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島にそっと漂う時間の中で

秋の訪れとともに祝祭の気配が流れる


瀬戸内海の島々へ旅をした。本島から高見島と船
を乗り継ぎ、粟島へたどり着いた。この地の風景に
引き寄せられるように、アートの視点を重ねた一日
も終わりに向かう頃、限られた時間に身を寄せる。



海風は青い幟をはためかせ



島に漂う時間に、旅のひとときを重ねる



穏やかな瀬戸内海を西へと渡り



祝祭の気配がにじむ粟島へとやってきた



ここは鮮やかな花が風に揺れ


緑豊かな島でもある



形のリズムは旅のリズム


島の形をたどり歩く



アートは思考を転じさせ


記憶をつなぐ断片となる



芸術祭に速度を変える島の時間に


日々の視点を交差させる



散りばめられた浮き球は、赤や青に彩られ



アートの空気が漂う島に



ふわりふわりと心も軽やかに



風景に重なる物語の間を歩く


時と場所を超えていくアートの力は




あらゆるものに降り注いでは


モノの持つ価値を揺り動かしていく



海の記憶を帯びる浮き玉は、姿を変え



至る所で、旅人を迎えてくれる



島の日常の中に歩けば


連なる格子に、旅は時を超えていく



時の中に沈むように並ぶ錨、色褪せる板塀


積層する時間の中を、通り抜けるわずかな瞬間



アートは常に視点を、解体しては組み立てて



風景の中に新たな物語を生じさせる



ものの形や動きの中に漂う記憶の断片は



不在と実在を交錯させるもの



かつて海を躍動した船が、島の記憶と入り交じるのは


青野文昭氏による、過去の欠片で構成される世界



島に降り積もり、堆積しては



はがれゆく時の重なりの中を



その重みを感じるようにして


青い幟を伝い、島から島をたどり歩く。錆びゆく
格子に、風に揺れるブーゲンビリア。剥がれた土壁
の向こうには青々と緑が茂る。繰り返される島の
時間に、記憶の欠片が散りばめられる。過ぎゆく
時を帯びる風景に沿い、島をめぐる旅を続ける。


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