司法書士のための、今さら聞けないAIの基礎② ~AIはこうして司法書士業務に入ってきた~
前回(①)では、AIの種類――LLM、ChatGPT・Gemini・Claude、そしてAIエージェントについてお話ししました。
今回は、そのAIたちを前提に、AIがどんなふうに業務へ入り込んできたのか、その進化の流れをざっくり整理してみたいと思います。
例によって、ここからは独断と偏見を多分に含みます。エンジニアではない、いちユーザーの視点から、細かい正確さよりも全体像を優先して、大づかみに書いていきます。
AIが業務に入ってきた「6つの段階」
私の感覚では、AIの業務活用は、ざっくり次のような順番で進んできました。
第一段階:疑問を検索して、答えてもらう
いちばん入口の使い方です。わからないことを聞いて、調べもの・相談相手として使う段階ですね。
第二段階:画像・動画・文章・ファイルを生成してもらう
「答えてもらう」から一歩進んで、何かを“作る”作業を任せる段階です。文章のたたき台や画像など、成果物を出してもらえるようになります。
第三段階:GPTsやGemsを使って、仕事に組み込む
あらかじめプロンプト(AIへの指示文)を仕込んだ専用のAIを作って使う段階です。ChatGPTでは GPTs、Geminiでは Gems という、自分専用のカスタムAIを作れる機能が用意されています。たとえば「メール文の校正専門AI」のように、用途を絞った相棒を仕立てられます。
※GPTsについては以下の記事ご参照。
第四段階:AIが組み込まれた便利ツールで、業務を効率化する
自分でAIを呼び出すのではなく、最初からAIが組み込まれた便利なツールを使う段階です。
たとえば、Genspark(ジェンスパーク)に指示するだけで提案用のスライドを作ってもらったり、PLAUD NOTE(プラウドノート)という小型のAIボイスレコーダーで打ち合わせを録音し、そのまま文字起こしから要約まで自動で済ませたり。こうしたツールが次々と登場し、気づけば自然と効率化が進んでいきます。
第五段階:ツール同士の連携が進み、効率化が加速する
これまでバラバラだったツールがつながり始める段階です。
たとえば、ClaudeがWordやExcelといったOfficeツールとつながったり、GmailとGeminiが連動してメールの下書きや要約をその場でこなしたり。あるツールの作業が、別のツールへなめらかに流れていく。連携が進むことで、効率化のスピードが一段と上がります。
第六段階:AIエージェントで、事務所ごとの“個別最適化”が進む
そして今です。AIエージェントを活用して、自作のアプリや自作のシステムまで開発できるようになってきました。
代表例が、Claude Code(クロードコード)やCodex(コーデックス)といった、コーディング(プログラミング)を任せられるツールです。これらを使えば、「うちの事務所のこの作業」にぴったり合わせた仕組みを自分で組み立てられます。事務所ごとの個別最適化を伴う自動化が、いよいよ現実のものになってきました。
※いま、このあたりにいるというのが、私の体感です。(2026年6月現在)
なお、正直に補足しておくと、これらの段階はきれいに一列に並んでいるわけではなく、実際には重なり合いながら進んできました。順番というより、全体像をつかむための“地図”として捉えていただければと思います。
乗り遅れたと感じている先生へ
大まかには、この流れをイメージしておくだけで十分だと思います。
ひとつ強調しておきたいのは、この変化はゆっくり進んできたのではなく、本当に急激だったということです。
ですから、今「AIに乗り遅れてしまった」と感じている先生方も、どうか安心してください。AIの活用は、まだまだ始まったばかりと言っても大げさではありません。
今から実際にAIを触り、実務で使っていけば、この波に十分乗ることができると私は思っています。
今回のまとめ
AIは「調べる→作る→専用化する→ツールに組み込まれる→連携する→個別最適化する」という6つの段階を経て、私たちの業務に入ってきました。そして、その入口はいつ始めても遅くありません。
次回は、いよいよ 司法書士のAI活用の“現在地” をお話ししたいと思います。
