旅に照らされるものをたどって
歩いては坂を上り、焦点を合わせてはずらし
旅に照らされるものをたどる。叩けば響く石の音。
そっと立つ地蔵菩薩に鮮やかな花が添えられる。
道行く先には彫刻と雁行する石畳。空へとすっと
伸びる白の円形は、かつて航路を照らした建物。

石畳の重なりを伝い

カンカン石に耳をすます

粗い目をした彫刻は

この地を見守る地蔵菩薩で
四国村の風景を立ち上げた彫刻家が手掛けたもの

そっと添えられた花は

開村日に集った人々の思いを彩る

連なる彫刻と

連続する石の継ぎ目の先には

白の円形の灯台が建つ

役目を終えた大久野島灯台は
歴史をつなぐ役割を担い
四国村に移築され
二代目となる灯台が、今も航路を照らし続ける
旅の始まりに出会った灯台は

赤く輝いては
旅の始まりをも照らし

海を渡る旅では
風景の中にそびえる姿を重ねていく

かつての洋式灯台の側に建つ

灯台守が暮らした退息所は

イギリス人技師により、洋風建築として

外国人の灯台守のために建てられたもの

石の厚みを感じながら

敷居をまたぎ、内部に流れる空気と

灯台守の暮らしの断片にふれる

設えられた曲線を帯びる家具と
窓から差し込む淡い光に

いつかの洋館の強く差し込む光を
めぐった旅に思いをはせる

建物の前面に並ぶ石の円柱と

凹凸のある重厚な石造り

吹放しの廊下をくぐり

そっと内部へ足を踏み入れる

しんとした部屋には、淡く光が

沈むように、ゆっくりとした時間が流れている

質感のある石は、側面にもぐるりと

灰色から薄茶色へと彩度を帯びる

ギシギシと音が聞こえてきそうな丁番は
150年を越えて建つ建物の時を伝え
鍋島灯台は今も明かりを灯し続ける

三棟並ぶ退息所。最後の一棟は

明治後期に建てられたもので、洋風と和風が入り混じる

外壁はモルタル仕上げで

質素な佇まいの中に石張りのアクセント

時代とともに移り変わった建物が
三棟並んで静かに時を重ねている
穏やかに揺れる瀬戸内の海を渡り、うねる石畳
が続く坂の先に、かつて海に面して建っていた
灯台と、灯台守が暮らした退息所が、静かに時間
を重ねている。海に連なる灯台は、旅の行先を
照らし、役目を終えて、ひっそりと建つ灯台は、
新たな役目を担っては照らされる。旅に灯される
明かりを頼りに、その仄かな輝きをたどるように。
