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これからも磯崎新の創作の連なりへ

奈義現代美術館という3つのアートの器を手掛けた 


建築家 磯崎新。惜しくも2022年に91歳の生涯に幕が
降ろされた。美術や文学、思想の領域。都市、建築、
家具、アート、空間。それらの分野を包み込むように、
研ぎすますように、概念から実在する形をともなう
ものへと、様々な創作にあふれた人生を歩まれた。


その歩みを思えば、知り得たことはほんのわずかで、 
ならばこそ、この先も磯崎新の創作をたどっていこう。



今回の旅は森の芸術祭に合わせて、津山、そして奈義町へ



奈義町といえば奈義現代美術館が町の中心で出迎えてくれ



いつかの旅の記憶をたぐり、散りばめられたデザインをたどる



ゆるやかな曲線を持つかわいらしい黒い椅子は



かつての旅ではモンローチェアと共に設置されていた



ローバックのもの。デザインしたのは同じく磯崎新で



今回の旅でも、その姿にまた出会うことができた



モンローチェアの繊細な曲線と、凛とした直線に


磯崎新の自由な建築とのつながりを感じる



空間の質をも左右するデザインされた椅子は



森の芸術祭にあわせた磯崎新の個展で展示されて



そこで創作物の中に交じるモンローチェアにも





展示作品には、にじむ水彩で描かれた奈義町現代美術館



また設計の過程を記すスケッチでは、建物の形は



だんだんと姿形をあらわにしながら



奈義町という場所とつながる固有のものへ



建物が配置された角度は、それぞれに異なり



関係性を保ちながら風景を構成している



そして建物は周囲との均衡を保つようにも、動き出すようにも



またかつて見た奈義町現代美術館の模型も視点を強化する



奈義現代美術館はアートを包含し、建物自体もアートのようで





また氏が手掛けた作品には、よりアートに近いものもある



生命体のような弾力性を持った大きな形は



空気により風船のように膨らまされて



移動式コンサートホールとなるアークノヴァ


手がけられるのは、現れては消えゆく瞬間的な空間も



展示には過去の建築作品の内部空間のパネルもあり



それは40歳の時に手がけた、研ぎ澄まされ



斬新で、前衛的で、情熱的な福岡相互銀行本店



その切り取られた空間の写真にしばし足を止める


かの建築家と建物の、ありし日を思い浮かべながら



その創作の範囲は、建築にとどまることなく


アートの領域へとにじみ出て、またアートを包み込むように



思考は、自由に様々なものを混然一体とさせ



奈義現代美術館は、まさに建築とアートが融合する場所に




そして磯崎新の残した建築に思いを馳せて


過去にも、その建築群をたどってきた。中でも



北九州は磯崎新の建築に溢れていて、重ねられる



色や形の連なりに圧倒される旅もした。小倉駅の側に建つ


コンベンションセンターは時代の空気を切り取って



また時代を超えて、唯一無二のうねるような空間が


北九州市立中央図書館には広がっている



建築家の思いは建物に込められて、建物はその思いを


今もなお空へ向かって放ち続けている



北九州市は磯崎新が建築に託した思いにあふれている


九州で過ごした一時期に



湯布院への旅では、思いもよらない経験もしたけど


それがまた風景や建築への旅を続ける思いにつながって



関西に戻っても磯崎新の残したものへ旅を続け


そしてようやく今回、16年ぶりに



奈義町現代美術館に再び会いに来た



ここは作品と建物が一体化した場所


そして磯崎新の思いや、創作へこの先も


これらが一人の建築家による創作の連なりということ
に深く感じ入る。建物の自由な形、めくるめく素材感、
複雑に絡み合う色合い。静謐さと開放感。抑制された
質感と大胆な形。強固な意思を持つ直線とおだやかな
感情をあらわすかのような曲線。窓の配置は繊細に、
建物の構成は大胆に。まだその偉業のほんの一端を
知るに過ぎないが、磯崎新という建築家の思いの断片
にふれてきた。さて私の旅もまだ序盤。磯崎新の創作
の形を、こめられた思いたどる旅を、続けていこう。


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