横浜・港北ニュータウン:都会と自然が調和する住み心地抜群の街
「港北ニュータウン」と聞いて、どんなイメージを持つでしょうか?
都会の一角?
自然豊かな街?
それとも、単なる住宅街?
実は、港北ニュータウンは、都会の利便性と自然の豊かさを兼ね備えた、住み心地抜群の街なのです。
【都心へのアクセス抜群!充実した交通網】
港北ニュータウンは、横浜市営地下鉄ブルーラインと東急田園都市線が乗り入れ、都心へのアクセスが抜群です。渋谷駅まで約20分、横浜駅まで約15分と、通勤・通学にも非常に便利です。
さらに、高速道路も近く、車での移動もスムーズ。週末には、都心や湘南エリアへのドライブも楽しめます。
【緑豊かで快適な住環境】
港北ニュータウンは、緑豊かな公園や緑地が充実しており、自然と触れ合える環境が魅力です。
特に、「綱島公園」は、広大な敷地内に遊具広場やテニスコート、バーベキュー場などを備え、家族で一日中楽しめるスポットとして人気です。
また、「大倉山記念館」や「横浜美術館」など、文化施設も充実しており、芸術に触れる機会も多いです。
【買い物やレジャーも充実!多彩なライフスタイル】
港北ニュータウンには、大型ショッピングモールやスーパーマーケット、専門店街など、生活に必要なものが揃っています。
また、映画館やボウリング場、フィットネスクラブなど、レジャー施設も充実しており、飽きることなく楽しめる街です。
さらに、「港北ニュータウン中央公園」では、季節の花々を楽しむことができ、散歩やジョギングを楽しむことができます。
【教育環境も充実!子育て世代に優しい街】
港北ニュータウンには、小学校や中学校、高校など、教育機関が充実しており、お子様を持つ家庭にとって安心できる環境です。
また、「港北区役所」や「港北警察署」など、行政機関も充実しており、安全面でも安心です。
【都会と自然の調和が魅力!住み心地抜群の街】
このように、港北ニュータウンは、都会の利便性と自然の豊かさを兼ね備えた、住み心地抜群の街です。
都会の喧騒から離れて、ゆったりと暮らしたい方、自然と触れ合いながら、快適な生活を送りたい方、子育てに最適な環境を求める方に、おすすめの街です。
それでは、港北ニュータウンがどのように出来たのか見ていきましょう!

1港北ニュータウンの位置
港北ニュータウンは神奈川県横浜市都筑区に位置しており、東京都心から南西へ約25km、 横浜市中心部から北北西へ約12kmの距離にあります。

2 広域交通ネットワーク
周辺には、東急田園都市線、JR横浜線、東海道新幹線、東急東横線、及び国道246号、第三 京浜道路、東名高速道路等の鉄道と道路があります。
港北ニュータウンでは、それらと接続するように、幹線道路や横浜市営地下鉄が整備されまし た。
①鉄道は、地区内を縦断するように、横浜市営地下鉄3号線(通称ブルーライン)と4号線(通称 グリーンライン)があり、地区内に計6駅整備され、地区周辺の東急線やJRと接続されました。
※横浜市営地下鉄3号線(通称ブルーライン)は、東急田園都市線のあざみ野駅へセンター北から4分。 (新幹線及びJR横浜線)新横浜駅へセンター北から12分。 新横浜駅を経由し、横浜へは23分。
※横浜市営地下鉄4号線(通称グリーンライン)は、 東急東横線日吉駅へセンター北から11分。 JR横浜線中山駅へセンター北から10分。 となっています。
②道路は、地区に近接する国道246号、第三京浜道路(都築IC、港北IC)や東名高速道路(横 浜青葉IC、東名川崎IC)等と連絡させ、横浜市北部地域の都市機能を発展させるよう計画的に整備されました。

