八重山諸島の旅#2|石垣島観光 ジーマ豆腐と白百合で過ごす街歩き
2025年5月11日
石垣島の朝は早い。
この日は5時台に目が覚めた。旅先の朝は、なぜか少しだけ身体の起動が早い。
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まだ街が本格的に動き出す前の静かな時間に、ルイボスティーを飲みながらパソコンを開く。前日に生成した画像を取り込み、少し作業を進める。
さらに、翌日の西表島ツアーも予約する。旅の段取りと日々の作業がひとつずつ整っていくと、不思議と気持ちも整っていくものである。
ホテルの朝食では、まずスムージーをいただいた。

南の島の朝にスムージーというだけで、少し健康になった気がする。旅先では食べすぎることも多いが、こういう一杯があると身体が喜んでいる感じがする。
もっとも、そのあとしっかり街へ出て食べ歩くので、帳尻が合っているのかどうかはよく分からない。だが、その曖昧さもまた旅である。


10時半すぎ、公設市場へ向かった。
石垣島の街は、観光地でありながら、どこか生活の匂いが残っている。きれいに整いすぎていないところがよい。
市場のまわりを歩いていると、「DOUG’S BURGER」の看板が目に入った。宮古島で見かけた記憶がよぎったが、この日はその隣にあった「Coral Tree Cafe」に吸い寄せられるように入った。
旅先では、事前に決めていた店より、その場でなんとなく気になった店のほうが印象に残ることがある。

店内で印象に残ったのは、ジーマ豆腐の話であった。
ご主人が丁寧にいろいろ説明してくれて、つい話し込んでしまう。島のソウルフードであるジーマ豆腐は、各家庭でオバアが作るものだという。
そういう話を聞いたあとで食べると、ただの名物料理ではなく、その土地の暮らしの延長にある食べ物として感じられるから不思議である。

甘じょっぱいタレは、どこかみたらし団子のようでもあり、素朴なのに妙に記憶に残る味だった。旅先で食べたものの中には、豪華ではなくても、あとでじわじわ思い出す味がある。あのジーマ豆腐は、まさにそういう一品であった。
食後は、八重山博物館へ向かった。
派手な施設ではない。だが、こういう場所は好きである。貝斧や石敢當、暮らしの道具の展示を見ていると、この島が観光地になる前から積み重ねてきた時間の厚みが少し見える。
博物館に入ると、その土地の表面だけではなく、地層のようなものに触れられる気がする。写真映えする場所ではなくても、こういう時間はあとから効いてくる。

石垣島の街の歴史が感じられる一枚である。
そこから宮良殿内庭園へ向かった。
番をしていたステテコ姿のおっちゃんに「西宮から来ました」と言うと、「甲子園!」と即答された。その返しの早さがなんともよかった。こういう短いやり取りに、その土地の人の体温が出る。

庭を見ながら、観光とは景色を見ることだけではなく、こうした一瞬の会話も含めて旅になるのだとあらためて思う。立派な文化財を前にしても、記憶に残るのは案外こういうやり取りであったりする。
そのあと、「まちかど交流館 ゆんたく家」で少し休んだ。

畳に足を伸ばし、石垣の空気を吸い込みながら、しばらくぼんやりする。観光地を次々に回る旅も嫌いではないが、こういう空白の時間があると、その日の輪郭がやわらかくなる。旅をしていて心地よいのは、実は名所よりも、何でもない休憩時間だったりする。
午後は、リラクゼーションの「ハンモック」で1時間の施術を受けた。
名前からして、すでに半分勝っている。実際、身体のコリだけではなく、旅のなかで少しずつたまる情報や移動の疲れまでほどけていく感じがあった。旅は楽しいが、それなりに身体は使う。こうして意識的に緩める時間を入れると、その後の過ごし方が変わってくる。
観光とマッサージが同じ一日の中に共存しているところに、今の旅のスタイルがよく出ている気がする。
施術のあと、池原酒造へ向かった。

ここで出会ったのが、泡盛の白百合である。酒造見学では、もろみや蒸留の工程を見ながら、一本の酒が土地に根ざしていることを実感する。
白百合は、ただの土産物ではなく、この島の空気や人の気配を含んだ酒だと感じた。

しかも、来週には大阪・寺田町近くで白百合ファンが集まるイベントがあるという。石垣島と大阪が、泡盛一本でつながっているのがおもしろい。
旅先で出会ったものが、自分の日常へ橋を架けてくる瞬間というのは、なんとも言えず嬉しいものである。結局、白百合600mlを一本買い、インスタもフォローした。旅人であると同時に、しっかり客でもある。

その後は少しばたばたした。
プラネタリウムへ向かう途中で財布を忘れたことに気づき、ホテルへ戻ることになったのである。旅先では、こういう小さな失敗も起こる。だが、不思議とそこまで腹は立たない。
むしろ、その途中でポーク玉子おにぎりを買い、石垣島地ビールまで手に入れてしまったので、結果としてはだいぶ機嫌よく軌道修正できた。

失敗のついでに何かおいしいものを買っているあたり、我ながら笑えてきた。
夕方、かみやーき小でかまぼこを買ったとき、ひとつおまけをつけてくれた。

こういうさりげない親切は、旅の記憶に残る。大きな感動ではない。だが、あとで思い返すのは案外こういう場面である。石垣島の空気には、湿度だけでなく、人のやさしさも少し多めに含まれている気がした。
夜は「Muu Tokyo 石垣島」で晩ごはんにした。

タイ料理の店である。野菜のサクサク揚げ春巻き、バッタイ、トムヤムクンを頼む。トムヤムクンは少し塩辛かったが、春巻きとバッタイがビールによく合った。



石垣島に来てタイ料理、という感じもするが、そういう寄り道もまた楽しい。その土地の名物を食べるだけが旅ではない。南の島の夜に、少し異国感のある料理を食べるのも悪くなかった。
ホテルに戻ってからは、白百合で部屋飲みをした。
昼に酒造で見た泡盛を、その日の夜に自分の部屋で飲む。これがよかった。店で飲む酒もいいが、部屋で静かに飲む酒には別のよさがある。その日一日の出来事を少しずつ身体に沈めていくような時間になるからである。

朝はスムージーで始まり、昼はジーマ豆腐を食べ、午後は博物館と庭園を歩き、マッサージで身体をほぐし、酒造で白百合に出会い、夜はタイ料理を食べて部屋で泡盛を飲む。
振り返るとかなり盛りだくさんな一日なのだが、不思議とせわしなさはない。石垣島の街のサイズ感と空気が、そうさせているのかもしれない。観光しながら、どこか暮らしているようでもある。
2日目の石垣島は、そんな一日であった。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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