80年代<サンライズ+東宝>による特撮SF超大作が誕生!
今回は、アニメ業界の企業論について書いてみたい。
さて、この話は<アニメ業界五大企業>という概念を最初に理解しておいてもらわなくちゃ何も始められないので、まずはこちら↓↓に目を通しておいてください。

<アニメ業界五大企業>
①SONYグループ(アニプレックス)

②東映アニメーション

③バンダイナムコ(サンライズ)

④東宝(サイエンスSARUなど)

⑤KADOKAWA(動画工房など)

本来、この5社はお互い凌ぎを削る<ライバル関係>だと思うんですよね。
こういうライバル関係である以上は、もしも相手がコケれば「しめしめ」とほくそ笑むのが普通でしょ?
・・ところがねぇ、「オトナの世界」というやつはそんな単純な話でもないんですよ。
だってコイツら、お互いに株を持ち合ってたり、あるいは資本提携してたりもするんだから・・。
お互い、絶対に倒産してもらったら困るのよ。
そのへんの空気を全く読まない輩が、たまに
「〇〇潰すっ!」

とか言ったりしてるわけだが、こういうの見てカイシャのお偉いさんたちは「おいおい、潰しちゃダメだよ・・(笑)」と苦笑いしてるのが実情ね。
まぁ、構造は「プロレス」みたいなものだと考えてください。

こういうの、よく言えば「共存共栄」、悪く言えば「なぁなぁ、馴れ合い」といったところでしょうか。
富野さんあたりは全共闘世代だけに、こういう資本家同士の馴れ合い構造が大嫌いだと思うけどさ。
で、この5社の中では、特にややこしいのがバンダイナムコである。
ここの本体は玩具会社であり、まず、この会社がハネた最初のキッカケとは「仮面ライダー」(東映)の変身ベルトのヒットである。

その次にヒットしたのが、「マジンガーZ」(東映)の超合金である。

つまり、バンダイはもう東映さんに足を向けて寝られないほど大変お世話になってるわけよね。
だというのに、バンダイが次に仕掛けたのはコレ↓↓である。
ガンプラ(サンライズ)

このへんのバンダイの節操の無さというものが凄いと思うわ。
このガンプラ大ヒットのせいで、実質東映はロボットアニメから撤退せざるを得なくなったわけで・・。
ある意味、バンダイは東映に受けた恩を仇で返した構図じゃない?
こういうオトナの世界の仁義なき戦いって、怖いよなぁ・・。
そもそもサンライズは虫プロから派生した勢力であり、その虫プロと東映は昔から犬猿の仲である。
バンダイもそんなことは百も承知で、「ビジネスですから」とサンライズを手駒に使ってるわけよね?
まぁ、だからといって、これで東映とバンダイの縁が切れたというわけでもない。
東映的には
「オトコノコ(ロボット)はサンライズに敵わなくとも、
ウチにはオンナノコ(魔法少女)という切り口がある」

という、一種の「棲み分け」をその後に図ったと思うんだわ。
ところが2013年、
サンライズ(バンダイ)が、オンナノコの世界にも攻めてキタ~!!

なんと世知辛い世の中でしょう・・。
それにしても貪欲だね。
まるで牛丼屋のくせに、ラーメンやったりカレーやったりするような事態さ。
さらに2022年
サンライズが完全に「バンダイナムコ」の一員になっちゃった~!

今まではギリギリ、東映にとってのバンダイナムコは一応「取引先」という扱いをしていただろうに、こうやって露骨に
バンダイナムコ=サンライズ
にされると、これからの態度を一体どういうふうにすりゃいいのか悩むわな。
・・ところで、皆さんはこのバンダイ⇔サンライズがかつて
「ロボット作品の実写化」
という実に野心的な試みをしていたことをご存じですか?
えぇ、特撮ファンなら「ああ、あれのことね」と思わずニヤリとしたはず。
「ガンヘッド」(1989年)

キタ~ッ!!
サンライズと東宝ががっつりタッグを組んだ、
特撮SF超大作「ガンヘッド」!!

これはね、まず製作委員会の顔ぶれが凄いのよ。
・サンライズ
・バンダイ
・東宝
・角川書店(後のKADOKAWA)
現在の「アニメ業界五大企業」のうち、3つがこの作品の製作に参加してます!
バンダイナムコ、東宝、KADOKAWAという3つは「仲良しガンヘッド閥」と覚えてください。

とにかく、この映画は凄いんですよ。
まず、
「マクロス」河森正治の美麗なメカデザイン!

「ゴジラの父」こと川北紘一特技監督の超絶VFX!