3地区概要
港北ニュータウンは、早渕川を挟み北側の丘陵地だった港北第1地区と、南側の丘陵地だっ た港北第2地区の2地区について、土地区画整理事業を実施しました。
また、南北タウンセンターの一体化など良好な市街地形成のため、追って、港北中央地区の 土地区画整理事業も実施しました。
・港北第1地区及び第2地区の施行面積は計1,317ha。港北中央地区を合わせると、土地区画 整理事業としては、合計1,340haの事業を実施しました。
・港北第1地区及び第2地区の当初事業認可は昭和49年8月で、計9回の事業計画変更を行い、 平成8年9月に換地処分を行い、事業完了しました。 事業期間は清算期間10年を含め、平成18年3月迄となっております。
・港北中央地区については、施行面積24haで、平成8年2月に認可を取り、平成17年6月に換地 処分公告を行い、事業完了しました。

4 土地利用計画
こちらは港北ニュータウンの土地利用になります。
早渕川を挟んで、北に港北第1地区、南に港北第2地区となっており、港北第1地区と港北第 2地区とを結ぶネック部分を港北中央地区として整備しました。
土地区画整理事業で整備した区域は、着色された区域となります。
(うすい緑色:農業専用地区と、うすい紫色:既存開発区域等は土地区画整理区域外)
港北ニュータウンの中央で、横浜市営地下鉄3号線と4号線がX字状に通っており、区域内に は6つの駅があります。
港北ニュータウンでは、マスタープランの策定にあたり、いくつかのパイロットプランが検討され ましたが、検討の結果、最終的に、タウンセンターをニュータウンの中心に設け、主要街路は、タ ウンセンターに求心性を持たせるよう配慮し、東西・南北方向へのはしご(ラダー)型を骨格とす る配置に計画されました。
センター北・南駅を中心とするニュータウンの中央部には大型商業施設が集積するタウンセン ター地区が配置され、その他の駅の周辺に商業集積する駅前センター地区を配置しています。
幹線道路沿いに研究施設やオフィスビルなどを配置しています。さらに、区域の縁辺部、第三 京浜道路都筑ICや東名高速道路の横浜青葉ICの隣接部等には、工業施設を配置しています。
土地区画整理事業の実施による保留地、公団先買地による換地を利用し、計画的に、集合 住宅、商業施設、学校等教育施設、企業の研究所、病院等の商業・業務・サービス・文化施設 の集積、各種施設の立地を図り、横浜の「副都心」機能と首都圏の「業務核都市」機能を持った、 多機能複合型まちづくりを目指した市街地整備を行いました。
また、区域全体にわたり、公園・緑地が設け、緑道・歩行者専用道路で繋げました。これらを、 「グリーンマトリックス」と呼んでいます。
土地区画整理事業区域の外側の、北と南には農業専用地区(うすい緑色:市街化調整区域) があり、農業用地として利用されています

5事業概況
港北第1地区及び第2地区の地区面積は、約1,316ha、港北中央地区は、約24ha、合計 1,340haに上ります。
・平均減歩率は約37%(公共減歩約26%、保留地減歩約11%)、公団による先買面積は約40% となっています。
・事業認可時点での地権者数は約5,600人で、家屋数は約2,500戸、従前地の筆数は約21,000 筆ありました。
・港北中央地区については、平成8年2月に事業認可をとり、平成17年6月に換地処分公告を行 い、事業完了しました。
(施行面積24ha、平均減歩率約33%、総事業費約191億円、地権者156名)
ちなみに、港北第1地区及び第2地区の総事業費は、約8,994億円、計画人口は22万人。港北中央地区の総事業費は、約191億円、計画人口は750人となっています。
このように、港北ニュータウンでの事業量は、日本最大級の数となっており、日本最大級の土地 区画整理事業といえます。
また、土地区画整理事業区域周辺部も含めた広義の港北ニュータウンは、当時の港北区と緑区 にまたがる約2,530haの区域、計画人口約30万人となっており、首都圏有数の大規模ニュータウ ンでもあります。

