見出し画像

制度だけでは人はつながらない。農村の文化に学ぶ組織づくり

私は、山の麓に位置する小さく、美しい集落で育ってきました。

ドローンで撮影


森の中に入り野イチゴを食べたり、畑や林の中で壮大なかくれんぼをして遊んでいました。
近所の牛舎からは、牛が逃亡し、大人たちが追っかけ回してた記憶もあります(笑)

そんなド田舎農村では、日常的に目にする光景がありました。

採れた野菜を近所に配るのです。

キュウリ、ナス、タマネギ。
決して高価なものではありませんが、
野菜を渡す人も、受け取る人も、その野菜の値段など気にしていません。

「たくさん採れたから、どうぞ」

「ありがとう。助かるよ」

ただ、それだけです。

では、なぜ農村では野菜を配るのでしょうか?

最近この問いを考えるうちに、私は人事の仕事との共通点に気づきました。


農村を支えている「贈与」という仕組み

文化人類学では、このような行為を「贈与」と呼びます。

「贈与」とは、単にモノを渡すことではありません。
相手との関係を育むために、自分の持っているものを先に差し出すことです。

農村では、野菜のお裾分けだけではありません。

  • 農作業を手伝う

  • 地域の情報を共有する

  • 困ったときに助け合う

そんなやり取りが日常的に行われています。

しかも、すぐに同じ価値のお返しを求めるわけではありません

「今回は私が渡す」
「次はあなたからもらうかもしれない」

そんな長い時間軸の中で関係が維持されています。

人々が交換しているのは野菜そのものではなく、信頼なのかもしれません。

もちろん、農村の人間関係には煩わしさもあります。それでも、小さな贈与の積み重ねが共同体を支えていることは確かです。


組織の中にも贈与は存在している

最近実家に帰省すると、私は職場のことを考えます。

平日は人事課題に向き合い、週末は畑に立つ。

一見するとまったく違う世界です。

けれども、
人が集団を維持する仕組みには”共通点”があるように思います。

組織の中でも、人はさまざまなものを贈与しています。

・新人に仕事を教える。
・ノウハウを共有する。
・相談に乗る。
・困っている同僚を手伝う。

どれも一見すると業務の一部です。

しかし、その価値は成果指標だけでは測れません。
なぜなら、それらは仕事を進めるだけでなく、人と人との関係を育てる行為でもあるからです。

農村で野菜が行き交うように、組織では知識や経験、時間や気遣いが行き交っています。

そして、その積み重ねが信頼関係の土台になっています。


なぜ制度だけでは人はつながらないのか

組織課題に直面すると、企業はまず制度を整えようとします。

・評価制度
・等級制度
・1on1
・研修制度 など

どれも大切です。
私自身、社労士としてその必要性を感じています。

しかし、
制度の構築・運用だけで、人間関係をつくることは本当にできるのでしょうか?

制度は行動を促すことができます。役割を明確にすることもできます。

けれども、信頼そのものを生み出すことはできません。

信頼は、人と人との間で繰り返される小さな贈与の中から生まれるからです。

だから組織づくりを考えるとき、

「どんな制度を導入するか?」

だけでなく、

どんな贈与が生まれているか?

という視点も必要なのだと思います。

・知識は共有されているだろうか?
・困ったときに助けを求められるだろうか?
・経験を次の世代へ手渡す文化はあるだろうか?

そんな問いを持つことが、組織づくりの出発点になるのかもしれません。


人事は何を設計する仕事なのだろう

組織づくりとは、何を設計することなのでしょうか?

制度?
評価?
研修?

もちろん、それらは重要です。

しかし、週末に農村で過ごしていると、別の答えも見えてきます。

「お裾分け文化」は、野菜を配る仕組みではありません。
人と人とのつながりを維持する仕組みです。

それは、企業でも同じです。

知識や時間、気遣いが自然に行き交うとき、人は組織の中でつながり始めます。

組織づくりとは、制度を整えることだけではありません。

贈与が生まれ、循環する関係性を設計することなのかもしれませんね。

あなたの会社では、
いま、どんな贈与が行き交っているでしょうか?😊

いいなと思ったら応援しよう!