見出し画像

建物はその土地の記憶をまとうように

津山城跡に残された記憶のかけらや

時を重ねる建物の質感などの、旅先の懐かしい風景に
ひかれている。築100年の建物の時計塔は、今もなお、
時を刻み、街を見守り続けている。旅をするということ
は目に見える風景に、過去の風景が重なっていくこと。
時と場所を越え、その風景は私の中で形になっていく。


最初に上ってきた坂道をまた戻り
時計塔は刻々と時間を刻み、気づけば、お昼も過ぎた頃で

その土地の食にもひかれていて

津山といえば、ホルモンうどんを頂いて
そして風景を形作る、一つ一つの素材の手触りをたどり
その先へ。直ぐ側には、通り沿いに建てられた近代建築に
リズミカルな基壇の石の質感に、引き寄せられるようにして
足元のキリシタン燈籠に、ふと旅先の祈りの形が

思い起こされるようで、キリシタンの歴史の記憶は

建物や風景にそっと寄り添っている
建物はその用途を変えながら、時代に合わせて使われて
かつて市役所だった建物は、今は津山郷土博物館として
その日は残念ながら休館日。でも近づいて、建具のデザインや
当時の建物の重厚感を感じながら、建物の先に見える
時計塔。風景を形作る建物は、きっと人々の記憶の中に
入口の車寄せは丸みを帯びて、建物の雰囲気は少し柔らかく
全体のデザインは、縦長の窓がリズミカルに連続する直線的で
シンメトリーが強調されたアール・デコのデザインに

アール・デコといえば、その過渡期にあたる建物へも

もちろん彫刻も旅の風景の一つとして
1933年に建てられた建物は、昭和初期の官庁建築の特徴を
表すという。頂部のスクラッチタイルにも親しみを感じる
旧津山市庁舎は街の中心で、今は津山の郷土を伝える博物館に
建物は津山城のすぐ近くに建ち、石垣の風景とも
入り混じりながら、郷土という柔らかな空気感をまとっている

郷土は人の心に流れる記憶を呼び覚ます言葉でもあり

その土地の記憶が積み重なったものでもある。そして

建物に、郷土の記憶や形を感じながら旅を続けている

その場所で、文化を伝える新たな取組みも行われ

郷土という言葉によって風景の見え方も変わるように


郷土という言葉のあたたかな雰囲気にひかれている。
その言葉は懐かしい空気をまとい、いつかの風景が
そっと広がっていくような気配を持つ。その言葉は
身体感覚として、体に染み込んでいるものでもある。
そして旅をするほどに、風景や建物にふれることで、
空気感や歴史につながる郷土という言葉を意識する。


ざらついた壁面の質感、くっきりと浮かぶ街灯の影。
建物の窓が作り出す心地よい陰影と、ガラスに映り、
にじむような風景、石垣に染み込む時間の流れ。その
すべてにどこか懐かしさを感じつつ旅を続けている。

旅をするほどに対象は変化し、視点も変わり、言葉と
出会う。見ようとしなかったもの。見えなかったもの。
離れることで見えるもの。意識を変えれば、視点も少し
ずつずれて、風景の中の焦点も変わっていく。そして
また、土地の持つ記憶にふれるように旅を続けていく。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集