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過ぎゆく時間をのぞき込むように

白とサビが混じり合う犬島の石

チケットセンターの焼杉板。海に包まれる場所。
からみ合うようなカラミ煉瓦。遠くに残る煙突。
ぐるりめぐった犬島で、つなぐものとつながれる
ものの間と、かつてとやがての間に思いを寄せて。



色を帯びる石目の流れは



矢穴の跡に沿っては



石の記憶を浮かび上がらせる



かすかに染まりゆく空の色


穏やかな海に包まれる島から



海と空との境界を眺める



並ぶ石を伝うようにして


島の風景を重ねる



煙突は新たな役割を与えられ



石は緑に包まれていく



焼杉板に覆われた建物に



島をめぐってまた戻り



歩いた道程の上の



過ぎゆく時間に思いをはせる


ものの変化する速度のずれが



流れるように、沈むように


連なっては風景を形作る



足裏に凹凸を感じ



体全体で島の空気に触れる



じんわりと空が色を帯び



旅は終わりへと向かう



船が到着するまでの時間を



名残り惜しむようにして



チケットセンターのカフェに座り



ぼんやりと流れる雲と



ほんのりと酸味がかったマーマレードと



切り取られた犬島の風景に


時間はうつろう。ほっと一息つく間にも、島を歩く
間にも。いずれはおぼろげになる中で、心にそっと
置かれた時間。未来はやがて訪れて、静かに閉じる
かつての過去。過ぎゆく時間をのぞき込むように。





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