海外から視察が増加する港北ニュータウンで語ること:地元行政の財政
私が海外政府機関の港北ニュータウンの講義と視察をする時、必ず話すことがあります。
それは「大規模な都市開発事業で最も重要なことは、地元行政の財政や人員を考えた開発スピードなどをマネジメントすること」です。
地元行政は、開発に伴い学校や保育園、図書館などの公益施設の管理運営、水道や下水道の管理運営など、財政支出が増加することになります。
インフラ整備に着手しても、開発地域に人口が定着して、企業を誘致して税収が増加するには、タイムラグがあります。
港北ニュータウンでは、1983年の初期入居から、地下鉄(3号線、4号線)が開通したのは、25年後の2008年です。
その背景には、厳しい財政状況による支出抑制の政策により、地下鉄整備の優先順位が高くなかったということもあります。
無秩序な開発によるスプロール化対策として、効果がある大規模都市開発事業であるが、利益優先ではなく地域を地元行政と一緒に成長させていくという意識でマネジメントする必要があります。
地方自治体の厳しい財政状況
全国の市で最多の377万人が暮らす横浜市は財政上の大きな課題を抱えている。リーダーには政策実現と財政健全化の両立という難しいかじ取りを迫られる。
「本市の財政状況は持続性に欠けた危機的な状態にあります」
横浜市は市のサイト「ワンストップ財政情報」でこう解説する。
危機的状況を示すものに減債基金の取り崩しがある。減債基金とは、自治体が世代間の負担の公平性を考え、将来の借金返済に備えて一般会計から計画的に積み立てる資金だ。
大阪府では2001~07年度、減債基金から一般会計に計5202億円を借り入れ、財源不足を穴埋めした。
財政赤字を少なく見せかけることにつながることから、当時は財政運営の「禁じ手」として問題になり、08年に就任した橋下徹府知事(当時)が決別を宣言。
職員給与カットなどを打ち出したが、負の遺産を清算するのに23年度までかかった。
減債基金を取り崩す政令指定都市はほかにもあるが、23年度時点で一般会計に流用している額は、517億円の川崎市や470億円の京都市などと比べても、3138億円の横浜市は突出して多い。
横浜市が取り崩しを始めたのは1994年度にさかのぼる。
財政悪化の主な要因は、
1 義務的経費・固定費の増大
自治体の財政でまず重荷になるのが、給料・退職金・社会保険費・扶助費(生活保護、医療・福祉関連など)といった、削りにくい支出(義務的経費)です。
少子高齢化や福祉需要の拡大により、これらの支出が年々膨らむ傾向があります。横浜市も例外ではありません。
2 公共施設・インフラの老朽化対策コスト
戦後から高度成長期にかけて集中的に整備された学校施設、上下水道、道路・橋梁などのインフラ・公共施設が老朽化しており、将来的な改修・更新費用が膨らんでいます。
横浜市の試算では、今後20年間で公共施設の保全・更新に約4兆9800億円かかるという見込みも報じられています。
また、橋梁や水道管、道路など、築40年超のものも多数存在するとの報道があります。
3 税収の伸び悩み/構造的制約
市税収入(市民税・固定資産税など)は、景気・所得・企業活動に左右されやすく、安定して大きく伸ばすのが難しい。
特に低成長時代には税収の伸びが期待より鈍くなる傾向があります。
さらに、横浜市の税構造では、法人税(法人市民税)の割合があまり高くない、という指摘もあります。
4 選択・集中すべき政策と過剰な「ハコモノ」整備
市庁舎、劇場、多目的ホール、文化施設などの新設案件が目立つ、という報道もあります。
こうした施設建設には初期コストだけでなく維持管理費もかかります。特に収益性を確保しにくい公共施設は、長期的には財政負担になりうる。
報道によれば、横浜市は「庁舎に劇場構想」など、目立つ大型施設整備の構想も出されており、それが批判材料になったことがあります。
5 過去の財政運営のツケ
・ 減債基金の取り崩し・臨時財源の乱用:
将来に向けて借金を返すために積み立てていた減債基金を、臨時財源として取り崩す動きがあったという指摘があります。
・ 赤字地方債の発行:
コロナ禍で市税収入が減ったことを補うため、赤字地方債を発行した年度もあると報道されています。
・ 「禁じ手」とされる手法の継続:
市が財政的な延命策を講じ続け、長期間の累積債務を許してきた、という批判も見られます。
みなとみらい21地区の都市開発は、業務系中心で1,300社以上が立地し、この地区からの年間の横浜市税収は200億円以上。
年間予算が約2兆円なので、200億円は大きな金額ではないが、住宅中心の市街地が赤字であることを考えると、財政健全化に少しは貢献している。
