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7万円のAIグラスを買わずに帰った男に、メタが「返事」をよこした——新型Meta Glasses発表と日本語翻訳解禁【第2話】

前作を読んでくれた方には、こう名乗るのがいちばん早い。
AIグラス「Ray-Ban Meta」の体験会で一日悩んで、買わずに帰った男です。

初めての方に一行で説明すると、Ray-Ban Metaは、サングラスにカメラとAIアシスタントが入った「AIグラス」で、2026年5月に日本発売されたばかりの製品(7万3700円〜)。私はその体験会に有給を取って行き、本気で悩んで、買わなかった。

あのとき私が買わなかった理由は、突き詰めれば二つだった。ひとつは、「ヘイ、メタ」と呼びかけてから返事が来るまでの2〜3秒の沈黙。もうひとつは、目玉の日本語ライブ翻訳が「夏対応予定」のまま動いていなかったこと。テクノロジーを浴びに行った私は、この二つに熱を冷まされて店を出た。そして記事の最後に、こう書いた。この物足りなさは伸びしろだ、この2〜3秒が一気に消える日は、たぶんそう遠くない——と。

あれから2ヶ月弱。宿題が、2つとも動いた。

動いたこと(1):日本語ライブ翻訳が、もう来ている

まず身近なほうから。6月末のアップデートで、日本で売っているRay-Ban MetaとOakley Metaが日本語のライブ翻訳に対応した

私が体験会で触った5月時点では「夏ごろ対応予定」だった機能だ。それが予定通り、しかも夏の入り口で降ってきた。つまり、いま店頭で買えるあのグラスは、私が触った個体と同じハードのまま、中身がひとつ賢くなっている。買い替えではなくアップデートで進化する——スマートグラスというものの性質が、いい方向に出た形だ。

待っていた二つの宿題のうち、片方はもう提出された。

動いたこと(2):メタが新しい頭脳「Muse Spark」を出してきた

そして本命のほう。6月23日、メタは新しいAIグラス「Meta Glasses」を発表した。今回はRay-BanでもOakleyでもない、メタ自身の名前を冠した初めてのグラスだ。製造は引き続きエシロールルックスオティカとの協業で、スクエア型のAdventurer、太めのFury、カイリー・ジェンナーと共同設計したKylieの3系統、全26スタイル。度付きレンズにも対応する。

価格は299ドル、日本円でおよそ4万8千円。日本のRay-Ban Meta Gen 2が7万3700円からだったことを思えば、大幅に安い。

でも、価格は本題ではない。本題は頭脳だ。

このグラスには「Muse Spark」という新しいAIが載っている。メタが新設したMeta Superintelligence Labsから出てきた最初のモデルで、これまでのLlama系とは別物。そして公式の説明にこうある——ウェアラブル向けの低遅延推論のために作られた、と。

低遅延。つまり、速い返事。

……そう、あの2〜3秒だ。私が「会話として致命的に遅い」と書いた、まさにあの部分に、メタは頭脳ごと差し替えるという回答をしてきた。

しかも重要なのはここで、Muse Sparkは新製品専用ではない。米国・カナダでは、既存のRay-Ban MetaとOakley Metaにもすでに配信が始まっている。つまり私が触ったあの実機も、日本への配信が来れば、頭脳ごと入れ替わる可能性がある。もう片方の宿題も、海の向こうでは提出済みということだ。

ただし、私はまだ確かめていない

ここは前作と同じ流儀で、はっきり書いておく。

Muse Sparkが本当に速いのか、私はまだ自分の耳で確かめていない。「低遅延のために作った」はメタの説明であって、私の体感ではない。2〜3秒が0.5秒になったのか、1.5秒どまりなのか、日本語での応答品質はどうなのか——それは実機で試すまで、私には書けない。触ってもいないものを「速くなった!」と書くのは、私がいちばん書きたくない種類の文章。

現実的な壁もある。Meta Glassesは、まだ日本で売っていない。米国・英国・カナダなど17の国と地域で発売済みだが、日本発売は現時点で未定。Muse Sparkの日本配信時期も、まだ分からない。

つまり第2話の結論は、劇的なものにはならない。「答えは出た。でも答え合わせは、まだできない」。それが今の位置である。

いま日本で買えるもの、できること(2026年7月時点)

検索でこの記事に来た方のために、現状を整理しておく。

  • Ray-Ban Meta Gen 2:7万3700円〜。5月から国内販売中。6月末から日本語ライブ翻訳対応

  • Ray-Ban Meta Optics(度付き対応):8万2500円(度付きレンズ別売)

  • Oakley Meta HSTN:7万7220円〜/Oakley Meta Vanguard:9万6580円〜

  • Meta Glasses(299ドル・Muse Spark搭載):日本発売未定

  • 競合では、RokidのAIグラスが7月10日から国内一般販売を開始。選択肢は着実に増えている

そして4日後。7月22日にサムスンの発表イベント(Galaxy Unpacked)が控えている。Gemini搭載のAIグラスがここでお披露目される可能性が高い。メタが1ヶ月で値下げと頭脳交換をやってのけた背景には、この足音がある。競争は、待っている消費者への最高のプレゼントだ。

第2話の判断

前作の判断軸をアップデートする。

  • 「目線で日常を記録する道具」として欲しい人:いま買っていい。前作の評価どおり、この価値は本物。しかも日本語翻訳が加わって、旅行での実用度が一段上がった

  • AIの速さに萎えて待っていた人(私だ):待ち続けて正解だった。Muse Sparkの日本展開、Meta Glassesの日本上陸、そして4日後のサムスン発表——判断材料が出揃うのは、この夏から秋

  • 価格で迷っていた人:約4万8千円のMeta Glassesが存在してしまった以上、7万円台を今すぐ払う理由は薄くなった。日本に来るかは未定でも、「その価格が可能」と分かったことが大きい

前作の最後に、私はこう書いた。秋に、もう一度見に来るつもりだ——と。そして、あの日触れた物足りなさを「業界がこれからどれだけ伸びるかの予告編だった」とも。

どうやら、予告編の本編が始まりつつある。しかも、思っていたより早く。Muse Sparkが日本に来たら、あるいは秋の新型が出揃ったら、私はまた実機の前に立つ。そして今度こそ、呼びかけてから返事までの秒数を、自分の耳で数えてくる。

第3話は、答え合わせの話になる。あの2〜3秒が本当に消えたのかどうか。消えていたら——私はたぶん、笑って買う。

第1話:「期待90%で行って、買わずに帰った。Ray-Ban Metaを発売直後に触ってわかったこと」

番外編:「AIは私を笑顔にしなかった。551を買う人は、笑っていた。」


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