設定協力:会川昇/今西隆志 エフェクトアニメ:雨宮慶太etc

監督は「クライマーズハイ」等で知られる名匠/原田眞人で、「ガンヘッド」の公開後、これを見た海外の映画人が数多く原田さんを訪ねてきたという。
・・まぁ、そりゃそうだろう。
贔屓目抜きで、この映像はマジでレベル高いと思うのよ。
ロクにCG使わず(80年代だからしようがないけど)、特撮だけでゴリゴリのサイバーパンク作品を制作したんだからね?

ただ、当時としてこの映画は大コケでした。
(東宝の作品で年間の最下位だったらしいw)
まぁ、そのコケた理由は色々あるんだが、
・主演/高嶋政宏⇒日本語しか話さない
・ヒロイン⇒英語しか話さない
・ガンヘッド(AI)⇒英語しか話さない
・サブキャラ⇒人による

という感じで、全体として言語の統一がないんですよ。
だからヒロインが英語で話しかけると高嶋さんが日本語で返す(なぜかそれでも会話が成立)というカタチで、このスタイルに慣れるだけでもそこそこ時間を要します(笑)。
あと、画面がやけに暗くて状況が恐ろしく把握しにくいのも難点。
・・えっ、今は誰と闘ってんの?今出てきたのは敵なの?味方なの?と常に困惑させられます。


・・まぁ、2回以上見れば大体の内容は理解できるんだが、この劇場公開時に2回以上見るという文化は無かったんだろうし、ただ「よく分からん」⇒駄作、と判断されちゃったわけさ。
・独特、かつ難解な作風
・当時まだ浸透してなかったサイバーパンク
という映画で、ある意味では押井守的というか、士郎正宗的というか、少し早すぎた映画、攻めすぎた映画ともいえるだろう。
そういや、押井さんは同じ1989年に劇場版「パトレイバー」をリリースしたんだったね。
ちなみに本作のストーリーも、「パトレイバー」をイメージしてもらえば大体問題ないです。

あぁ、でもな~、高嶋政宏主演映画という時点でどこかB級感のようなものをイメージする人も中にはいるのかもしれない。
・・いやいや、それは今の高嶋さん見てるからそう思うだけで、少なくとも80年代時点の高嶋さんは普通にカッコいいアクションスターでしたよ?
<80年代の高嶋政宏>

<今の高嶋政宏>

高嶋政宏、一体どこで道を間違えたんだろうか・・?
まぁ、こうして色々と向かい風はあったものの、ただ日本国内でも徐々に「ガンヘッド」の凄さは口コミで広まってカルト化し、2022年には待望のBlu-ray化が実現したんですよ。
その後、どこぞの劇場でリバイバル上映されたとも聞く。
三十余年を経て、遂に時代が「ガンヘッド」に追いつきました!


そう、多くの人が誤解してるんだが、日本のサイバーパンクは「GHOST IN THE SHELL」、つまりProductionI.Gこそが開祖だと思い込んでるでしょ?
いえいえ、開祖は「ガンヘッド」のサンライズ&東宝ですから

一度、日本のサイバーパンクというものをきちんと整理しましょう。
元祖/サイバーパンクのヒロイン:草薙素子(cv田中敦子)

元祖/サイバーパンクのヒーロー:高嶋政宏

おそらく、ここ↑↑で高嶋さんが表現してるのは「タンクモード」ですね。
・・あ、「ガンヘッド」未視聴の方に説明しておくと、ここに出てくる機体は「スタンディングモード」と「タンクモード」という2つの変型パターンがあるんです。
<スタンディングモードとタンクモード>


<高嶋政宏のタンクモード>

「ガンヘッド」の変型、やっぱカッコいいな!
そういや、最近東宝がサイエンスSARUを買収し、これまではProductionI.Gの独占だった「攻殻」の制作を発表しましたよね。
これは明らかに攻めの姿勢に出ており、彼らは再びサイバーパンクの門扉を開ける気マンマンです。
東宝サイバーパンク戦略軸/第1弾「攻殻機動隊」

ここまでは確定。
・・となると、これに続く企画は
東宝サイバーパンク戦略軸/第2弾「ガンヘッド」リメイク


しか考えられないですよね。
いまや飛ぶ鳥落とす勢いのSONY(アニプレックス)の「鬼滅」に対抗するには、私は「ガンヘッド」リブートしか残された道はないと思う。
・・というか、高嶋政宏に賭けるしかないと思う。
とにかく、今後の東宝+バンダイナムコ(サンライズ)+高嶋政宏の動きからは決して目を離さないでください。

