空間と風景はゆらりとゆらりと
あちらこちらで、のんびり過ごす猫たちの
間を抜けて島を歩き、アートをめぐる。芸術祭の
秋会期に訪れた男木島で、坂を上り、階段を上る。
視点をくるりとてんてんとたどらせていくほどに、未知なる表現に揺さぶられては、引き寄せられて。

連なる目地の隙間を縫って

未知なるものへの門をくぐる

静かな家屋の入り口には

どんと、インパクトのある色と形

やわらかなピンクの生命体は

作者のモチーフとなるもので

でんと、部屋の片隅に鎮座する
それはふわりと、ずっしりと
作者の代わりに、訪れる人を出迎える

自画像がモチーフとされた作品は

島の子供たちとの共作で

時間がゆらめく空間で

姿形を変えながら

入れ子のように重ねられる

伸びる触手に絡め取られるように

並んだツボに引き込まれるように
形の間に身を寄せる

滲む色と溶け合う線

夢のごとく、散りばめられた色の上に

子供たちが描く自画像か浮かび

この場に記憶が重ねられていく

ひらりと抜ける視線の先には

瓦の波間に浮かぶ船

連なる坂道と屋根に

船の記憶がかすかに揺れる
祝祭が運んだ文字が島に舞い

染み込む時間に

青い幟がひるがえる

時を重ねる軒先を

くぐるように、祝祭がもたらした

ひとときを歩く。そっと置かれた
手押し車も、島の風景に馴じむように
島の子供たちの今と、みらいの自分を重ねた絵。
ずれては混じる形に、いつかの姿が思い描かれる。
重なる線に、少しずずつずれる形。のびる水平線に
揺らめく島並み。未知なるものにふれてはなぞり、
大きく小さくも、自らの視点を転じさせていく。