6事業背景
港北ニュータウン建設事業に至る事業背景です。
・昭和30年代、高度経済成長による東京への人口集中により、横浜市でも急激な人口流入が見 られ、農村地帯であった港北ニュータウンも宅地化が進みました。
・横浜市は、「既成市街地の過密化」と「周辺部の農地や丘陵の乱開発」の発生に対し、横浜市 の「都市構造の根幹の構築」が必要と認識し、その具体策として昭和40年に「横浜市6大事業」 を発表しました。その中に、「港北ニュータウン建設事業」が位置づけられました。
・昭和41年7月、横浜市から日本住宅公団(現UR都市機構)に対して、港北ニュータウン建設の公式の申入れが あり、市の要請に基づき、公団はその中核区域において土地区画整理事業を施行することとなりました。
・港北ニュータウン区域は、道路、鉄道等の交通施設に恵まれていなかったため、横浜市の陸 の孤島と言われており、港北の市街地整備は地元の長年の悲願だったそうです。地元も公的に 団地建設や基盤整備をしていた公団による事業実施を期待していたとのことでした。
・港北ニュータウン建設事業は、そのような時代背景の中、乱開発・スプロール化防止、都市と農村の調和等の理念のもと、良好な住宅地整備を行うことを目的に事業が進められました。
・事業では、公団が土地の先買を行う、「先買方式による土地区画整理事業」を実施し、事業に よる保留地に加え、公団の先買地の換地を活用し、集合住宅や誘致施設など計画的な土地利用の実現等に取り組みました

7基本理念
港北NTの開発にあたって、横浜市は次のような基本理念を決めました。
①乱開発の防止
「高度経済成長」に伴って横浜市の人口が急増し、港北NT地域でも無秩序な 住宅地化が進んだことから、この乱開発を防止し、良好な住宅地を形成することを基本理念の一 つとしました。
②都市と農業との調和
港北NTの区域は市内有数の農業地帯であり、多くの農家が存在したた め、開発にあたっては、NTと農家の共存を図る必要がありました。
そのため、約230haの農業専 用地区を整備し、土地区画整理事業地との間で土地の交換分合を行う等、農業を守る取り組み を行いました。写真は、現在の農業専用地区の状況です。
※東方農業専用地区などを 中心に「横浜ブランド農産物」なっている、ホウレンソウや小松菜など、近郊農業として軟弱野菜 の生産が意欲的に取り組まれています。
③市民参加のまちづくり
横浜市は「市民参加の街づくり」を実践するため、「港北NT開発対策 協議会」を発足させ、市民の声を街づくりに反映させました。
この「開発対策協議会」からの意見 で設けられた「港北NT建設研究会」の報告書では、土地利用計画に沿った快適で住みやすい 環境を得るために1戸当りの分譲面積の狭小化を防止することを提言したり、現況植生の保存 及び緑化対策への提言を行うなどしています。
市民参加の街づくりを方針に大規模都市開発事業を推進したのは、国内で港北ニュータウンが最初のプロジェクトです。
また、権利者の生活再建のための土地利用の位置と条件の明確化が打ち出され、この研究成果が港北NTにおける「申出換地方式」の発想の源となりました。
④多機能複合都市
この項目は昭和60年頃に追加されたものですが、東京への人口集中の是正に向けた多極分散型都市構造への転換が打ち立てられたことも受け、港北NTでも、住むだけではなく、働く、学 ぶ、憩うという「多機能複合都市」としてのまちづくりが基本理念に掲げられました。

8 街づくり方針
横浜市の基本理念を受けて、次のような基本方針を作り、計画的なまちづくりを始めました。
①緑の環境を最大限に保存するまちづくり
山や斜面、谷など、もともとあった土地の特性を断片的ではなく、できるだけ連続的に残し、地 形の特性にあった多様な自然環境が残るような街をつくることをめざしました。
②“ふるさと”をしのばせるまちづくり
自分のふるさとの記憶や子供の頃遊んだ里山や小川のせせらぎの記憶、それらがよみがえる ような街づくりをめざしました。
③安全なまちづくり
自動車の通る場所と歩行者の通る場所を明確に分離して安全にまちを歩けるまちづくりをめざ しました。
④高い水準のサービスを得られるまちづくり
高速鉄道建設事業と港北ニュータウン開発を一体的に行い、東西南北方向への公共交通アク セスと駅前を中心とした生活拠点を確立させ、ニュータウンの拠点としてのサービスの中心となる タウンセンター地区(センター北駅周辺・センター南駅周辺)を設定しました

