「進撃の巨人」元ネタになった特撮の名作を知ってる?
先日にニュースで小耳に挟んだんだが、なんと東映特撮の「スーパー戦隊」シリーズが、昭和からずっと続いてきた長い歴史に、いよいよ幕を下ろすのだという。
その理由は、「収益的にペイしなくなってきたから」。

東映特撮には、もうひとつ「仮面ライダー」シリーズという別軸がある。
ちなみに、「仮面ライダー」の方はちゃんとペイできてるらしい。
同じ特撮ヒーロー系でありながらも両者に差が生じたのは、一体なぜなのか?
私が思うに、それはファン層の奥行きではないかな、と。
たとえば、「仮面ライダー」には「昭和ライダー」、「平成ライダー」、「令和ライダー」という3つの区分があって、意外とバカにできないのが「昭和ライダー」を支持するオジサンたちの存在である。


上記ふたつの作品は、ともに「昭和ライダー」をモチーフにしたコンテンツだよね。
オールドファンの支持を想定したやつだ。
「昭和ライダー」には石ノ森章太郎先生の色が割と強く出ていて、何となくドラマパートに暗さがあるんですよ。
基本、主人公が「自分は人間じゃない・・」ということを悩んでいる。
周囲に理解者がいるとはいえ、常にヒーローというのはどこか孤独である。

ライダー、つまりバイクというのはその「孤独」の象徴アイテムだったわけよね。
一方で、「ゴレンジャー」は全然「孤独」じゃなかったのよ。

バイクにはサイドカー付けちゃってるし、メンバーの中には女子もいるし、こいつらリア充かよ?
・・という感じで、私の中では
スーパー戦隊⇒あくまでもコドモをターゲットにしたコンテンツ
という認識ですわ。
「みんなで一致団結して悪を倒す」的な、友情/努力/勝利「少年ジャンプ」系の王道エンタメである。
・・うむ、コドモ的にはむしろこのコンセプトの方が「仮面ライダー」よりしっくりくるんじゃないだろうか?
事実、この王道的ニュアンスを買われてか、「スーパー戦隊」はアメリカでそこそこ支持されたんだよね。
皆さんは、この作品を見たことありますか↓↓
アメリカ版スーパー戦隊「パワーレンジャー」(劇場版2017年)

いや、もともとアメリカはアメコミ系ヒーローの本場だし、そんなところに東映特撮のダッサイ企画を持ち込んで大丈夫なの?と心配したが、逆にこのダサさが向こうじゃ新鮮だったのかもね。

このシリーズは今でも根強い人気らしく、多分、東映が「スーパー戦隊」をやめたところで「パワーレンジャー」の方はそのまま継続されていくんじゃない?

最初のうち、こういう感じ↑↑の山みたいなところで敵の群れと戦うスタイルが「あぁっ、東映特撮っぽい!」と嬉しかったんだが、でもよく見るとCGのおカネのかけ方が東映とは桁違いである。
スピード感やカメラワークも、明らかに向こうの方がカッコいい。

おまけに、ラストは5人のマシンが合体して巨大ロボ化し、巨大化した敵と市街地で闘うという展開。
こんなのやられたら、ぶっちゃけ本家の東映が立場ないって・・。
そう、今じゃ「特撮ドラマ」とは名ばかりであり、実際はほとんどが3DCGによる映像加工である。
そして3DCGの原則は実に明確で、
おカネさえかければ映像が確実によくなるし、逆にかけなければ絶対ショボいのができる。

おそらく、東映が「スーパー戦隊」継続を断念したこともそのへんに理由があるだろうね。
さて、一方の「仮面ライダー」の方はどうなのか?
私はそれが気になったので、この作品↓↓を少し見てみた。
「仮面ライダーゼッツ」(現在放映中)

・・なんかね、これ普通に面白かったのよ(笑)。
いや、ぶっちゃけいうと3DCGは結構ショボかったけど・・

これ、明らかにベルトの装着位置↑↑がおかしくないか?
・・そうか、よく考えたら「仮面ライダー」のルールに「ベルトは腰に」という明確な規定はないんだ。
規定とされてるのは、主に3つだけ。
①バイクに乗ること
②ベルトを着けること
③仮面コスチュームに変身すること
この3つさえクリアしとけば、「仮面ライダー」である。
別に「改造人間」である必要はないみたいで、事実、「ゼッツ」の主人公は特に改造手術を施されてはいない。

