アートは小豆島を照らすように
棚田から海、そして目指すは小豆島につむがれる
アートの風景へ。小豆島に建つ現代美術館は、旅
の始まりにはまだ閉館中で、また開館時間に戻って
きた。島の東側から始まった旅は、西へ東へと円を
描くように進み、黄金に輝く作品へたどり着いた。

旅の始まりは早く、建物にはCLOSEDの文字
走りながら旅のルートを考えて、旅の終わりに

また戻ってこようとイメージした小豆島の旅

寄り道しながらも、予定時間に美術館へ到着し

焼杉板の扉をくぐり奥につながる

緑あふれる雑木の小道を進む

木漏れ日は焼杉板にゆらゆらと像を重ね

青々とした緑が小道に光を反射させる

足元の緑にも目を留め、建物の入口へ。美術館は

幾つかの施設からなり、まずはジョルジュ・ギャラリーへ

ここはジョルジュ・ルース氏のアートを展示する場所で
それは1995年の阪神アートプロジェクトから

つながって、2018年に小豆島に三つの作品が設置された

一つは半屋外の納屋に描かれた作品で、風化して
色を失った様子を、今回の旅の初めに立ち寄った

二つ目はジョルジュ・ギャラリーの小屋裏に

白いチョークで描かれたもの

時を経て失われていく像も、きっと想定内のこと

そして三つ目の作品は、縁側から光が差し込む和室で

金色の泊で表現される形は、やわらかな光を帯びながら

長押に、鴨居に、襖に、畳に、曲線を描くように施され

その曲線が描く像は、部分的につながりを見せる

欄間から、垂れ壁、鴨居へと質感を変えながら続く

金箔は釘隠しにも立体的に光を帯びさせて

時を重ねる空間に、新たな記憶を与えるようで

描かれる曲線は、角度によって関係性を様々にし

視覚と、知覚と、錯覚を提示する作品となっている

角度によって知覚する像が変化していく作品は
神戸の地下道でも目にしたもの

ジョルジュ・ギャラリーの金箔で描かれる作品も

角度を変えることで、だんだんと像が重なりあい

ある一点からは円の像を結ぶ。2018年に制作された作品は

100年続く家屋に、新たな記憶を重ねるもの

それぞれの像が重なり、円にみえる場所には目印も
その作品は、神戸からつながり小豆島へやってきた
ジョルジュ・ルース氏は、失なわれゆく空間に、
ひとときの像を描き出し、写真に納め記憶に残す。
視覚に訴え、錯覚を生じさせて、知覚をゆるがせる
作品は、形が持つおぼろげで、とりとめのなさを
提示する。ものの見え方は角度によって、大きく
異なるものだということを、改めて感じる作品と
の出会い。氏は失われてしまうものに、新たな角度
で重ねた記憶を、様々な場所で刻み続けている。
その中でも、ジョルジュ・ギャラリーの作品は、
常設として残されるもの。この黄金の円は、失われ
ていったものに代わって、小豆島を照らすように。
