「DAICON FILM」代表作3作品を見てみよう!
今回は、DAICON FILMについて少し書いてみたい。
DAICON FILM

はい、DAICON FILMとは言わずと知れたガイナックスの前身であり、つまり現在のスタジオカラーやTRIGGERの始祖というべき存在ですよね。
上の画の「DAICONⅣ」「DAICONⅢ」といったアニメーションはあまりにも有名ゆえ、今さら語るつもりはなく、私が今回触れてみたいのはDAICONの「特撮部門」の方なんですよ。
もともとDAICONはアニメと特撮の2本柱だったのに、なぜかアニメばかりが注目され、特撮の方が無視されてるのはあまりにも寂しいことである。
ところで、皆さんも一度ぐらいはこの画像↓↓を見たことあるよね?

ウルトラマンを演じる若き日の庵野秀明ww
しかし、この画は見たことあるけど、意外と本編を見た人は多くないと思うんだわ(一部サブスクでは配信されてますけど)。
というわけで、今回はDAICONの特撮作品の中から代表的なところをご紹介していきたいと思う。
DAICONの特撮作品で、見るべきものは主に3つ。
①「愛國戦隊大日本」(1982年)

②「帰ってきたウルトラマン」(1983年)

③「八岐之大蛇の逆襲」(1985年)

この3作品、いずれもYouTubeにアーカイブされてるので是非一度ご覧ください。
①⇒「愛國戦隊大日本」で検索
②⇒「帰ってきたウルトラマンDAICON1983」で検索
③⇒「八岐之大蛇の逆襲」で検索
先に言っときますけど、しょせんはアマチュアの自主制作映画ですからね?
くれぐれもハードルを下げた上でご視聴ください(笑)。
で、まず最初に結論から言っちゃうと、この3つのうちどれの出来がいいのかといえば、
もう圧倒的に②なんですね。
ダントツといっていいほど。
もう、この1983年時点で庵野さんの映像作家としての非凡な才能が伺える。
・・という書き方をすると、残り2作品を監督した赤井孝美さんに失礼なのかもしれんが、いや、赤井さんの撮り方はむしろ真っ当なんですよ。
ちゃんと役者に「演技」をさせ、それを実直に撮ろうとしている。


・・でもね、正直シロウトの「演技」ほど見てて不愉快なものはなく、彼らが頑張れば頑張るほど見てる側は萎えてきちゃうものである。
②「帰ってきたウルトラマン」

その点、②の庵野秀明の何がスゴイかって、役者にほとんど「演技」させてないんだわ。
極端に言えば、役者を「演技する存在」として扱わず、あくまで「画を構成する1パーツ」として撮っている。
その証拠に、とにかくカット割りが異様に速いんだよ。
よって役者は台詞をこなすのみで、ただ被写体としてしか機能してない。

これを見て「あぁ、なるほど」と。
確か「シンゴジラ」でも、役者さんはほとんど「演技」ができてなかったよな?


・・いや、厳密にいうと役者さんたちは個々にきちんと「演技」をしようとしてたんだが、対して庵野さんは彼らに膨大な情報量の台詞を与えることにより、画の主導権を一貫して役者側に渡さなかった、と表現する方が正しいだろう。
この彼独特のクセ(あくまで画の主導権を自分で握るクセ)のようなものが、1983年段階の自主映画で既に露見してるのが何とも面白い。


あと、こういう自主制作映画の中でも既に徹底されている「実相寺アングル」(笑)
もうね、庵野さんの映像センスはアマチュアの時点でほとんど完成してるわ。
このへんが実に面白い。
しかし、ここまで超絶な画のコダワリを見せつつ、
肝心のウルトラマンがただのジャージ着た人間(かぶり物すらナシ)なのが笑える‥ww

予算、無かったのかな?
一方、逆に「おカネかけてんなぁ!」とビックリしたのが③である。
③「八岐之大蛇の逆襲」

この八岐之大蛇の造形、凄くない?
さすが、この作品の特技監督に樋口真嗣が入っただけのことはある。
日本のアマチュアでここまでの造形を造れるのは、当時でもDAICONぐらいだったと思うよ?
付け加えて、この作品で何より驚くのは容赦のない爆発である。
とにかく、その爆破のスケールがハンパない!