9事業の沿革
昭和40年2月に横浜市から「横浜市の都市づくり将来計画の構想」が打ち出されました。その 中に『6大事業』と呼ばれる基幹的事業が掲げられ、その一つとして「港北ニュータウン建設事業」が掲げられました。
その後、横浜市から要請を受けた公団の施行により土地区画整理事業が行われることとなりました。
昭和58年(1983年)に街びらき(初期入居)が行われました。この時期、このプロジェクトに関わっていましたが、大規模都市開発の街びらきは、想像以上の業務がありました。
日中は市役所と協議や地権者との調整があるため、工事業者の打ち合わせは、深夜2時頃から始まることが多かったです。
そのため、自宅に帰れるのは週2日~3日程度で、ほとんど現場事務所に泊まっていました。
私だけではなく、関係者の多くがそのような状況でした。多くの方々に街びらきの目標を共有して、協力をお願いしていたので、人で不足や資材不足で遅延するなどという言い訳は通じない状況でした。
働き方改革が進む現在では、考えられない状況が相当期間続いていました。

【参考】横浜市6大事業
横浜市6大事業とは、
・都心部強化事業:みなとみらい21地区
・金沢地先埋立事業
・港北ニュータウン建設事業:土地区画整理事業エリア1,340ha、 農業専用地区230ha等
・高速鉄道建設事業
・高速道路網建設事業
・横浜港ベイブリッジ建設事業
を指します

10 港北ニュータウンの特徴
港北NT事業の特徴(目玉)としては、
・「日本最大規模の土地区画整理事業」「大規模NT事業」であること。
・「市民参加のまちづくり」を行い、事業を推進させたこと。
・都市化を図るNT整備区域と、農業専用区域の整備による都市農業の確立により、「都市と農業 の調和」を図ったこと。
・同じく横浜市6大事業に位置付けられた「都市高速度鉄道計画、鉄道との一体的整備」を行っ たこと。
・「グリーンマトリックス」と称している、公園緑地、歩行者導線計画をNT全域で構築し、緑地・歩 行者導線空間のネットワークを構築し、斜面緑地や地内緑地である保存緑地の保全も組み合 わせ良好な原況緑地を保全し、良好な緑空間を創出したこと。
・大規模なタウンセンター整備。新都市施設・高次公共施設の整備を行ったこと。
・港北NT全体での、まちづくり誘導への取り組みを行ったこと。
・住民参加のまちづくりの一環として、「大規模な申出換地」を行ったこと。 タウンセンター等で「共同化義務街区による大規模商業施設の誘致」を図ったこと。 も大きな特徴(目玉)として挙げられます。
特に、港北NTで行った申出換地の手法は模範とされ、以後多くの市街地開発事業に取り入れられました。

11 日本最大の土地区画整理事業
以下、区画整理手法の専門的な記述になりますが、業務量の膨大さなどを理解していただくため、業務上使用している専門用語で説明します。
○区画整理の業務としては、昭和49.8の事業認可に先立つ、現況測量、土地評価方法の検討から、事業認可後の土地区画整理審議会対応、港北NT事業推進連絡協議会対応(総会11回、 合同協議会46回)等の地元住民対応、換地設計業務、申出換地対応、区画整理法76条申請対応等、膨大な業務を実施しました。
○土地区画整理審議会は、事業期間中、小委員会も含め、第1地区で計444回、第2地区で計 267回開催され、76申請の件数は、約1万件に及びました。
○事業途中、タウンセンター、駅前センター、小中学校計画変更等をはじめとする、事業計画・ 土地利用計画変更を受け、都度、換地設計変更を行いました。
○昭和61年に市営地下鉄3号線の一部高架に伴う換地設計変更を対応しましたが、この変更 は、地下鉄整備費縮減のため、事業上必要な変更ではありましたが、これに伴い一般換地として決定していた部分及び公共用地が一部鉄道用地となり、用途地域も変更され、土地評価基準の変更も伴う等、大幅な換地変更が必要となりました。
○平成8.9に換地処分を行いましたが、換地計画の作成は、平成6.9より行い、その内容を平成 7.5からの3ヶ月の供覧を経て、平成8.4に縦覧を行い、同6/28に神奈川県知事の許可を得て、 全関係地権者への配達証明郵便による換地処分通知書の送付・到達確認を経て平成8.9.29に 換地処分公告に至りました。
○換地処分の通知者は、所有権者で約11,000人に上りました(当初認可時の地権者が約5,600 人ゆえほぼ倍)。筆数は認可時約21,000筆だったのが換地処分時は約31,000筆と約1.5倍となり ました。
○換地処分公告後の土地区画整理登記は、土地が約4万件、建物が約2.7万件に上る膨大な 件数となりました。こちらも当初認可時に比べると、土地は約2倍、建物は約10倍になりました。
○土地区画整理登記は、横浜地方法務局との協議では、当初約2年要する見込みでしたが、 地元地権者、審議会からの要請もあり、法務局で検討した結果、平成8.10から平成9.3迄の6ヶ 月で登記完了に至りました。
以上の状況もあり、港北ニュータウン事業の経験者は、日本最大プロジェクトを完遂させたという勲章を心に持っているのです。

