#108 2025年秋の受験分析と小学校受験MAP'26
2026/5/12 「ペーパー難関校」追記
2026/5/15 市場規模グラフ、埼玉校実質倍率追加
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大変お待たせいたしました。いよいよ5期目の受験分析となります。
▌唯一無二のデータ
本noteは、狼侍の特徴の一つ、データの収集と分析でお届けする記事です。
回を重ねるごとにボリュームが増して恐縮ですが、不透明な小学校受験をデータでここまで解析するのは、溢れる情報商材はもちろんのこと、これまで受験産業も取り組んで来なかった領域です。
実際、ある有名教室でも、「小学校受験の市場規模は3万世帯規模」という誤った情報を、過去にセミナーで発表していた経緯があります。
積み上げたデータは過去6年分となりました。
受験産業を含めても、このデータの蓄積はここだけではないでしょうか。
小学校受験の闇と戦い続けて6年目。
学校や受験産業の情報開示が広がったことは嬉しい限りですが、一方で、模倣や情報商材の乱立を招いたことは残念でなりません。
単に倍率をランキングとする情報はSNSでも散見されますが、分析とは程遠い、煽るだけの内容は極めて残念です。
▌アンケートに基づく市場規模分析は無料公開
本noteでは、出願倍率と実質倍率をベースに、小学校受験全体の傾向、カテゴリーごとの分析、各校の特色や注目すべき変化を考察しています。
受験戦略を立てる上でも、志望校周辺の変化を把握する上でも、一助となれば幸いです。
また、客観的な指標をもとに私立小学校をマッピングした「小学校受験MAP」も、出願情報がある全校を落とし込んだ最新版をお届けします。
このMAPは、書籍でもご紹介したところ、学校関係者や教室関係者の方々からも高い評価をいただきました。
それでは以下、長文となり大変恐縮ですが、相当な分量(約30,000字)となります。
お急ぎの方は、まずは「カテゴリー別検証」や「総括」からご覧いただくことをお勧めします。
なお、アンケート結果に基づく市場規模分析のパート(約3,500字)は、今年も無料で公開しております。ぜひご一読ください。
第一章 2025年秋の受験分析
※データソースについて
「お受験じょうほう」「お受験インディックス」、ならびに学校や教室からのヒアリング情報を基に、首都圏の私立小学校の集計可能な全学校を掲載しております。
■全体検証
1.市場規模と全体倍率 [無料公開]
まずは首都圏の小学校受験全体の市場規模です。
24年秋に引き続き、25年秋についても出願アンケートを取らせていただきました。
今回より、例年のX上での投票形式から、Googleフォームでのエントリー形式に切り替えています。443名ものご協力、誠にありがとうございました。
これにより、メディアで使用される総出願数に惑わされることなく、小学校受験の参加家庭数(市場規模)の実態に迫ることができます。
このようなデータも、25年の受験家庭のご協力あってのものです。26年以降の皆さまにおかれましても、ぜひ当事者の際には、恩送りとしてのご協力をよろしくお願いします。
・総出願数の変化
24年秋と比較可能な78校の出願数合計と出願倍率は以下の通りです。

23年秋、24年秋と減少していた総出願数が増加に転じました(前年比103.5%)。
ただし、この数字によって、小学校受験の市場規模が拡大したと捉えるのは早計です。検証を進めましょう。
【要注意】
これだけ周知されてきたにも関わらず、未だにこの総出願数を「参加家庭数」と表現する教室や業者が後を絶ちません。
以下で検証していますが、どれだけ多く見積もっても、首都圏の小学校受験の参加家庭は1万家庭を超えることはありません。
数字を適当に扱う業者は、一事が万事そのスタンスです(つまり発言内容に責任を持っていない)。
どうか情弱ビジネスに惑わされないようにお気をつけください。
・一家庭あたり出願数の算出
小学校受験の市場規模は、総出願数だけでは計れません。市場規模(参加家庭)は、この一家庭あたりの出願数から求められます。
昨年同様に、1校から12校以上までの回答を頂戴することで、精度の高い数値を算出することができました。

このように、一家庭あたりの出願数は平均5.71校となりました。24年秋に対して0.71校(14.1%)の大幅増加です。
・一家庭あたり受験数との差異
受験数についても同様のアンケートを実施しております。

平均受験校数は4.59校。こちらは、24年秋に対して0.19校(4.3%)の微増に留まりました。
また、平均出願校数5.71校との比較で、受験率は80.5%となります(24年秋は受験率88%)。
これらのデータから、総出願数は増えたが、受験率の低さを踏まえると、一家庭あたりの併願が増えただけ。つまり、市場規模が拡大したとは言い難い、と読み取れるでしょう。
・首都圏小学校受験の市場規模
ここからは、首都圏全体(99校)の市場規模を検証していきます。
検証①:アンケートからの市場規模レンジ
まず、25年秋受験の首都圏99校の出願総数は、推定で28,721となります(出願数公表79校の27,617+データ非公表20校の推定1,104。非公表校は出願倍率2倍以下18校の平均1.20倍を適用)。
これに各年のアンケートから導かれる「一家庭あたり出願数」を当てはめたのがこちらです。

平均出願数によって市場規模は大きく振れ、市場規模は約7,400〜5,000家庭となります。
また、両端のアンケートには注意が必要です。
23年秋は、「1〜2校→1校」「5校以上→5校」換算の集計のため、平均値が過小に表れます。
一方の25年秋は、Googleフォーム化により受験意識の高い層に偏った可能性があり、平均値が過大な傾向がありそうです。
それゆえ、23年の3.9校、25年秋の5.71校という数値を全体にそのまま反映するには慎重になるべきと判断しました。
なお、24年秋・25年秋のアンケートは、アンケート内容が同一、かつ対象者も同様のSNS属性であるため、両者の比較から「受験意識の高い層の出願数が増加している」という傾向は読み取れます。
検証②:定員充足率からの市場規模下限
そこで、別の切り口として、定員充足率からの市場規模を確認します。