こういうシーン↑↑を皆さんは「特撮モノではよくあるやつ」程度に捉えてるだろうが、でもこれ、爆発させてるのはプロじゃなくアマチュアですからね?
聞けば、彼らは地道に百科事典等で「爆薬の作り方」を研究し、改良に改良を重ねて「いい感じの爆発」を習得してきたらしい。
・・こういうのって、ちゃんと法的にクリアされてるのかな?
そこはよく分からないんだけど、とにかくシロウト(免許とか誰も持ってはいなかったらしい)が爆薬を調合していくエピソードは聞いててゾッとするほど怖く、最初は爆薬だけだからまだ良かったものの、そのうち「気化したガソリンに引火させてみたらよくね?」と思い至るくだりには、さすがに「アカンやろ!」とツッコみたくなってしまう(笑)。
よく死傷者が出なかったよなぁ・・

まぁ基本、特撮好きだろうとアニメ好きだろうと、爆発エフェクトは三度の飯より好き、というのは共通事項ですからね。
そりゃ、今でこそ3DCGというカタチで安全にエフェクトを入れられるが、この80年代当時はマジで爆発させるより他に道は無かっただろう。
多少の違法も、まぁ時効ってことで・・。

で、この「八岐之大蛇の逆襲」のプロットについてだが、私が面白いなぁと思ったのがオロチの設定である。

このオロチ、一見怪獣に見えるけどそうじゃなく、実は汎用オロチ型兵器、すなわち巨大ロボットみたいな位置付けなんだわ。
中に人が入って操縦するというタイプ

この女性↑↑が不慮にオロチに取り込まれ、操縦せざるを得なくなったという設定なんだけどね。
・・なんか、ちょっと既視感あるでしょ?
おそらく「八岐之大蛇の逆襲」はコレ↓↓の原型ですよww


あと、後に樋口真嗣が監督した「ひそねとまそたん」の原型ともいえるか?


どうやらオロチって、古事記の「スサノオ」の時代からずっとここ(出雲)にいたらしい(笑)。
こういう発想が、いかにもDAICONだな~。
・・あ、そういや①だけがスルーだったし、一応はこれにも触れておかなくちゃ。
・・実をいうと、この①こそ「一番の問題作」なんですw
①「愛國戦隊大日本」

というのも、
内容がソ連(共産主義国)を完全に馬鹿にしており、それを日本SF大会で流したもんだから色々と国内外に物議をかもしたみたいです(笑)

いやいや、これは脚本書いた岡田斗司夫が圧倒的に悪い(笑)。
ただ岡田さんにもDAICONにも全く右翼的思想は無く、「ただの悪ふざけ」なんだよね。
とはいえ、さすがに今でもサブスク配信は無理だろうなぁ・・


・・はい、こうして3つのDAICON特撮作品をご紹介したわけだが、これらをくだらないものだと一蹴しないでもらいたい。
これら作品のリリースは、実はDAICONにとってそれなりの価値があり、
事実、これを見て気に入った宮崎駿がDAICONメンバーを呼び寄せ、自身の構想作の実写化を依頼したい、と言ってきたらしいんだわww

残念ながらそれ自体は実現しなかったにせよ、こうして巨匠の目にとまったことは普通に喜ぶべきことである。
なお、③の「八岐之大蛇の逆襲」のエンドクレジット見てると、協力として押井守や石黒昇の名前が出てるんです。
アマチュアとはいいつつも、この時点(1985年)で既にそっち側との繋がりがあったんだね?
・・80年代のサブカル界は、広いようで実はめっちゃ狭い(笑)。
まぁ、この3つの特撮作品は、後の庵野秀明による特撮「シン」シリーズの草案みたいなものだったと解釈してください。
①⇒「シン仮面ライダー」に発展


②⇒「シンウルトラマン」に発展


③⇒「シンゴジラ」に発展


・・いいですねぇ。
大学時代にアマチュアでやってたことが、その数十年後、ビッグビジネスに化けたわけです。
色々な意味で、多くの人に夢を与える3作品だと思いませんか?

