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旅で際立つ緑の影を

海を夢見て、空の下、際立つ緑の影をたどる


島の風景に根付く緑は、古来からその場所に自生
したものもあれば、長い旅をして島にやってきた
ものもある。空へ広がる枝葉。生きている化石とも
呼ばれる蘇鉄は、古代から変わらぬ姿で今に至る。


海沿いのアートを後にして、島の風景を進めば



素材が重なる重厚な漆喰塀の上に続く緑の姿



それは県の天然記念物でもある片山愛樹園のソテツで



200年ほど前に、沖縄から持ち帰られたものという



幕末から明治に西日本屈指の材木商として栄えた片山家



アプローチを構成する松にも、当時の面影を感じる



屋敷内の緑は勢いよく空へと広がり



うねるように枝葉を広げる神話的な姿



重厚な漆喰塀の上に続く



緑はかつての隆盛を今に伝え



蘇鉄の生命力に圧倒される


蘇鉄は海を渡り、日本にたどり着いた。それは
江戸時代までさかのぼる。南蛮文化の風に乗り、
戦国大名の時代を経て、今に至る。蘇鉄の描く
風景は、日本と南蛮との記憶の架け橋でもある。


旅先で出会う蘇鉄の風景。醍醐三宝院の庭では


世界遺産をたどる旅の途中にめぐり会った



枯山水にも蘇鉄。一休寺の庭園は刈り込まれたサツキと


複雑な形をなす蘇鉄との対比を持つ禅苑庭園




南蛮文化の風は、長崎から吹いては日本をめぐる


グラバー園では、巨大な蘇鉄の下をくぐり



九州へと伝播した風に乗り、旅を続け


大学キャンパスでも存在感のある姿に目を留めた



蘇鉄は博多の街の中にも取り込まれ


道端の風景で出会う姿もある



緑の風景を重ねるほどに


様々なところで出会う蘇轍



九州での締めくくりの五島への旅でも


空へと広がる葉は夏の光を受け輝いていた



旅先の荘厳な姿。私の中で、その最たるものは


かつての柳川藩主の邸宅にて。蘇鉄に旅の風景を



つなぎながら、豊島で出会ったその雄大な姿を見上げ



緑に海に空に、旅の風景をたどり


またそこにアートの記憶を重ねていく


寺院で、歴史を伝える建物で、街で、その場所ごと
で存在感を放つ蘇鉄。枝は四方に伸び、葉は風景
の均衡さを打ち破り、空気を揺らす存在となる。
優雅さといびつさの狭間で謳歌され続ける生命力。
その姿はヤマタノオロチのごとく壮大なものとも
なる。蘇なる鉄。植物らしからぬ名を持ち、古来
から変わらぬ姿に出会うほどに、私の中で南蛮の
風が吹く。出会う緑の面影を記憶に留め旅をして。


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