25年秋の集計にて、首都圏99校の最新の定員充足率は92.1%と算出されました(24年秋は94.0%)。これを総募集定員数6,840に当てはめると、6,300家庭となります。
これは小学校受験を経た在籍家庭の数ですから、市場規模の下限となります。そこからの全体倍率は0.92倍となります。
(参考:24年秋実績の定員充足率検証)
結論
以上の検証①と検証②を総合すると、首都圏全体(99校)の市場規模は6,300〜7,400家庭の幅に収まります。
ただし、上限の7,400家庭は23年秋アンケートに基づく数値であり、集計の過小評価を考慮すると、ここまでの規模はないと考えるのが妥当です。
結論として、おおむね7,000家庭弱が現実的な市場規模と推定されます。全体倍率は1.0倍前後と考えてよいでしょう。

・市場規模の真実から見えること
ここまでの検証で見えたのは、首都圏小学校受験(99校)の市場規模が多くても7,000家庭ほど、全体倍率は0.9〜1.0倍という構造です。
私立小学校の総募集数と参加する家庭数は、ほぼ同数と言っても過言ではありません。
SNSやメディアでたびたび取り上げられる「小学校受験は過熱している」といったイメージは、この構造とは乖離しています。紺服軍団がいかにマイノリティであるかご理解いただけると思います。
毎年の結論ですが、首都圏の小学校受験は「全体で見れば倍率は1倍前後」と言える構造です。
「相性選考の本質を理解し、適切な受験戦略を立てれば、小学校受験は決して過酷な戦いではない」。これが構造から導かれる学びであり、戦略次第で全落ちは避けられる受験である理由です。
つまり、「どこまで私立に拘るか」が重要な意思決定となります。
もちろん、知名度や中学受験偏差値を基準に学校を選ぶ場合は、当然ながらハードルは高いままです。学校選びの基準はご家庭それぞれであり、どちらが良い悪いという話ではありません。
ただ、そのアプローチを選ぶなら、「全落ちの覚悟」と「子どもへの成功体験」の2つを必ず用意しておいてほしいと思います。結果がどうであれ、受験を実りある経験として終えるために必要な準備だと、毎年お伝えしています。
【コラム】なぜ受験産業はこの市場の真実を語らないのか
大手教室の手元には、4教室合同アンケートという大規模アンケートのデータがあります。
しかし、それをもとにした市場分析は、ほとんど世に出てきません。
その理由は、想像に難くありません。
「併願戦略をしっかり立てれば全落ちは避けられる」「有名校も複数出願を前提にすれば、構造的な倍率はそれほど高くない」といった事実が広まれば、受験産業にとっては都合が悪いからです。
親御さんの不安が少なくなれば、高額な講習の受講者は減ります。不透明さと情報の非対称性を武器に、親心に付け込む煽り方が通用しなくなります。
「そんなことはない」ならば、大規模アンケートの結果を分析・公開していただきたいものです。この問いかけは、毎年発信しております。
毎年同じことを問い続けなければならないこと自体が、業界の体質を物語っており極めて残念です。
【図解】出願倍率と全体倍率
ここで、総出願数と一家庭あたりの出願数の関係を図で見てみましょう。

極端な例ですが、学校が5つありそれぞれの募集定員が1名です。そこに6家庭が出願したとします。図中の赤丸で示したとおり、出願数は合計19件、したがって出願倍率は3.8倍になります。
一方で、青枠のとおり、実際に出願した家庭の数(=市場規模)は6家庭にすぎません。全体倍率は1.2倍です。 出願倍率3.8倍では「ほぼ4人に1人しか受からない」ように見えますが、全体倍率で見れば「6人中5人がどこかには合格できる」構図です。
複数出願による倍率の実態はこのように紐解けます。
【図解】補欠はなぜ回るのか
さて、上記の図は、こちらのような受験結果となりました。◯は合格、△は補欠です。

この図は小学校受験の縮図と言えます。様々な「あるある」が散りばめられているからです。
・A校とB校の高倍率ばかりが騒がれるが、全体倍率は1.2倍にすぎない(6家庭÷募集定員合計5名)
・高倍率校に挑むとはこういう構図(みんなが受ける)
・オオカミ家のB校辞退によって、コジカ家が補欠繰り上がり。その玉突きによって黒ヒョウ家の唯一の補欠が繰り上がる
・無双してそうなオオカミ家も、C校D校では落ちる小学校受験の相性選考
・辞退の多いE校は合格者を多めに出す
・どうしても私立小学校には行かせたかったペガサス家は、無事にE校の合格は果たせた
・A校はあくまでチャレンジ。受験当初からD校本命で走っていたヒツジ家は、予定通りD校をしっかりと合格
・高倍率校一本勝負のサル家はA校の2次落ちで全滅。覚悟していたなら良いですが、戦略不足なら残念な結果となる
・A校が慶應横浜初等部や暁星小学校等の場合、1次のペーパーを乗り越えたことで、受験産業は面目躍如となる(2次不合格は家庭の責任へと転嫁できる)
いかがでしょうか。今のご家庭の戦略に当てはめてみてください。
無料部分はここまでとなります。アンケートのご協力、本当にありがとうございました。
お帰りの際には、スキ(ハートマーク)をお願いします!
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