小説『ワンダリングノート・ファンタジー』(27)スマホを見て
Chapter27
「エフオー、エルエル⋯⋯『FOLLOW ME』って、私をフォローして? どういう事?」
レナは自分の生成した不細工なスマホ画面に浮かぶ、赤い文字の意味を解釈しようとした。しかしそれがぼやけてきた為、慌てて曇ったスクリーンをタップしながら呼びかけた。
「え? 待って! あなたは誰なの!?」
謎のメッセージとの交信を試みていたレナの耳に突然、水が跳ねる音が飛び込んできた。不意にその方を見た彼女は、池の辺りに透明に光る物体を目撃した。
「何⋯⋯あれは。だんだんと形が見えて⋯⋯人の姿のような?」
その物体は、レナに向かって手招きしているように見えた。そして、先ほどのスマホの画面に現れたメッセージを思い出し、彼女はハッとした。
「『FOLLOW ME』ついて来て⋯⋯ってこと!? これはあなたのメッセージなの?」
レナがそちらへ足を進めたと同時に、手に持っていたスマホから小さな声が聞こえた。
「⋯⋯ナ⋯⋯レナ⋯⋯聞こえるかい?」
「トム!?」
音量を上げようとしたがその機能しないボタンに諦め、急いでスマホを耳に近づけ、注意深く聞いた。
「ああ、僕だよ⋯⋯大丈夫、さっきの変な僕はどこかへ消えちゃったみたいだ。心配かけてごめん」
「トム、あなた⋯⋯今どうやってここに連絡してるの? それと、何かメッセージみたいなものを私に送った?」
「⋯⋯それはよくわからないけど、君がさっき見せてくれたあの、サンダルをイメージして生み出した時のように⋯⋯僕もやってみたんだ。そしたら君の姿が浮かんで⋯⋯今こうやって、声をかけてみたんだけど」
「もうそんな事ができるの!? ⋯⋯って、トムだもんね。私が『疑わずに信じる』って教えたばかりだし」
「それで、今君はどこにいるんだい?」
「池、あの広い池にいるの。トムにまだ話してなかったけれど、私はここで──」
レナの視線の先にある、手招きしていた物体がくるりと向きを変え、遠ざかっていくように見えた。彼女はそれが釣り竿を持った男性のような気がしたため、焦って声をかけた。
「待って!! あなたはこの間の!? ⋯⋯ごめんなさい、トム。今、私が探していた人がいたかも知れなくて」
「わかった。じゃあこれからそこへ行くよ」
スマホを片手に、レナはその人物を足早に追いかけた。

