海をめぐる旅を続けて
揺り動かされる視点に
旅の数だけ風景を重ねていく。海をめぐる旅を続け
て、また瀬戸内海へとやってきた。まだひっそりと
した美術館を後にし、丸亀港から島へ渡る船に乗り
込む。旅は瀬戸内国際芸術祭の秋会期の頃のこと。

船はエンジン音を響かせながら

ゆっくりと出港する。並び停泊する船に
島での記憶をよぎらせながら

だんだんと高度を上げる太陽に

水面は温かな光を帯びていく
旅をして、光が留まる海の表情にふれる

遠ざかる丸亀の街を振り返りつつ

海をめぐる旅に心も高まる

遠くにかかる瀬戸大橋を東に見ながら

デッキの上でのひとときに

吹き抜ける風と潮の香りに包まれる

あます所なく近くへ遠くへと

視点を運び、風景を繰り返す

大きな弧を描く吊橋が浮かぶ海に

太陽の光は揺れてはきらめく
旅するほどに輝く海との出会い

デッキから眺める水のゆらぎ、光の移ろい

手摺が描く円や曲線に切り取られる
アートの視点により、風景に関係性を見出していく

海の上を進みゆく船が

たゆたう光の上に達しては

過ぎゆく時間の中で

光は対象に立体感を帯びさせては、失わせる

船が立てる白波は、ゆるやかに

航跡を描いては消えていく

遠ざかる四国の山並みを眺めては
瀬戸内海の記憶を重ねていく

船に落ちる影もだんだんと姿を変えて

重なっては離れる島々を眺める内に

目的の島は形を確かなものとする

船はゆっくりと速度を緩め

ひとときの海の旅を終える

もやいがつなぐ風景を
港から港へと重ねながら

海を渡り目的の島へとやってきた
穏やかな水面を光がうつろう。波はゆっくりと弧
を描く。海の風景をつなぐ船に乗って島へと渡る。
到着したのは瀬戸内海に浮かぶ塩飽28島の中心と
なる本島。ここから今回の島をめぐる旅を始める。
