採用の失敗は教育では補えない。コメディカル採用を「事務作業」から「経営の核」へ変える4つの本質
「せっかく採用した看護師が、半年も経たずに辞めてしまった……」 「条件は悪くないはずなのに、理想とする理学療法士からの応募が来ない」
医療系の人事担当者の皆様、このような悩みを抱えてはいませんか? 現在の医療業界は、空前の採用難です。離職率の低下やミスマッチの解消は、多くのクリニックや病院にとって最優先の課題でしょう。しかし、欠員が出るたびに求人媒体へ広告を出し、履歴書の「スペック(経歴・スキル)」だけで合否を判断する……。もし、そんな「事務作業としての採用」を続けているとしたら、根本的な解決は遠いかもしれません。
私は、これまで数多くの医療機関の採用支援を行ってきました。その中で確信していることがあります。それは、採用とは単なる欠員補充ではなく、「クリニックの未来を創造する最もクリエイティブな投資」であるということです。
今回は、採用の「基本と実践」を超えた、本質的な4つの観点についてお話しします。
1. 「入口管理」こそが経営の最優先事項である
採用における最も残酷で、かつ真実の言葉があります。それは、「採用の失敗は教育では補えない」という事実です。
私たちはつい、「今は少し価値観が違っても、入職後の教育で変えられるだろう」と考えがちです。しかし、教育はあくまで「人財」を輝かせるための磨き粉。ダイヤモンドを磨けば光りますが、石ころをどれだけ磨いてもダイヤモンドにはなりません。
根本的な価値観やマインドセットが組織の理念と乖離している場合、教育でその溝を埋めることは極めて困難です。むしろ、無理に矯正しようとすることで、本人も組織も疲弊し、最悪の場合は組織崩壊を招くリスクさえあります。
クリニックという名の「船」に誰を乗せるかを厳選すること。この「入口管理」こそが、経営者が、そして人事担当者が最初に行うべき、最も重要な意思決定なのです。
2. 「スペック」ではなく「OS(価値観)」を同期させる
履歴書に並ぶ学歴や資格、技術。これらは、いわばスマートフォンの「外装」や「アプリ(スペック)」です。しかし、採用で最も見極めるべきは、その根底にある「OS(価値観・在り方)」です。
「変わる魅力」と「変わらない魅力」
給与や休日、福利厚生といった条件は、競合他社と比較されやすく、状況によって「変わる魅力」です。一方で、クリニックが掲げる理念やビジョンは「変わらない魅力」です。 条件勝負で集まった人は、より良い条件が現れれば去っていきます。しかし、理念に共鳴して集まった仲間は、困難な時ほど力を発揮してくれます。
「意見」ではなく「行動(ファクト)」を問う
面接で「あなたの強みは何ですか?」と聞けば、多くの候補者は用意された「意見」を答えます。本質を見抜くには、過去の「行動」にフォーカスしてください。
「幼少期に寝食を忘れて熱中したことは何ですか?」
「損得勘定抜きで誰かのために動いた経験はありますか?」
教育で変えられないその人の「エネルギーの源泉」や「人間性の核」は、こうした過去のファクトの中にこそ隠されています。
3. 面接官の「自己受容」が対話の質を決める
採用は、面接官が候補者を「ジャッジ(評価)」する場ではありません。実は、面接官自身の心の状態が、そのまま対話の質として現れます。
面接官が「立派な人間だと思われなければならない」と鎧をまとっていると、候補者もそれを見抜き、本音を隠してしまいます。そこで生まれるのは、借り物の言葉のやり取りだけです。
人事担当者や院長自身が、自分の弱みや欠点を認め、受け入れる(自己受容)。そうすることで初めて、相手に対してもフラットな心で向き合えるようになります。 「うちは今、こういう課題があって、私も試行錯誤しているんです」 そんな自己開示が場に「心理的安全性」を生み、候補者は初めて「生きた本音」を語り始めます。面接は、お互いの魂を鏡に映し出すプロセスなのです。
4. 人の人生に対する「愛」と「責任」を持つ
最後に、最も大切な視点をお伝えします。採用とは、単なる雇用契約ではありません。「一人の人間の人生に対する責任を引き受ける覚悟」です。
採用活動は、まだ見ぬ最高の仲間へ向けた「未来へのラブレター」です。そして、一度「この船に乗ろう」と決めたからには、そのスタッフを「絶対に輝かせる」というコミットメントが不可欠です。
理念に共鳴した仲間が一人増えることは、単に人手が増えること以上の意味を持ちます。それはクリニックが地域社会に与えるインパクトを何倍にも膨らませ、個人の限界を超えて貢献を最大化することに繋がるのです。
結論:共に未来を創る「約束」を交わそう
いかがでしたでしょうか。 採用の本質とは、「自らの理念を高く掲げ、それに共鳴する魂を見つけ出し、深い対話を通じて共に未来を創る約束を交わす、神聖な経営プロセス」に他なりません。
もし今、採用がうまくいかずに立ち止まっているのなら、一度立ち止まって「私たちの理念という旗は、正しく掲げられているだろうか?」と問い直してみてください。
「具体的にどうやって理念を浸透させればいいのか」「自院に合うOSの見極め方がわからない」といった不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちは、採用のテクニックだけを教えるコンサルタントではありません。貴院が最高の仲間と出会い、共に輝く未来を創るための伴走者でありたいと願っています。
あなたのクリニックに、最高の「魂の共鳴」が起こることを、心より応援しています。
