現実の不確かさと確かさと
ひとつひとつなぞらえて、存在する目の前の
風景を歩く。昨日まであったものが、なくなること
に感じる記憶の不確かさ。今、見えていたとしても、
ものの持つ意味はうつろい、変化する。ゆるやかに
変化する現実と積み重なる過去の視点。日々に綴る
言葉を立ち上げて、あいまいな現実に手をかざす。

記号が連なり、現実が動き始める

天井から差し込む光の色が
記憶の中の風景と混じり合い

商店街がまとう色彩が
祝祭の気配とつながりあう

動き始める街と
空間に視点を重ねては

ひらりと色は揺らめいて

祝祭を動的なものとする

確かなようで、不確かな風景に

記憶をそっと根付かせる

日常と非日常の境界をまたぎ

芸術祭に散りばめられた空間を積み重ねる

日常から切り離された場所で

浮遊する言葉にならない言葉
芸術家は思考をつなぎ

壁を生き物で埋め
かつての芸術祭に大きなクマのぬいぐるみを置く

思想となる言葉の連なりの線上の

詩人の問いかけに答えることは

自らの中に答えを探すこと

日々綴る言葉は、今では欠かせぬものとなり

絶え間なく続く時間と切り取られた時間の

中間領域をつなぎ

おぼろげなものを根付かせては

またつかみどころのないものに出会う

移動するほどに、重力を感じ

旅と日々に思考をめぐらして

そっと置かれた境界の間を歩く

言葉にふれるほどに

思考は拡張されては

また不確かなものに手を伸ばす
風景に存在する境界をまたいでは、言葉と言葉の
間を歩く。物体の確かな質感にふれ、ふわりとした
記憶に思いをはせる。現在と過去を編むように言葉
を綴り、日常と非日常をつなぎとめる。見えている
ようで見えないもの。目をこらせば見えるもの。旅
の視点を補助線とし、見えないものに心を沿わす。