2 関連公共施設の整備
造成は、グリーンマトリックスの考え方を踏襲し、現況の斜面緑地や屋敷林などの現況植生を 残すこと等【現況植生の保存、既存集落・社寺仏閣の保存、現況分水嶺の尊重、地区内近距 離土量バランス、土工量の低減】を基本方針として造成を行いました。
・港北ニュータウンの造成にあたっては、当初はニュータウン内に調整池を設けない代わりに、 鶴見川の大規模浚渫工事を実施しましたが、その後、鶴見川の総合治水対策により、約22万㎥ の雨水貯留浸透施設を設置することとなり、公園、計画建設用地、教育施設用地、その他公益 施設用地内で確保しました。
・大街区の戸建住宅地への2次開発も行いましたが、その中でも調整池の整備を行いました。2 次開発では、調整池上を有効利用するため、ポケットパークとしての整備をおこなった例もありま す。
・なお、港北中央地区では、早渕川に接する位置に調整池を整備し、洪水時に横越流させるこ とにより貯留することで、調整機能を確保しました。
・供給処理施設としては、上水道、下水道施設の他、電波障害対策としてCATVの施設整備も 行いました。東京電力・NTT・東京ガスによる電気・電話・ガス施設も整備されました。
・港北ニュータウンでは、タウンセンター、駅前センター、幹線道路、公園・緑道、歩行者専用道 路、計画建設用地、公益的施設用地内を無電柱化区域とし、電柱のない快適な都市空間を創 出しました。
幹線道路、公園・緑道、歩行者専用道路での無電柱化延長は約100kmに上ります。

13 補償の特徴
・港北ニュータウンの補償としては、とにかく大量の移転物件への対応が必要な状況で、移転対 象は1,573戸に上りました。補償にあたっては、公平に行うため、補償基準等の整備を行い対応 しました。 最盛期には、年間移転戸数約350戸という時期が数年続いたとのことです。
・工事推進のための起工承諾による土地使用は約713haに上りました。事業損失は、約2,400件 に上りました

14 埋蔵文化財の調査
港北ニュータウンにおける埋蔵文化財調査は、全部で268遺跡、約189ha行われました。
・特に、弥生時代中期の環濠集落の遺跡である大塚・歳勝土遺跡は、昭和60年1月に国指定遺 跡に指定され、現状保存されました。
・都市計画道路佐江戸・北山田線をはさみタウンセンター北に横浜歴史博物館が整備されまし たが、その歴史博物館に、港北ニュータウンで発掘記録保存された、約17,000箱に上る出土品 が収蔵・展示されています。
・この大塚・歳勝土遺跡と都市計画道路佐江戸・北山田線は、高低差が約18mあり、事業当初 から課題となっていましたが、検討を行い、擁壁高最大約18m、擁壁施工幅約6mの大擁壁の 整備を行いました。

