アートと建物は重なり合うように
瀬戸内海とアートの間をぐるりとめぐり
また丸亀駅の側に佇む建物の前に立つ。らせんを
描く彫刻の背後には、一面に壁画が展開される。
ここではアートは建物と重なり合うように、空間
を動かし、外観に個性を与える。端正なフォルム
の連なりの中に、素朴でにぎやかな線描が浮かぶ。

創造の広場と名付けられた空間に
日常に美術を、という猪熊弦一郎の想いが漂う

建物がまだ動き始める前に

その想いをしばらくの間、一人で受け取る
芸術家のまなざしに触れた建築家は

アートを建物に重ね合わせ、関係性を構築した

子どもたちのためにと描かれた素朴な絵

そこには、芸術は誰にでも生み出すことができるもので

日常の中に置くべきものであるとした

創造することを願う芸術家の想いがあふれる

壁面に象嵌された、一本一本の線、飛び跳ねる点

芸術家の強い想いを、建築家が受け止めるように
二人の個性がぶつかり、溶け合う建物となる

端正な納まりや素材と、親しみあふれる筆致

それらは互いに引き立て合い、惹かれ合う

建物は芸術の背景となり

芸術は建物をここにしかないものとする
丸亀の地に降り立った美術館は、30年の時を重ね

また未来ヘ向かい、人々を日常から芸術へと誘う

アートは日々の視点をずらし

視点は日常の見え方を変える

旅で出会う、その場所の日常で

芸術家と建築家の重なる想いにふれる

リズムよく切り替えられた素材は

内部の構成を外部に表出させる

表情を転じていく建物に沿い
谷口吉生という建築家が描く線をたどる

窓に切り取られた階段のシルエットも絵画のように

静かなフォルムの中に、楽しさが散りばめられているのは
芸術家の想いを汲み取る

建築家の回答であるようにも思えてくる
アートは建物に取り込まれ、建物はアートの様相
を携える。抽象絵画のような石張りの壁面。突出
した曲面を描くボリューム。転じる形に引き寄せ
られるように、街の一部を変容させる建物の下を
歩く。渦巻いた芸術家の想いは多くの人に伝わり、
建築家の思考を重ね、丸亀の街に形となっている。
