スウェーデンでの住み込み生活で気づいた労働への恐れ #3
前回の記事はこちら。
そんなこんなで、ヨーロッパ周遊一人旅をすることになった。
行きと帰りの航空券、そして1日目の宿泊先だけ決めただけという無計画の旅だった。
思いつきでデンマークへ
旅中で、北欧に滞在してみたいと思い、
思いつきでデンマークへ行くことにした。
ちなみに、ヨーロッパはシェンゲン協定といって、
一度入国したらEU圏内で3ヶ月間自由に周遊できるというルールがある。
そんな事情で、日本からの航空券が高いのもあり、どうせなら3ヶ月くらい長くヨーロッパに滞在したいと思っていた。
単なる観光ではなく、もう少し踏み込んで、
ローカルな文化に触れ合う旅にしたいと思ったのだ。
しかし、特に北欧は滞在費が高い。
ドミトリーのホステルでも、一泊5000円くらいはする。これでは、長期滞在は出来ない。
そこで、workaway(ワーカウェイ)というワークエクスチェンジのプラットフォームを利用することにした。
これは、無料で滞在させてもらうかわりに、
農作業や家事など、その家の仕事を数時間手伝うというものだ。
基本、ノービザで賃金を得て働くことは違法なので、このプラットフォームはありがたかった。
何の準備もしてなかったので、
急いで現地でサイトのプロフィールを作って、
Skypeで面接をしてもらって、
スウェーデンにいるドイツ人のお婆さんの家で、
一週間住み込みさせてもらうことになった。
決まってすぐ、デンマークからスウェーデンに移動しボランティアを開始した。
スウェーデンでのボランティア生活




