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その作品は漂うように、うつろうように

グラスの中に表現された空の向こうには


奈義現代美術館に常設される作品と、森の芸術祭での
作品が混じり合う空間へと進む。内から外へ、均一な
空気はゆらぎをまとう。広がる水面には雨粒が波紋を
幾重にも広げる。その上に設置された虚空に線を描く
彫刻は連なり、水面にゆらめき、空間に動きを与える。


 


グラスの中の空。グラスの向こうに漂い、うつろう作品は



奈義現代美術館の常設展示の宮崎愛子による「うつろひ」



ステレンスのしなやかなワイヤは幾重にも



ゆらめき定まることなく連なっている



屋外でもある中庭。作品につたう雫、水面は波紋を帯びる



ステンレスのワイヤは水面に映り、雨の波紋がその像をゆらす



コンクリートの壁で切り取られた空間の先には



森の芸術祭の展示の映像作品。そこには氾濫する水の映像が



スローモーションで流される。映像の中の時間の流れと



その空間の時間の流れが干渉しあう



水面の波紋は現れては消え、実在の時間の流れを確かなものに



ステンレスのワイヤはゆらめくように、その空間をただよい



スローモーションの映像は時間の流れに逆らうように



水面に映り込む映像に、時間の流れが溶け合うかのように





雨が止む。水面に映る像が顕わになり



水面の中の作品と空は鮮明となり、空間が広がる




水面の上に設置された線は、内部空間へと連続し



床に敷き詰められた丸石とコンクリートの壁を背景として



線は連続し、それらは面を作り、立体感を帯びていく



それは旅のイメージともつながるように



そして描かれる線に旅の軌跡をなぞるように



内部から外部へ、そしてまた外部へと、空間の質は変化し



連続する作品は、空間の中でただうように、うつろうように



水面の向こうに展示されていた映像作品は



坂本龍一と高谷史郎によるTIMEという作品



そして奈義現代美術館の常設作品の「うつろひ」


奈義現代美術館に展開される大地、太陽、月の3つの
部屋。「うつろひ」は大地の部屋に設置された宮脇愛子
によるもので、作品が建物の持つ固有の空間に応じる。
そしてその空間に、森の芸術祭による作品の坂本龍一
と高谷史郎による《TIME-déluge》の映像が重なる。


氾濫する水をスロモーションで捉えた映像は、その場
の時間の流れに干渉する。荒れ狂う水の映像は勢いに
反して、止まるかのごとくゆっくりと流される。映像は
水面に反射する。水面に広がる雨の波紋。映像はにじみ
水面に溶けていく。ステンレスのワイヤの作品は幾重
にも連なり、雨の雫をたたえ、水面に映り込む。そこに
広がる波紋は、水面に映る風景をゆらめかせていく。


うつろひという、空間にただようような作品と、展示
された水の映像が、溶け合い混じり合う。森の芸術祭
をたどる旅は、自然を感じる旅となった。朝靄、雲の
隙間、森のようなもの、雨の波紋、つたう雫。それぞれの
自然の要素は、関係しあいながら風景となっていく。


朝靄を抜け、雨にあたり、空気を感じ、その日の自然と、
アートが旅の一日と混ざり合って、固有の風景を生み
出していく。森の芸術祭のアートは自然とともにあり、
その風景が、空間が体の内なる記憶と溶け合うように。


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