本来なら、決して相容れないウルトラマンと仮面ライダー
皆さんは、「シンウルトラマン」をご覧になったことありますか?

ご存じの通り、これは庵野秀明総監修「シン」シリーズのうちの1つだが、私はぶっちゃけ、あまり面白いとは感じなかったんだよね・・。
ならば、これは単に駄作と解釈すればいいという単純な話でもないようで、実をいうとこの作品、ある一定の層からは大絶賛されてるんですわ。
その「ある一定の層」とは他でもない、私よりも世代が上のオッサンたちである。
つまり、リアルタイムに「初代ウルトラマン」TVシリーズを見てた世代(1960年代生まれの方々)だと思う。
・・でさ、こういうのって逆に悔しくありません?
彼らから「君たちには『シンウルトラマン』のホントの価値は理解できないでしょうねw」と言われてるみたいで・・。
で、私はちゃんと「シンウルトラマン」を理解したいというモチベひとつで、実をいうと最近、「初代ウルトラマン」シリーズを少しずつだが見てるんですよ(まだ全然制覇できてないが・・)。
「ウルトラマン」(1966年)

いや~、ぶっちゃけ古い作品だけあって特撮がショボいです(笑)。
そりゃ、CGとか全くない時代だからねぇ・・。
「特撮の神様」こと円谷英二は、それこそ手塚先生が「バンビ」見てアニメに憧れたのと意味を同じくして、この人の場合はハリウッド映画の「キングコング」を見てSFXに憧れたということらしい。
「キングコング」(1933年)

でも「キングコング」って、これは<実写+パペットアニメーション>なんだよね。
パペットアニメーション、つまり人形を1コマずつ動かしてく撮っていくという超メンドくさいやつ。
で、円谷さんの面白いところは、そこでパペットアニメーションを目指さずに「ああいうのは制作に時間がかかるし、ウチは人形の中に人間が入ろう」と言って「着ぐるみ」スタイルの方を選択しちゃったわけさ(笑)。
「ゴジラ」(1954年)

「初代ゴジラ」はマジで名作です。
手先が器用で、ミニチュア作りではおそらく世界一であろう日本人の強みを存分に生かせるのが「巨大怪獣が街を破壊する」という映画だったわけで、これぞ日本エンタメの原点だろう。
後のアニメにおける「巨大ロボット」という日本独自のムーブメントもまたその原点になってるのは間違いなくこの「ゴジラ」でしょうね。
ただ、1954年であれほど凄かった特撮が、その約十年後の「ウルトラマン」でショボくなって見えたのが少し残念でさぁ・・。
・・なぜだろう?と思ったら、それは「ウルトラマン」が「初代ゴジラ」と違ってカラー作品だからである。

なんか、カラーになると色々アラが見えちゃうんだよねぇ・・。
いや、こういうのを「味がある」という人もいるんだけど。
ちなみに「シンウルトラマン」は3DCG使ってるけど、わざわざモーションキャプチャー使用で「中の人」を設定しており、その「ウルトラマンの中の人」を庵野さん自らが(部分的にだが)担当したらしいね(笑)。

・・そうそう、あと「シンウルトラマン」における最大の見せ場だった、「長澤まさみ巨大化シーン」について。

これ最初見た時「庵野さん、フザけてんのかな?」と思ったけど、実はそうじゃなく、旧「ウルトラマン」内で普通に「フジアキコ隊員巨大化シーン」というのをやってましたわ。
「ウルトラマン」第33話


この旧「ウルトラマン」を見てると、庵野さんがこの旧シリーズに割と忠実なカタチで作ってることがよく分かります。
メフィラス星人(「シン」では山本耕史がやってたやつ)と闘うも、結局は最後、決着つけないというくだりも旧シリーズそのまんまの踏襲である。

やっぱ庵野さん、「ウルトラマン」愛あるね。
ただし、個人的には庵野さんの「ウルトラマン」愛が腑に落ちないところもあるのよ。
・・というのも、彼ってウルトラマンと同じぐらい「仮面ライダー」も好きでしょ?


これ、アカンって・・。
というのもね、皆さんも旧「ウルトラマン」を見ればまず真っ先に気付くと思うが、ウルトラマンって明らかに「政治的メタファー」なのよ。
ウルトラマン=在日米軍

科学特捜隊=自衛隊

「ウルトラマン」=日米安全保障条約の肯定=国家体制の肯定

そもそも、この番組が放送されてた時期を考えてみてくれ。
1966年、つまり「60年安保」の6年後、「東大安田講堂陥落」」の3年前である。

そういう荒れた空気の中、コドモたち(庵野さんは当時6歳)に「世間ではお兄さんたちが騒いでるけど、よい子のみんなは気にしなくていいんだよ」という一種のプロバガンダ的ニュアンスのある番組だったんだと思う。
・・そもそも、科学特捜隊の赤と青をあしらった星のエンブレム、そういうビジュアル面からして、これは明らかに正義=アメリカの刷り込みじゃん?


