足裏の感触を確かめるように
四国村に満ちるのは
重なりあう緑。時を重ねる建物のしっくい、土壁、
板塀、石積。その背景となり、主役ともなる敷き詰め
られた庵治の石。表面の凹凸が足裏に響く。彫刻家
は石を組んで滝を作り、敷き詰めては坂を作った。

石段を流れる水の音が

響いては水面を波立たせる

見上げると緑の隙間に空が覗き

足元に凹凸を感じる

滝の造形を手掛けた石の彫刻家は

四国村に多くの作品を残している

滝の上の池に浮かぶ石組みもその一つで

揺れる光が

湧き出す水の音と混じり合う

滝と同じく古い民家の土台石からなる石組を

手掛けた流政之は、四国村の風景を生み出した

距離感、空間、荒々しさ、穏やかさ

流れ坂はこの場所と核となるもので

入口から続く庵治石の石畳

足裏の感触を確かめるように

平坦ではない坂を

一歩ずつ上っていく

新緑が浮かぶ坂の先には

古民家に面した石畳広場

重量感のある石の連続と

時を経た質感に

静けさが重なっていく

広場に連なる大きな石は

残石と呼ばれ、小豆島から運ばれたもの

大阪城の築城に用いられなかった石が
時代を越えて四国村に並んでいる
流政之が残した風景、奏でられる音、過ぎゆく時間

大小さまざまな庵治石が敷き詰められた

流政之が描いたイメージを

流れ坂という名のてぬぐいに重ね、持ち帰る

石の記憶
質感、造形、風景との連続

彫刻家が残した風景を
たどっては心に留めながら

日常に街を見守る石の像の
まなざしを確かめる

四国村の風景を生み出した彫刻家の

思いに触れながら、斜面を上り

石畳をまた進む
石組みから流れる水の音を聞く。力強く重なり合う
石の坂を上り、感触を確かめる。ごつごつとした石
の連なりが五感に響く。四国村のメインストリート
の名前は流れ坂。流政之が手掛けた石の坂。彫刻家
の残した作品をたどる瀬戸内への旅で、出会った
風景に心を留め、いつかの風景へと思いをつなぐ。
