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ぶっちゃけ、「009」より内容がエグい「009ノ1」

今回は、漫画家/石ノ森章太郎について少し書いてみたい。

実は石ノ森先生って、我々一般ファン以上にクロウト筋からの評価がやたら高い漫画家なんだよね。
特に本職の漫画家さんたちの間では、「神様」手塚治虫先生と同格の存在として捉えてる人も案外少なくないという。

石ノ森先生(右)と手塚先生(左)

大学時代は「漫研」に所属してました、という人はこのへんのニュアンスが何となく分かるんじゃない?

・・そうね、仮に手塚先生が「パイオニア」だとするなら、石ノ森先生は「イノベーター」ということになるんだと思う。
特に<表現>という点で漫画を一歩前進させたのが石ノ森先生の功績だ。

<石ノ森先生の革新的な表現方法の一例>

圧倒的なコマ割りのセンスの良さ、そしてスピードの表現力・・。

今ではお馴染みの「見開き」なども、最初に始めたのは石ノ森先生らしいね。
実は師匠の手塚先生も、正直いうと石ノ森先生の才能にはかなり嫉妬してたらしいぞ。

さて、ここで個人的な話をひとつさせてもらうなら、私が生涯初めて読んだ石ノ森作品というのが実はコレ↓↓である。

「マンガ日本経済入門」(1986年)

意外とシブいチョイスでしょ(笑)。

いや、これは別に自分で買って読んだわけじゃなく、父親が持ってたんだよね。
私の父は本をたくさん読む人だったが漫画は読まない派だったので、それが珍しく漫画読んでるから興味が湧いて私もそれを読んでみたわけよ。
すると、面白かった。

内容は、タイトルの通り日本経済をネタにしたものである。
これの出版が1986年だから、ちょうどバブル経済の真っ只中だね。
そういう景気のいい時代の日本経済を描いたものだから、そりゃ面白いのも当然。
なお、これは1987年にアニメ化されている。

アニメ「マンガ日本経済入門」(1987年)

このアニメ、多分どのサブスクも配信してないと思うから見たことある人はかなり少ないと思うが、結構おススメですよ。
YouTubeで「マンガ日本経済入門」と検索すれば無料視聴可能なので、ぜひお試しください(全24話)。

だけどさ、バブル期ど真ん中のアニメなんだから普通はイケイケの浮かれた内容だと思うでしょ?
ところがねぇ、これが全然違うのよ。
この作品の中では明らかに近いうちの「バブル崩壊」を予知してて(実際のこの放送の数年後に崩壊・・)、どちらかというと終始不穏な空気に満ちた重苦しい内容である。
このままで日本は大丈夫なのか・・的なテイスト。

個人的には、太陽黒点の数の増減と世界情勢、および景気の浮沈がぴったり符合する話↓↓などはとても興味深かった。

ユダヤ人などは太古からこの法則を知ってて、またこの法則に基づいた投機をすることにより巨万の富を得てきたのだという(←ホンマかよww)。

なお、原作漫画とアニメは若干内容が異なっており、個人的には原作漫画のラストの締め方、ヒロイン/佐和子と大蔵省/本間さんの濡れ場(←多分コレ不倫なのでは?)オチという湿っぽく不健全な幕引きが印象深かった。
最後に佐和子と本間さんが結ばれたといっても、それは決して幸福な流れではなく、むしろどこか暗い未来を予感した佐和子が、その言い知れぬ不安を紛らす為に肉欲に溺れる、という感じの少し切ないエンディングなのよ。

・・で、アニメの方にもそれを期待してたが、残念ながらこっちはノーマルに濡れ場ナシの健全エンディングでした(笑)。

じゃ続けて、女性を主人公とした石ノ森作品をもうひとつご紹介しましょう。
皆さんは、この作品↓↓を知ってますか?

「009ノ1」(1967年)

いってみれば「サイボーグ009」の女性版というやつだが、「009」が少年誌連載なのに対し、「009ノ1」の方は青年誌(漫画アクション)連載なのよ。
よって、少しだけエロい。

ただね、これはちょっとした隠れ名作。
アニメ版のクオリティも、なかなかである。

アニメ「009-1」(2006年)

設定は「サイボーグ009」と大きく異なり、純然たる「スパイアクション」である。

舞台は「イースト」と「ウェスト」に二分された冷戦状態のセカイとなっており、主人公のミレーヌはウェスト所属の諜報員なのね。
よって「009」の「ブラックゴースト」みたく謎の秘密結社が敵というわけじゃなく、ミレーヌが相手どる敵はイースト陣営のエージェントということが多いかな。
なお、ミレーヌは肉体改造されたサイボーグである。

