#009 たった一言で「僕の心」は動かされた リッツ・カールトンで出会った "記憶に残る達人"
こんばんは😊
『記憶に残る人になる』著者の福島靖です。
このnoteでは、人の心を動かし、記憶に残る人になるための思考と実践を、
ホテルマン・営業マンとしての実体験からお伝えしています。
前回 (#008) に引き続き、僕がザ・リッツ・カールトン東京で働いていた頃に出会った、「記憶に残っている達人」の話をしたいと思います。
そもそも、記憶に残るというのはどういうことか。
それは、相手から" 心を動かされるレベルの、強い印象を受けた"ということです。
今回登場するのは、レストランでもフロントでもありません。
ホテルの営業マンです。
ホテルの営業という仕事
ホテルの営業という仕事は、あまりイメージが湧かないかもしれません。
例えば、ホテルには宴会場がありますよね。
その宴会場を企業パーティーで利用してもらうために企業へ営業をしたり。
あるいは、国際映画祭など東京でイベントが開催される際に、
「ぜひうちのホテルに泊まってください」と団体宿泊を提案したり。
結婚を控えているカップルへ向けた「ブライダルフェア」も、実はホテル営業の仕事です。
そして営業の人たちは、見込みのお客様をホテルに招待して、
ラウンジでお茶を飲みながら商談をすることもよくありました。
当時のザ・リッツ・カールトン東京。
45階のロビーラウンジは、そんな商談の場としても使われていました。
営業の方はラウンジ前でお客様と待ち合わせ、席に案内する。
商談が終わると、お客様をエレベーター前まで見送って営業部へ戻る。
それが、よくある光景でした。
一人だけ、行動が違う営業がいた
たくさんの営業の方を見てきましたが、その中で
一人だけ、強く記憶に残っている人がいます。
それが、営業の Kさん です。
最初に言っておきますが、リッツの営業はみんな感じの良い人たちです。
横柄な人なんて一人もいません。
でも、その中でもKさんは別格だったんですよ。
理由は、
お客様を見送った後の、ある行動です。
他の営業の人たちは、ラウンジ入口付近にいるラウンジのマネージャーに軽く会釈をして、お客様をエレベーターまで見送る。
そして、そのまま営業部へ戻ります。
次の仕事がありますから、それは当然です。
でも、Kさんだけは違いました。
お客様を見送ったあと、
もう一度ラウンジに戻ってくるんですよ。
そして、ラウンジの端に立って、こちらをずっと見ている。
僕は最初、
「何してるんだろう?」と思っていました。
そのまま接客を続けて、
僕の手が空いた瞬間でした。
Kさんがサッと近づいてきて、こう言ったんです。
「先ほどは本当にありがとうございました。
福島さんの接客のおかげで、良い商談になりました。」
僕は驚きました。
だって、接客したスタッフ本人に直接お礼を言いに来る営業なんて、他にいなかったからです。
僕たちにとって営業の方も大切なお客様です。
だから、ベストの接客をするのは当然のこと。
それなのに、わざわざ戻ってきて、
直接お礼を伝えてくれた。
それが、ものすごく嬉しかったんです。
Kさんはそれだけ言うと、軽く一礼して営業部へ戻っていきました。
たったそれだけ?の違い
その後、Kさんの予約が入るたびに気づきました。
彼は、僕だけじゃない。
担当したスタッフ全員に、必ず直接お礼を伝えていたんです。
Kさんと他の営業の違い。
それは、
「直接、ありがとうを伝える」
ただそれだけでした。
でも、それが本当に嬉しかった・・。
ホテルの営業部は少数精鋭の部署です。
一方、僕たちレストラン部門はアルバイトも含めれば何倍もの人数がいます。
それに営業の人たちは、どこかエリートに見えた。
僕なんて、やっと定時制高校を卒業したくらいです。
だから僕は、どこかで思っていました。
営業の人たちは、
自分とは住む世界が違う人たちなんだろうと。
でも、Kさんは違いました。
僕のことをちゃんと見てくれて、
感謝を伝えてくれた。
それが嬉しかったんです。
人は、こういう人のために動きたくなる
面白いことが起きました。
営業から席の相談が来ても、
満席なら席は作れません。
一般のお客様が最優先です。
でも、不思議なんですよ。
Kさんから相談されると、
「なんとか席を作れないか…」
そんな思考が働くんです。
他の営業なら、普通に断れたのに。
Kさんには、なんとかしてあげたい・・と思ってしまう。
これって、ホテルだけの話じゃないですよね。
人を動かすのは、特別な能力じゃない
営業マン時代、
ある有名な経営者を訪ねたことがあります。
とても大きな会社なのに、
社員からものすごく慕われている。
そんな前評判は聞いてはいました。
「でも、本当にそんなことあるのかな?」
僕は正直、半信半疑でした。
でも、理由を目の前で見たんです。
通された会議室にお菓子が置かれていたんです。
社員の方が旅行のお土産で持ってきたものだそうです。
商談が終わったあと、その社長は僕にこう言いました。
「ちょっとごめんね」
そして、席を立って一人の社員のところへ近づいていく。
そして・・
「あのお菓子、本当に美味しかったよ。ありがとうね」
すると社員さんは満面の笑顔で、
「ありがとうございます!嬉しいです!」
と大喜びしていました。
その瞬間、僕は思いました。
これなんだな。
人の心を動かす人。
いわゆる「人たらし」と言われる人。
そういう人たちは、
何か特別なことをしているわけではありません。
ただ、
誰よりも小さなコミュニケーションを大切にしている。
そして、
小さなことにも心から感謝している。
それだけなんです。
リッツ・カールトンで出会った営業のKさん。
彼の姿は、
今でも僕の中に残っています。
そして気づけば、
あの時の教訓は、今では僕の在り方になっています😊
