海にゆらめく時を重ねる
旅の時間ははかなくて
ほんの一握りのささやかな時。海は終わりがない
ほどで、空は果てしなく続く。光の揺らぎを追い
かけて、島から島へ、過去から現在へと時をつなぐ。
輝く雲は過去の形を帯び、海に繰り返す波の先へ。

少しずつ旅の様相は角度を変え
ずれては連なり、繰り返す

旅は満ちては引いての
振幅の中にある

光がゆらめき海が滲んでいく

遠ざかる島影を、波が飲み込み
波に船は上下して、時折、飛沫が舞い上がる

光を拡散させる雲の流れ

空は色をなして
旅の記憶を染めていく

水平線に浮かぶのは
島と雲と思い出

船は海を揺らし

濃淡に満ちる風景に、一筋の跡を残していく
空と海の色に、いつかの旅に手を伸ばす

重なってはずれゆく島影を

包み込むような波の上に
島から島への旅を紡ぐ

空を見上げるほどに、雲の表情は移りゆく

その下に暮らす人、通り過ぎる人

時を生み出す人、未来につなぐ人
手に残るささやかな光をすくい

過去から今へと旅をつなぐ

建物が建ち並ぶ港が近づいてくる

船は速度を落として旋回する

風景がぐるりとまわる

海が光をかき混ぜる
幾度となく繰り返される日々は

限りある時間にささやかに輝く

足を地につける。その記憶を体に伝えるように
重なりあう島々。船影が遠くの光に浮かぶ。船に
生じる航跡は、海をかき分けては消える。繰り返す
光景は、けして一様ではなく、旅の気配をまとう。
波に上下する船尾。振り落とされることのない
ようにしっかりと手摺を掴む。体に力が加わる。
こぼれる記憶を留める。瀬戸内海の島をめぐる旅。
芸術祭に秋風が吹き、海にゆらめく時を重ねる。
