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『The Culture Map』を読み解く③~褒める?叱る?文化によるフィードバックの違いとは~

本日は、『The Culture Map』by Erin Meyerの第二章を読み解きます。邦題は『異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』です。


本への興味のきっかけとご紹介スタイル

きっかけ:

「日本生まれ、米国育ち」と「DE&I」が繋がり、私が生涯を通して学びたいテーマに関する内容が扱われているためです。

ご紹介スタイル:

この記事では、本書の全内容を紹介するのではなく、「面白い!」と思ったポイントを抜粋し、私自身の感想や体験を交えながらお伝えしています。また、最後には必ず私の学びの一環として、読書中に出てきた重要な単語やフレーズをまとめます。

★詳細は初回記事に掲載しています:

<著者の公式ウェブサイト> 

https://erinmeyer.com/

<本の目次>

Introduction: Navigating Cultural Differences and the Wisdom of Mrs. Chen
1. Listening to the Air
 Communicating Across Cultures
2. The Many Faces of Polite
 Evaluating Performance and Providing Negative Feedback
3. Why Versus How
 The art of Persuasion in a Multicultural World
4. How Much Respect Do You Want?
 Leadership, Hierarchy, and Power
5. Big D or Little d
 Who Decides, and How?
6. The Head or the Heart
 Two Types of Trust and How They Grow
7. The Needle, Not the Knife
 Disagreeing Productivity
8. How Late is Late?
 Scheduling and Cross-Cultural Perceptions of Time
Epilogue: Putting the Culture Map to Work

The Culture Map by Erin Meyer

2. The Many Faces of Polite

この章では、筆者がさまざまな人種との交流(仕事を通じて)の経験をもとに、各国の評価(特にネガティブな評価)をする際の表現方法とその背景についての考察しています。

ご紹介したいポイント

◆アメリカ(C文化圏)での否定的フィードバックは間接的?!

Some cultures that are low-context and explicit may be cryptically indirect with negative criticism, while other cultures that speak between the lines may be explicit, straight talkers when telling you what you did wrong. As we will see, the French and the Americans are not the only cultures that swap places on the Communicating and Evaluating scales.

The Culture Map by Erin Meyer (pp.62)

「いくつかのローコンテクストで明確な文化は、否定的な批判に関しては意外にも遠回しに表現することがあります。一方で、普段は行間を読むようなハイコンテクスト文化でも、何が間違っていたのかを伝える際には率直で明快な話し方をすることがあります。これから見ていくように、フランス人とアメリカ人だけが「コミュニケーション」と「評価」の尺度において立場を入れ替えるわけではありません。」

First, when providing an evaluation, be explicit and low-context with both positive and negative feedback. But don't launch into the negatives until you have also explicitly stated something that you appreciate about the person or the situation. The positive comments should be honest and stated in a detailed, explicit manner. 
(omitted) Second, try over time, to be balanced in the amount of positive and negative feedback you give. For example, if you notice something positive your colleague has done on Monday, say it there and then with explicit, open appreciation. Then, on Tuesday, when you need to severely criticize the same colleague's disappointing proposal before it is sent to the client, your comments will be more likely to be heard and considered rather than rejected out of hand.
Third, frame your behavior in cultural terms. Talk about the cultural differences that explain your communication style. If possible, show appreciation for the other culture while laughing hummbly at your own. 

The Culture Map by Erin Meyer (pp.81)

「まず、評価を行う際には、ポジティブなフィードバックとネガティブなフィードバックの両方を、明確かつローコンテクストで伝えることが重要 です。ただし、ネガティブな点に入る前に、その人や状況について感謝していることを明確に述べる ようにしましょう。ポジティブなコメントは、誠実であり、詳細かつ明確に伝えることが大切です。(省略)

次に、ポジティブとネガティブのフィードバックのバランスを取ることを意識 しましょう。たとえば、月曜日に同僚が良い仕事をしたと気づいたら、その場で明確に感謝の意を伝えます。そして、火曜日に同僚の提案を厳しく批評しなければならない場合でも、前日のポジティブなフィードバックがあることで、相手は意見を受け入れやすくなり、頭ごなしに拒絶される可能性が低くなります。

最後に、自分の行動を文化的な観点で説明 することも有効です。自分のコミュニケーションスタイルを生んだ文化の違いについて話し、可能であれば、相手の文化に敬意を示しながら、自分の文化について謙虚にユーモアを交えて話す と、よりスムーズなコミュニケーションにつながります。」


このように、アメリカはローコンテクスト文化でありながら、否定的なフィードバックは直接的に伝えない傾向があります。実際の職場での経験を振り返ると、直接的な批判を受けたことはほとんどなく、多くの場合はまず褒め言葉から入り、その後、「…で、○○のことなんだけど、もう少し○○するのはどうかな?」といった慎重な表現が使われることが多いです。

アメリカのドラマや映画にも、職場をテーマにした作品が数多くあります。こうした場面を注意深く観察すると、ストレートな批判がほとんどなく、ネガティブフィードバックがいかに工夫されているかが分かると思います。エリートなビジネスマンほど、この点に非常に気を付けている印象があります。

◆上司は部下に権威を見せつけるために他人の前で叱る?!

