薬剤師の年収は「どこで働くか」でこんなに違う ― 公的データで読み解く全国平均と地域差
薬剤師の年収って、結局いくらくらいなのでしょうか。
調べてみると、思っていたより「働く場所」で差が大きいことが見えてきます。今回は感覚や口コミではなく、国の公的な統計をもとに、薬剤師の年収をフラットに整理してみたいと思います。転職をすすめる話ではありません。自分の今の立ち位置を知るための、ひとつの地図として読んでいただけたら嬉しいです。
まず全国平均から
厚生労働省の「令和6年 賃金構造基本統計調査」をもとにした集計では、薬剤師の平均年収はおよそ599万円とされています。
ただ、平均という数字は一部の高い人に引っ張られて上がりやすい性質があります。より実感に近いとされる中央値はおよそ547万円。「平均より少し低いかも」と感じた方も、中央値で見ると真ん中あたり、というケースは少なくないはずです。
男女別では、男性がおよそ651万円、女性がおよそ556万円という集計でした。この差には、働き方(フルタイムかどうか)や勤続年数の構成の違いなども影響していると考えられ、単純に性別だけで決まる数字ではない点は補足しておきたいところです。
年代でどう変わるか
年代別に見ると、薬剤師の年収は他の職種に比べて初任給が高めで立ち上がる一方、その後の伸びはゆるやかと言われます。
集計では、最も平均年収が高いのは50〜54歳でおよそ745万円。逆に言うと、若いうちから比較的高い水準で始まるぶん、年齢を重ねても大きくは跳ねにくい、という構造が読み取れます。「昇給が渋い」と感じる方が多いのも、このカーブと無関係ではないのかもしれません。
意外と知られていない「地域差」
個人的に一番面白いと思ったのが、都道府県による差です。
都道府県別のランキングでは、1位は熊本県のおよそ762万円。全国平均を160万円以上も上回っています。一方で、最も低い県とは200万円以上の開きがある、という集計もあります。
「都会のほうが給料が高いのでは」と思いがちですが、薬剤師についてはむしろ逆の現象が起きやすいようです。背景には、薬剤師が都市部に集まりやすく、地方やへき地では人材が不足しがちという「地域偏在」があるとされています。人が足りない地域ほど、好条件を提示しないと採用が難しい。その結果として、地方の年収が高く出やすい、という構造です。
もちろん、これは平均値の話で、同じ県の中でも勤務先によって差はあります。それでも「年収を上げたいなら、勤務地という選択肢もある」という視点は、案外見落とされがちなのではないでしょうか。
数字をどう使うか
ここまで見てきて思うのは、年収は「自分の市場価値を測る一つのものさし」でしかない、ということです。
同じ薬剤師でも、業態(調剤薬局・ドラッグストア・病院・企業・派遣など)や地域、働き方で条件は大きく変わります。今の環境が合っていて満たされているなら、無理に動く必要はまったくありません。ただ、もし「頑張っているのに報われていない気がする」と感じることがあるなら、まずは自分の数字が全体のどのあたりにいるのかを知っておくこと。それが、納得して働き続けるためにも、環境を変えるかを考えるためにも、最初の一歩になるはずです。
このnoteでは、薬剤師として製薬・調剤業界の「今」を、IRや公的データといった事実ベースで読み解いていきます。次回以降は、業態別の年収のちがいや、都道府県ごとの深掘り、上場している調剤チェーン・ドラッグストアの平均給与の比較なども取り上げていく予定です。
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※本記事は公開情報・公的統計に基づく個人の見解です。特定の企業や転職を推奨するものではありません。年収の数字は厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」をもとにした各種集計値で、集計方法により多少の幅があります。最新・正確な数値は一次資料をご確認ください。
出典:厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」/同調査をもとにした各社まとめ
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