで読んでいただきありがとうございました。



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