Managers in different parts of the world are conditioned to give feedback in drastically different ways. The Chinese manager learns never to criticize a colleague openly or in front of others, while the Dutch manager learns always to be honest and to give the message straight. Americans are trained to wrap positive messages around negative ones, while the French are trained to criticize passionately and provide positive feedback sparingly.
Having a clear understanding of these differences and strategies for navigating them is crucial for leaders of cross-cultural teams.

The Culture Map by Erin Meyer (pp.65)

「世界のさまざまな地域のマネージャーは、全く異なる方法でフィードバックを与えるように教育されています。中国のマネージャーは、同僚を公の場や他人の前で決して厳しいフィードバックをしないように学びます。一方、オランダのマネージャーは、常に正直に率直なメッセージを伝えるように教えられます。アメリカのマネージャーは、否定的なフィードバックを伝える際に、ポジティブなメッセージで挟むように訓練されますが、フランスのマネージャーは、情熱的に否定的なフィードバックをし、ポジティブなフィードバックは最小限にとどめることを学びます。 こうした違いを理解し、それに対応する戦略を持つことは、異文化チームを率いるリーダーにとって非常に重要です。」


では、皆さんの職場ではどうでしょうか?日本の職場では、最近「パワハラ」と言われることが増えたため、人前で否定的なフィードバックをするのはNGとされる傾向がありますよね。とはいえ、私自身も過去に上司から人前で叱責された経験があります。そのとき、「これはパワハラなのでは?」と正直思ったこともありました。この本を読んで、その経験を思い出しながら、「やっぱり?!」と妙に納得した部分があったので、ご紹介します。

Here is one final warning for anyone working with people from a quadrant D culture. While indirect feedback is the norm, it is quite possible for a boss to give scathing negative feedback to an employee while remaining entirely within the realm of the appropriate. In these cases, the strongly hierarchical tendencies found in many quadrant D cultures trump their indirect feedback patterns. Thus, it's not unheard of for a boss in Korea to berate an employee publicly or for an Indian boss to bark criticism to their staff in a way that shocks and silences any Europeans or Americans within earshot.

The Culture Map by Erin Meyer (pp.87)

「D文化圏(ハイコンテクスト文化で間接的な否定的フィードバックを行う国々)では、通常、批判は直接的に伝えられません。しかし、職場における厳格な階層構造がこのルールを上回ることがあります。つまり、上司が部下に厳しくフィードバックすることが「適切」とされるケースがあるのです。例えば、韓国では上司が部下を公の場で叱責することが珍しくなく、インドでは上司が部下に対して非常に厳しい口調で指摘をすることもあります。このような状況に欧米の人々は驚くことが多いのです。」


日本もD文化圏に分類される国のひとつ。これを読んで「なるほど…」と思ったのですが、特に昭和・平成時代の日本では、上司が部下をチーム全員の前で叱責することが当たり前のように行われていましたよね。これは、「人前で誰かを叱る=その人が権力を持っていることを示せる」 という文化が根付いていたからではないでしょうか。しかし、私はこう思います。「肩書きがあるのだから、わざわざ人前で権威を誇示しなくてもいいのでは?」と。

最近、育児の世界でも「叱らない育児」がトレンドになっていますが、職場でも同じことが言えるのではないでしょうか?叱責を減らすことで、職場のストレスが軽減される可能性は大いにありますよね。

「いやいや、育児なら親としての権威を示さなければ!」「職場なら上司としての威厳を保つべきだ!」という意見の方もいるでしょう。
では、なぜそう思うのでしょうか? 皆さんはどう考えますか?

(補足)文化ごとのフィードバックの傾向

◆否定的なフィードバックをするときは受け手側の気持ちが鍵。

Politeness is in the eye of the beholder. Giving feedback--especially when it's negative--is a sensitive business at the best of times. It can be made a lot worse if the person receiving the feedback believes he or she has been spoken to rudely. Precisely what constitutes rudeness, however, varies enormously from place to place.