仕事内容は、家事やガーデニングの手伝いだった。
家事は普段からやっていることだし、
お婆さんにも日本人の仕事は本当に丁寧だととても褒められた。
そして、食後のおばあさんとの異文化交流はとても楽しく、博識な方だったので、文化を知れるよい機会だった。
とても勉強になったし、楽しい時間だった。
しかし、急いで滞在先を決めた弊害というか、
やはり問題が会った。
ガーデニングの仕事があったが、
それが想像よりもとても重労働だった。
庭の木の剪定を脚立に登ってしている時、
あまりのハードさに、
「ここに来たのは失敗だったかも」なんて思ってしまうくらいだった。
それもそのはず、高齢のおばあさんが仕事で求めていることは、体力仕事だったのだ。
私は考えが甘く、家事ができれば役に立てるだろうと簡単に考えていた。
しかし、実際に求められるのは体力仕事。
私はそんなに体力仕事が好きではないので、
積極的にやりたがる方ではなかった。
お婆さんもそのことで少し不満だったようで、
私の方も期待に答えられていないことに、
ストレスを感じていた。
とあるモヤモヤした出来事
掃除中、家の中にかなり大きな植木鉢がいくつかあった。
動かすのが重くて大変そうなのと、
動かして壊してはいけないと思い、それを避けながら掃除をした。
軽いものなら、近くに避けて作業するけど、
やる前から重そうだからと手をつけなかった。
そしてお婆さんに、
「これは重いのでそのまま置いたまま掃除しました」とその事を伝えると、
「わたしはこれを動かしたのよ。
あなたは挑戦すべきだった」
とやってみるべきだったと指摘された。
やる前から無理だと決めてかかったことに、
自分でも後悔したエピソードだ。
重くて持てるか分からないけど、
持ってみるべきだったのではないかと思った。
しかし、なんだかモヤモヤした。
求められることは、辛くても頑張ってこなしてしまうことへの恐れ
デンマークでの日々は、
自分との向き合いの日々だった。
前職は男性中心の職場で、女性である私も体力仕事が多い仕事だったのだが、その時のことを思い出した。
例えば、仕事上、どうしても重いものを持ったりする必要があった。
もちろん好きでも得意なことでもなく、
仕事だからと無理をしてこなしていた。
そうしていると、女性というギャップもあり、「⚪︎⚪︎さんは女性なのに力持ちだね!」なんて言われたものだ。
やりたくてやっている訳じゃないのに、
まるで得意で好きな事のように言われるのが、不満だった。
そして、そうしていると体力仕事は当たり前になった。
仕事だからと無理した結果
仕事だから仕方ないと諦めこなしていたが、
やはり無理があり、少し手首の怪我をしてしまったりした。
そうして、求められることであっても、
こんな風に自分に無理をさせることは辞めなければいけないと思ったのだ。
そんなこともあったので、
お婆さんの家でもそんな仕事をするのを、
やる前から躊躇してしまっていた。
重いものを持ったりして無理をすると、
ますますそれを求められるのではと怖かった。
求められることは、無理してでも頑張ってしまう癖があると自分でも気づいていたから。
このお婆さんとの出来事で、そのことを思い出し、
「もうきつい仕事をしたくない。
もう自分の体を大切にすると決めたから仕事を辞めたんじゃないの?」
と自問自答した。
お婆さんの役に立とうと思って、
もうやりたくない体力仕事を頑張ってやったが、
本当の自分はもうそんなことはやりたくないと思っていたのだ。
求められていることを十分に出来ていないことで、
お婆さんに対しての罪悪感がありながら、
やりたくないことを無理やり自分にやらせていることでの、
自分に対する罪悪感があった。
両方がせめぎ合い一杯一杯になっていた。
お金を得る=「やりたくないことをやる」?
このときの私は、何かを得るためには、
多少自分がしたくないこともしなくてはならない、という思い込みがあった。
なので、こんな重労働は嫌だと思いながらも、
自分は何かしたくないことをしなければ、
住み場所やお金を得ることはできないと思っていたのだ。
だからこそ、それを認識させられるような出来事が起きたのだと思う。
けれども、この時のボランティアの経験から、
もう私はお金のために自分がつらいということはしない、という覚悟を固めた。
経験上、自分がつらいと思うことをやっても、
誰も幸せにならないとは分かっていた。
このことは、その再確認のために起きたのだと思っている。
今思うと、自分がしたくないと思うことは、
お互いのためにも、面接時にしっかりと伝えて良かったのだ。
自分の中でも、「そんなことを言ったら採用してもらえないんじゃないか」という恐れがあって、
本当はしたくないことを伝えていなかった。
それを伝えないままに、無理をして不満を抱え込み、そして相手にもそれが伝わり不満にさせたのだ。
相手に伝えることの大切さ
自分の弱みも含め、しっかりと相手に自分のことを伝えるというのは大事なことだ。
その上で、それを受けてどうするかは相手が決めること。
自分の思い込みで「こんなことを伝えたら、嫌われるかもしれない」と思ってしまうのは、相手の気持ちを勝手に決めつけてしまって、かえって失礼なことかもしれない。
そして、自分のことを伝えないままだと、
相手も満足な選択をすることができない。
実際は、お互いの意見を擦り合わせた、
第3の案が生まれるかもしれないのだ。
一人旅を終了。日本へ帰るという決断。
その時、日本に帰るか、旅行を続行するか迷っていた。
かなり悩んだ結果、結局2週間で日本に帰国することにした。
まだ自分との向き合いが必要だと思ったし、
渡航先や滞在先やどんなことをするかを悩みながら旅を続けるのがしんどくなったのだ。
損得勘定で選択してしまう癖
旅は決断の連続だ。
そして当時の私は、旅先選びだけでなく、
人生の大事な決断においても、全て何か正解があると思って、
決断のたびに苦労していた。
エゴや不安によって間違った道を選んでしまうと、
何か損をしてしまうと、損得勘定で考えていたのだ。
何か決断するときは、値段の大小と自分の本音を比較して、
どちらを優先するかなんて考えていた。
その時の私は、お金を減らすことへの恐れがまだ強く、
無職の状態でお金を消費続けることに不安しかなかった。
そうして、旅先での決断に疲れ果ててしまった。
スウェーデンのお婆さんには、
せっかくだから長く旅行したほうがいい、
日本にいると安心だろうけど、もっと色んな世界を見た方がいいと強く勧められた。
でも、自分の中にある色んな不安を無視したまま旅をしたくなかった。
それに、観光だけの旅行には興味がなかったし、ただ長く旅することが目的ではなかった。
長期間色んな所に行くために、滞在費を減らす必要があって、そのためにしたくない労働をするのは、何か目的を履き違えている気がした。
その意味でも、本当にまた一人旅がしたくなったらもう一度しよう、と仕切り直しすることにした。
住み込み生活が終了して
日本に帰ることを決断した後、
トルコから日本に帰国する前日に、まるで憑き物が落ちたように、
純粋に最後の滞在を思いっきり楽しんだ。

自分は本当は自由だったと実感
お婆さんの家から出た瞬間、
本当は、自分にはなんの制限もないのだと気づいた。
こうしてはダメだというものもないし、
こうしなければというものもない。
もう人の期待のために、頑張る必要はなく、
人の作ったルールに従う必要もないのだと気づいた。
私は、最初から完全に自由だった。
スウェーデンのお婆さんの家では、
ベジタリアン料理しか食べていなかったので、
トルコではケバブを思いっきり食べた。
とても美味しかった。
何だって食べていいのだ。

そんな風に気づいて、最後の旅を楽しめた時、
やっぱりまた海外一人旅がしたいと帰国直前に思った。
だけど、まずは一旦日本に帰り、
日本でできることをしようと思った。
そうして、私は日本に帰り、
日本の生活を満喫しながら、新たな旅を計画することになる。
ps
一連の話は、こちらの自叙伝に詳しく書いています。もし先の話が気になる方は、ぜひご覧ください。