一方、「仮面ライダー」はどうだ?

仮面ライダーは、その本質がショッカーを裏切った叛逆の戦士なんですよ。
・・じゃ、そのショッカーとは何なのかについてだが、
<ショッカーのエンブレム>

<フリーメイソンのエンブレム>

ご覧になってお分かりの通り、フリーメイソンのメタファーなんですね。
それと同時に、
<アメリカ>のメタファーでもあるんですよ。

つまり、「仮面ライダー」というドラマは根っこに流れてるのが明らかな「反米」、イコール、アメリカに尻尾を振っている日本政府批判、体制批判なんです。
<右>のウルトラマン
vs
<左>の仮面ライダー

という構図をまずはご理解ください。
で、メタファー好きの庵野さんはこの構図を知らんわけがないんですよ。
彼は全部分かっていて、
それでも両方好き!

としちゃうあたりがホント節操ないんですよねぇ・・(笑)。
・・で、「マーベル/アヴェンジャーズ」商法に倣ったのか「シン・ジャパンヒーローズ・ユニバース」というコラボ企画を作っちゃったみたい(笑)。

そういや、ハリウッドではスーパーマンとバットマンがガチのドツキ合いをしてたけど、それっぽい展開が「シン」の世界でもあり得るんでしょうか?


多分庵野さんは<右>とか<左>とか、そういう政治には1ミリも興味ない人なんだろう。
「今の総理大臣は?」と聞けば、「ナカソネ?」とか言うかもしれん・・。
一方、私は円谷英二さんって実は「隠れCIA」だった可能性もなくはないんじゃないのかな、と。
というのも、彼とアメリカの繋がりは実際かなり太いのよ。
「特撮の父」円谷英二(1901年~1970年)

聞けば、彼は「ゴジラ」に感銘を受けたカーク・ダグラスに声をかけられ、ハリウッドで長編アニメ映画(ディズニーの後ろ盾があったらしい)を作る話があったんだってさ。
結構、具体的なところまで話が進んでいたらしい。

実は1960年時点、憧れのディズニーに最も近い位置にいたのは手塚治虫でも宮崎駿でもなく、意外にも円谷英二だったんですよ。
残念ながら、最後の最後でダグラスと条件面が折り合わず話は流れたらしいが、何とも円谷さんとアメリカとの太いパイプを感じさせるエピソードだよね。
もともと、彼は「戦時中、戦意高揚映画制作に加担した」として公職追放の対象になったほど「国家体制サイド」だった人である。
「日米安保」にも肯定の立場だった可能性は高いと思う。
さて、そんな円谷さんが総監修した「ウルトラマン」。
亡くなる僅か4年前の作品である。
やはり、ここで最もセンセーショナルなのは最終話、ゼットンとの対決だろう。

えぇ、これはあまりにも有名でしょう。
ウルトラマンは最終話、ゼットンに敗れて終了します・・


・・えぇっ?バッドエンド?
いいえ、そんなことはありません。
なぜならその後、科学特捜隊がゼットン倒しますから!

そう、ウルトラマン(在日米軍)をもってしても倒せなかった敵を、科学特捜隊(自衛隊)が独力で倒したんです!
これこそが最高のハッピーエンドでしょう。
思えば、私は今までずっと腑に落ちなかったんですよね。
ネイティブじゃない宇宙人に国家の安全保障を託してるなんて、科学特捜隊はもっとネイティブとしての意地を見せろよ、と。
・・でも、最後にそれをきちんと見せてくれた。
で、倒されたウルトラマンはというとゾフィーが救助にきて、赤い玉みたいなのに入れられて母星に緊急搬送されます。

「(ウルトラマンは)もう二度と我々の前に姿を現すことはないんだ」
「地球の平和は、我々科学特捜隊の手で守っていこう」
「ウルトラマン、さよ~なら~!」

これは、我が国がアメリカの庇護を受けず、真の自治独立をする未来を暗示しています。
なかなか良い締め方だな。
といっても、この半年後には「ウルトラセブン」が始まるんですけど(笑)。
・・うむ、なんのかんの言いつつ、「ウルトラマン」そこそこ面白かったですよ。
これを見た後にもう一度「シンウルトラマン」見たら、前よりしっくりくるかもしれません。
日本国民としての基礎教養として、お薦めします。