The Culture Map by Erin Meyer (pp.88)

「礼儀正しさは受け手の感じ方次第です。特に、フィードバック(とくに否定的なもの)を伝えることは、どんな状況でも繊細な対応が求められます。さらに悪い状況を招くのは、フィードバックを受ける側が『失礼な言い方をされた』と感じたときです。しかし、何が『失礼』にあたるかは、国や文化によって大きく異なります。」


私自身、職場で何度も厳しいフィードバックを受けたことがありますが、できるだけ「ありがたいご指摘」として受け止めるように意識していました。それができたのは、母の厳しいバイオリンの指導が影響しているのかもしれません。

母は「伸びしろがなければ怒りもしない」とよく言っていました。そんな前提があるので、子どもながらに「怒られる=期待されている証拠」とどこかで思うようになったのです。もちろん𠮟られるのは嫌ですし、「ここがダメ、あそこがダメ、もっとこうしなさい!」と言われ続けるのは本当にしんどい。でも、「見込みがあるから𠮟られているんだ」と考えることで、何とか耐えられました(笑)。

そんな経験があるからか、職場で上司に𠮟責されるたびに、私は必ず「ご指摘いただきありがとうございます」と言っていました。心の中では、「(私の成長のために)ご指摘いただきありがとうございます!(私はこれでさらにパワーアップするぞ!! わはははは!!!)」くらいの勢いで唱えていました(笑)。

この考え方は、どんなに厳しい上司が相手でも落ち込まずに済むし、相手も嫌な気持ちにならないのでおすすめです。ただし、( )内の言葉は決して口に出さないようにご注意ください(笑)。また、批判といっても明らかにパワハラだと感じたり、納得がいかなかったり、倫理的におかしい等が見受けられる場合には、必ず問題視するようにしてください。


さて、筆者も指摘していますが、批判の受け止め方は文化によって異なります。どんなに厳しいフィードバックでも、それを「ありがたいご指摘」と捉える文化では受け入れられます。一方で、フィードバックの仕方が礼儀正しくないと感じられた途端、内容以前に「失礼な態度」として拒絶されてしまうこともあります。

これは、インクルーシブな環境でも「受け手側の気持ち」が重要であるという考え方につながります。私はこの視点を改めて学び、大切な考え方だと感じました。

そして、この章の結論としては、批判する側は、相手の出身国や文化を考慮するだけでなく、その人の置かれた立場や背景にも配慮しながら、適切な表現で伝えることが理想的ということです。

職場の人間関係において、信頼関係を築くことが何より大切。お互いが心地よい関係でいられるように意識することは、より良い職場環境を作る上で欠かせないのではないでしょうか。

◆私はアメリカのベタ褒め×間接的な批判文化に慣れていた!

ここまで読んで、日系企業の上司からの評価方法が完全にD文化圏の特徴を持っていることに納得しました。そして、自分自身はC文化圏の教育を受けて育ったため、これまで「なぜ否定的なフィードバックばかり受けないといけないのだろう」「良いところはあまり評価されないし、言葉にしてもらえない」とモヤモヤしていた理由が少しわかった気がします。

私はアメリカで義務教育の大半を受けてきたので、アメリカ特有の「君の○○の能力は素晴らしい!」とか「8~9割褒めてから注意する」文化に慣れ親しんでいました。日本に帰国してからも、母が「アメリカのちょっとしたことでもすごく褒めてくれる文化、良いわよねぇ」と言っていたのを思い出します。

母も先ほどの通り厳しい人でしたが、本当に良くできたときは「とてもよくできたね」としっかり褒めてくれました。これは、母自身がアメリカでの経験を通じて、褒めることの大切さを学んだからなのかもしれません。アメリカでは、大人同士でも子ども同士でも、とにかく褒めるのが当たり前。「褒められること=特別なこと」ではなく、日常的なコミュニケーションの一部なのです。

人によっては「そんなに褒められたら特別感がなくなる」と思うかもしれませんが、例えば通りがかりの人のスカーフが素敵なら「そのスカーフ素敵ね!」と気軽に声をかけるのが普通の文化。私はこの「褒めてなんぼの文化」がとても気持ちの良いものだと感じています。

次の章は、説得する際の表現方法についてです。楽しみにしていてください!

★読書中に出会った単語の解説

読書中に出てきた気になる単語やフレーズをまとめました。意味や例文を参考にして、理解を深めてください。

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yayko@アメリカ🇺🇸【海外/子育て/帰国子女】 応援していただけると嬉しいです!!チップは米国滞在中の自己研鑽に充てさせていただきます。

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