主な武器は、オッパイ機関銃ですねww

うむ、009の加速装置に比べると少しカッコ悪い・・。

あとの能力としては、

その美貌を活かしたハニートラップである・・

アニメ版の方は比較的抑えられてますが、漫画版の方では男性(主に敵)と接触するごとに挨拶感覚でSEXします(笑)。

別にこういうのは彼女が淫乱というわけではなく、肌を合わせることで相手の情報を引き出す、諜報員のとしての任務だということ。

しかし、原作漫画の方ではひとつ、超エゲツないエピソードがあるのよ。

というのも、ミレーヌには幼い頃、戦争の動乱の中で生き別れた弟がいるんですよ。
で、結論をいうとミレーヌはウェストに拾われてウェストの諜報員になり、弟の方はイーストの方に拾われてイースト側の諜報員に・・。
つまり、皮肉にも敵同士になっちゃうわけさ。

で、この時↓↓のミレーヌがSEXした相手(敵の諜報員)が実は弟だったんだよ・・

しかも、ミレーヌの側は相手が弟だと分かった上でSEXしてます・・。

ちなみに、弟の方は後になってミレーヌの正体が実姉だったと知り、

その現実に耐え切れず自殺しました・・

いやいや、私も今まで色々なヒロイン見てきたけど、正直ミレーヌほど理解の難しい女性はいないですね・・。

まさにハードボイルド。
なんていうか、このへんは<時代>なんだと思う。
1960年代も終盤ぐらいになると「劇画」の人気が高まりつつあり、手塚先生がこれまで描いてきたようなコドモ向けの漫画がだんだんと売れなくなってきていた流れだったらしい。

で、石ノ森先生もそういう時流を悟って、オトナ向けの作家としての変換をを図ろうとしてた時期だろう。

でさ、石ノ森先生は今まで「009」にせよ、「仮面ライダー」にせよ、常に<正義vs悪>の勧善懲悪を描いてきたでしょ?

ところが「009ノ1」は、明らかにそうじゃない。
ウェストvsイーストは、互いにただイデオロギーが異なる陣営にすぎず、どちらかが正義で、どちらかが悪ということもないんだよ。

じゃ、この物語に悪は存在しないのかというと決してそんなわけではなく、おそらく悪といえるのは、「ウェストの上層部」、「イーストの上層部」、双方の陣営上層部ということになるだろう。

ちなみにだが、「サイボーグ009」の悪/ブラックゴーストの実体は軍産複合体であり、国家上層部と完全に癒着した組織だった。
また、「仮面ライダー」の悪/ショッカーの実体も、同じく国家上層部と癒着した組織というか、むしろ政府そのものだったとさえ言っていいだろう。

・・そう、石ノ森先生の基本的な思想は
<悪=お上><正義=それに抵抗する者たち>
なんです。

で、実をいうと「009ノ1」の作中でも、そういう<正義>に近い存在が出てくるんだ。
具体的には、末端のウェスト諜報員とイースト諜報員がお互いの上層部には隠れて極秘裏に手を結び、「戦争を起こさせない為の情報」や「平和実現に有益な情報」を相互にリークする(バレないように)、という非正規活動がごく一部には存在するのね。
概念的に、これは<正義>に近いものだと思う。

「二重スパイ」容疑をかけれたサムは、明らかに<正義>の理念で活動する諜報員だった

ただ、ミレーヌは内心その理念に共感し、葛藤しつつも、最終的には彼らを粛清してしまう・・。

この「009ノ1」におけるミレーヌの立ち位置は、島村ジョー(009)や本郷猛(仮面ライダー)のスタンスとは大きく異なり、むしろブラックゴーストやショッカー構成員の方に近いのかもしれない。
ことあるごとに葛藤し、涙を流しつつ、それでも上層部には逆らうことなく忠実に体制側の任務をこなすことで粛々と生き残るミレーヌ。

ミレーヌが、前述のオトコたちのように<正義>に殉じて組織を裏切らないのは、やはりオンナならではの生存本能だという気がする。
オトコは「〇〇の為なら自分は死んでも構わん」というメンタリティであるのに対し、確かにオンナのメンタリティは少し違うのかもしれん。
どういうカタチであれ、自分が生き残ることを優先する。

それと同時に、これは石ノ森先生なりの
女性には、どういう形であれ、最後まで生き残ってほしい・・
という祈りのようなものが込められてるようにも感じるのよ。

・・確か、先生は実のお姉さんを若くして亡くしてるんだよね。

石ノ森章太郎の実姉/由恵さん(享年23歳)

そのあまりにも早すぎたお姉さんの死は、石ノ森先生の作風に大きな影響を与えたともいわれている。

具体的には、こういう作風↓↓もその影響のひとつといえるだろう。

オッパイ機関銃(もしくはビーム)
めちゃくちゃお気に入りやん・・ww


アニメ「009-1」未見の方は、是非一度ご覧ください。
結構サブスク配信されてるはずだし、仮に視聴環境にない人でもYouTubeで「009-1」と検索すれば無料動画視聴可能です。

是非、石ノ森先生の十八番、オッパイ機関銃をたっぷりと堪能してほしい。


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