見出し画像

カモネギ(日本産)が腹を下して覚醒した話

前回は「意気揚々とタイに旅行に行ったら、まんまとカモにされた」という話でした。

今回はその続きになりますので、前回がまだの方は⬆️を先にご覧いただけると嬉しいです。


人生最高のタイ料理は屋台メシ

頼みの綱だった英語も意味がなく、もう誰も信じられなくなって1日が経ちました。

幸いだったのが、一人旅でもゆったりとした部屋をとっていたこと。

日本人街のホテルだったこともあり、街から見える眺望も都会的で、意外と気晴らしに一役買ってくれていたのもラッキーでした。

そうと決まればドアの外側に『Don't Disturb!』札をかけて、ホテルに缶詰です。

(もう誰にも邪魔させないし、騙されない…!)と、日本から持っていった小説をベッドに横になって読んでいました。

でも人間、生きていればお腹は空くんですよ。

ホテルから外を眺めていて、すぐそばに屋台が群れをなしているのは気付いていました。

陽が落ちてから、しぶしぶ屋台に繰り出して、ホットケースに入ったパックを指差してお金を払い、何かわからないパックを受け取って、その場で食べ始めました。

今思い返せば、この行動自体ツッコミどころ満載。…まぁ、それだけ病んでたんでしょう。きっと。

パックを開けると、中には揚げ春巻きを小さくカットしたようものだけが大量に入っていました。ビジュも茶色一色で決して美味しそうではありません。

が、1つ食べたときのあの衝撃の美味しさは未だに覚えています。

あれから20年以上経った今でも、あの味を超えるタイ料理に出会ったことはありません。

(こんなところで青い鳥、発見!)と、旅行前にはまったく考えていなかった旅行の感動を味わったのでした。

ちなみにその代物は「バジルと挽肉の揚げ春巻き」でした。可能ならもう1度食べたいものです。

悲劇と喜劇は突然やってくる

屋台で感動の食事を取ったあとは、元々の予定どおり部屋で読書継続です。
前の日と違い、旅行というにはあまりに穏やかに時間は過ぎていきました。

すると夜になって異変が。

(お、…お腹が痛い……‥)

きっとあのバジル挽肉春巻きの仕業だったのでしょう。

その後は完全にトイレの住人と化しました。

トイレに入って青ざめながら、春巻きへの恨み節をつぶやくこと4時間。

症状が落ち着いたのを見計らってベッドに戻って横になると、やたらと『地球の歩き方』が目につきました。

横になって本を開くと「海外には気をつけろ、NG行動集」みたいなイラスト付の見開きページで手が止まりました。

『日本への感謝の言葉を言いながら親切にしてくる奴は信用するな。お前はカモだ!!』

…デジャヴってこういうもんなんでしょうか。詳しい文章は覚えてませんが、まぁこんなニュアンスでしたね。

そして続けて、

『水道水は飲むな。腹を壊すぞ、常識だ!』

そうなんです。私、タイについてから水道水を飲んでたんですよね。

春巻きは完全に濡れ衣だったんです。

つまり、「最初からカンペ持っていたのに、全部無視してアドリブかまして地雷踏みまくっていた」んですよね。

あまりに自分がアホすぎて、気がついたら1人で大爆笑していました。

でもこの大爆笑で何か吹っ切れたんでしょう。

なぜか次の日は外に出かけようと思ったのでした。

『良い1日を!』

とはいえ、バスや電車に乗るのはやはりリスキー。

翌日はホテルから徒歩で行けるショッピングセンターへ行くことにしました。

特に欲しいものもないので、店内をダラダラお散歩していたらHMVが目に入りました。

今でこそ洋楽は聞きますが、当時はさほど興味がありませんでした。ですが、部屋でTVつけてもタイの言葉は分からないからBGMでしかありません。

(どうせなら何かCD買って流しておくかぁ〜…)と店に近づいたところ、このジャケットが店の入り口一面にドーン!と並んでいたんですよね。

Bon Joviの『Have A Nice Day』

タイトル『良い1日を』

込み上げてきた笑いを噛み殺して、すぐにレジに持っていきました。

スケジュール組んでガイドブック持ってする旅もあるけど、こういうゆるい時間を過ごす中で何気ない日常に面白みを感じる旅があってもいいんだなって気付いたんですよね。

大笑いしたら何かが変わっていた

今だからわかるんですが、多分あの部屋で大笑いした一瞬。あれが自分の中で何かが変わった瞬間だったんだと思うんですよね。

私は子供の頃から器用貧乏だったので、「私ができるのに、何であなたはできないの?」と職場でもプライベートでも正論パンチャーでした。

でもタイに行ったら私はタイ語が話せません。英語も(当時は)ありません。

もう、ただの無力な人です。でもその瞬間はタイにいて生きている。

そして、タイにも日本にも、いい人もいれば悪い人もいる。

私からしたら、一昨日のあの女性はたぶん詐欺師。
ですが、あの女性のファミリーから見たら、あの女性は優秀な稼ぎ手なんですよね。

いろんな人がいて、いろんな価値観があって、いろんな能力を持っていて、それで1つの世界ができている。

「どんなことも真正面から見て、白黒判断することには大した意味がない」という感覚といえば伝わるでしょうか。

珍しく占い師っぽい側面で表現するならば、これぞ正に『愚者』の境地です。

人間万事、塞翁が馬

その後はダラダラと部屋と屋台を行き来しながら、のんびりダラダラ過ごして私の初の海外一人旅は終わりました。

で、帰国してからなんですが、どうやら勝手にキャラが変わっていたらしいのです。

旅行から戻ると「どうだった?」と聞かれるのってお約束ですよね?

私、そこでめっちゃカモネギになった上にお腹を下して大変だった話をみんなに披露してたんです。

正論パンチャーだったのに、自ら笑いをとりに行ってたんですよね。

みんな、私のキャラ変に驚きながらも爆笑してくれて。

それがめちゃくちゃ嬉しくて楽しくて。

タイの旅は明らかに友達や職場でのウケが良い方に変化させるきっかけになりました。

人間関係が良くなったおかげで日常が楽しくなり、仕事にも力が入るようになりました。

ちょっとした冒険の些細な出来事が、無意識に人を大きく変えて、それがその後の人生を変えるって本当です。

そして良い方向に向かう分岐点って、残念なイベントの姿でやってくることもあるんですよね。

失敗は「どう料理するか」が見せ所

意気揚々と出発したタイの旅が、トホホずくしになるなんて、最初は全く想像していませんでした。

でも今思えば、あの旅の意味って、カモネギになったことでも、水道水に当たったことでも、Bon Joviを買ったことでもなく。

「自分がただの無力な人間だった」と気付けたことだったんだと思います。

完璧を求めたって、出来ないことはある。
出来ないなら失敗することもある。
失敗も上手に活かせば、ラッキーに変わる。

私の場合は、残念な旅行記を面白おかしく話したら、人間関係が変わりました。

あなたの残念なイベントも、もしかしたら分岐点の入口かもしれません。



【創作大賞2026 エッセイ部門】に応募中⬇️


【追記】肩書きを「右脳×左脳で動かす個人事業主専門プロデューサー」に変更しました。占い師も副業でやってます(現在受付停止中🙏)。


🪧 壁打ちトークやってます、無料です。➡️ https://yellowcompass.info/talk


📚過去記事、目的別にマガジンとしてまとめています。 


⬇️創作大賞2026 オールジャンル部門エントリー中。ビジネス・経済系…?

いいなと思ったら応援しよう!