いうなれば、「仮面ライダー」とは幕の内弁当みたいなもんですよ。
幕の内弁当とは
・白ご飯
・焼き物
・煮物
・揚げ物
・漬け物
という条件さえ満たしていればあとは何でもOKであり、別に欧風でも中華風でもインド風でも何でもいいんですよ。
昔は「焼き魚と卵焼きとカマボコが必須」とかいってたけど、今はそうでもないみたい。
多分「仮面ライダー」というのも、そういういまどきの幕の内仕様である。

また、常にグループ構成を必須とする「スーパー戦隊」と比べてもヒーローが単身という設定ゆえ、ドラマを作る側の都合としては「仮面ライダー」の方がより自由度があってプロットを作りやすい。
もはや「何でもあり」とさえ言っていい。
事実、今の「ゼッツ」は「睡眠し、夢の中で敵と闘う」という一風変わったコンセプトだし、「平成ライダー」の中で特に人気のあった「電王」などは「電車に乗ってタイムリープし、そこで敵と闘う」という何とも荒唐無稽なコンセプトだった。

でもって、いまどきの「ライダー」は皆さん雰囲気がライトで、明るい感じなのよ。
割と普通にコメディ要素があったりして。
めちゃくちゃ口当たりがいい。
昔の「ライダー」の口当たりは、もっと苦かったんですけど・・

・・そうね、このへんは「昭和」⇔「平成~令和」で好みが分かれるところだろう。
「昭和ライダー」って、実質的に<怪奇ドラマ>だったと思うのよ。
ややホラーテイストというか、なかば「コドモたちを怖がらせる」ってのを確信犯的にやってた気がするんだ。
コドモたちは「オバケ怖い、オバケ嫌い」と言いつつ、実はオバケめっちゃ好きだから(笑)。

昭和の文法は、怪人をおどろおどろしく醜いものとして描き、一方で正義をしゅっとしたものとして描くという明確なものだった。
だけど平成~令和になると、もはや怪人ですら割としゅっとしてるんだよね。
このへんは、時代だな・・。
私は怪人ってキモイ方が好きですけどねww


個人的に幼少の頃って、ヒーローより怪人の方に興味をもって見てたような記憶があります。
ただ、このての「悪い者を醜く描く」というのはセオリーでありつつも、「人を見た目で判断する」、「美醜を価値基準にする」という悪癖を我々に植え付けたのかもしれんなぁ・・。
世の中には、しゅっとしてるのに悪い奴なんていくらでもいるのにね。
で、そういう東映の特撮ヒーロースタイルとは対照的に、ライバルの東宝の方は全く違う特撮ヒーロースタイルだったんですよ。
「ゴジラ」シリーズ

・・そう、東宝特撮の元祖「ゴジラ」シリーズですね。
東宝は正義だろうと悪だろうと、しゅっとしたものとして描かなかった。
ちなみに私の場合は、特撮作品に関して【東宝>東映】と評価をしてます。
そうだな、今回は最後に、東宝特撮の隠れ名作をご紹介するというカタチで締めましょうか。
その隠れ名作とは、コレ↓↓です。
「フランケンシュタイン対地底怪獣」(1965年)

「フランケンシュタインの怪獣/サンダ対ガイラ」(1966年)

・・うわっ、B級感がエゲツない!
と感じた人も多いでしょうが、これB級じゃありませんから。
それどころか日米合作の超大作で、監督/本多猪四郎、特技監督/円谷英二、音楽/伊福部昭という例の黄金トリオによる作品ですわ。
一部には「東宝特撮の最高傑作」という人もおり、この作品に感銘を受けたという人が他でもない、彼なんですよ↓↓
「進撃の巨人」原作者/諌山創

実際、諌山先生は「進撃の巨人」の元ネタのひとつに「サンダ対ガイラ」を挙げています。

はっきり言いますけど、実写版「進撃の巨人」よりこっちの方が遥かにいいですよ。
なお、「フランケンシュタイン対地底怪獣」と「サンダ対ガイラ」は連作のような連作じゃないような極めて微妙な関係なんだが、おそらく第1作目のフランケンシュタインと第2作目のサンダは同一のキャラである。
つまり、
第1作目では、かろうじて人間っぽい感じだったのに

第2作目では、完全にゴリラ化してますww

このへんの設定の雑さも含めて、私これ大好きなんですよね~。
でも、実はこの醜いサンダが正義のヒーローなんです。


他の怪獣系作品と違い、本シリーズは圧倒的にスピード感が違うんですよ。
で、諌山先生が特にインスピレーションを受けたのは2作目の方で。
このガイラは、人間を食べます・・


食べた後、ガムみたいに不要な衣服類を吐き出すという描写もある。

まさに「進撃の巨人」である。
タマランな~、昭和の東宝特撮!
「フランケンシュタイン」シリーズをまだ未見の方がいらしたら、是非一度ご覧になってみてね。