15 市民参加のまちづくり
大規模な都市開発事業では国内初となる「市民参加のまちづくり」について、ご説明します。
・港北ニュータウンは、区画整理事業実施において、地権者(多数の農家)が多数おり、これらの方々の合意形成が必要不可欠な状況でした。
・このことから、横浜市は、横浜市の6大事業に位置付けられた当初から「市民参加によるまちづ くり」を掲げ、開発計画を地元に示し、地元と協議しながら事業を進める方式を採用しました。
・港北ニュータウン事業による大規模な市街地改変・市街地整備を進めるにあたって、既存住民の意見を聞き、理解・協力を得ていくことが必要不可欠だったのです。
・具体には、地元、横浜市、公団、関係機関等で「港北ニュータウン事業推進連絡協議会」を設置し、実現を図りました。
・協議された内容は各地区の協議会を通じて地元に伝達し、地元意見等も、各地区協議会を通 じて、市・公団・関係機関に伝達し、事業に反映させました。
・土地利用計画、事業スケジュール、生活再建等、様々な協議を行ない、三位一体で事業を推 進しましたが、その結果、まちづくりへの地権者の参画を推進する仕掛けとして、センター地区な どへ換地希望者を募る「申出換地」が導入されることになりました。これは大きな成果として挙げ られます。

16 市街地整備と鉄道の一体的整備
港北ニュータウン開発による市街地整備と一体的に、同じく「横浜市6大事業」に位置づけら れた「都市高速鉄道計画」を具現化し、横浜市により市営地下鉄2路線が整備されました。
・ニュータウンの人口定着、タウンセンターの施設誘致等には、鉄道の整備が不可欠だったこと から、横浜市は、開発に合わせ市営地下鉄の早期整備に向け取組みました。
・港北ニュータウン区域内では、横浜市営地下鉄3号線及び4号線の2路線、計6駅を一体的に 整備しました。
・3号線、4号線ともにタウンセンターを経由しており、センター北、センター南は3号線、4号線の 共通駅となっています。
・当初は地下構造で計画していましたが、費用面等の理由から、一部を高架、掘割式に変更し て建設されました

17 道路計画
・港北ニュータウンでは、マスタープランの策定にあたり、いくつかのパイロットプランが検討され ましたが、検討の結果、最終的に、タウンセンターをニュータウンの中心に設け、主要街路は、タ ウンセンターに求心性を持たせるよう配慮し、東西方向、南北方向へのはしご(ラダー)型を骨格 とする配置に計画されました。
・またこれらの主要道路は、東名高速道路(横浜青葉IC)、国道246号、第三京浜道路(港北IC、 都筑IC)などの広域幹線道路と連絡させています。
・東西3本、南北5本の都市計画道路が地区内に計画・整備されました。(地区外を併せると11路 線となります。)
・幹線道路で囲まれた地区内については、居住者等の交通確保を目的として、地区幹線道路、 住区幹線道路、区画道路及び歩行者専用道路を段階的に整備しました。
・幹線道路は掘割式構造を広く活用し、歩行者専用道路と交差する部分も基本的に立体交差を 導入し歩車分離しています。
⇒この歩車分離等の立体交差のため整備した橋梁は、ニュータウン全体で121橋になります。

18 クリーンマトリックス
・グリーンマトリックスシステムとは、地区内の緑道を主骨格とし、集合住宅、学校、企業用地等 のスーパーブロックの斜面樹林や屋敷林などの民有の緑を、公園・緑地等の公共の緑と束ねて 連続させ、さらに歴史的遺産、水系などとも結合させて再構築し、地区全体の空間構成の要とし たシステムです。
・緑道により、連続的に、体系的に結び付けることにより、それぞれの要素自体の機能が複合 化され、限られた空間の中で最大限のレクリエイション活動が可能となるように考えられたもので す。
・こちらの図の赤い線で囲んだ公園が総合公園及び地区公園で、青い線で囲んだ公園が近隣 公園です。これらを全長14.5kmに及ぶ5本の緑道で結合しており、この緑道がグリーンマトリック スの軸となっています。
・緑のネットワークに加え、これと機能的に連携する歩行者専用道路と主要な鉄道駅やバス停 などを結びつけ、自動車の通る場所と歩行者の通る場所を明確に分離して安全にまちを歩ける まちづくりをめざしました。
・このグリーンマトリックスシステムにより、既存の緑が多く保全され、水と緑が一体となった昔な がらの谷戸の景観の保全・再現が図られ、緑のネットワークとともに歩行者専用道路が整備され たことにより、基本方針の「緑の環境を最大限に保存するまちづくり」「ふるさとを偲ばせるまちづ くり」「安全なまちづくり」が実現されています。
・港北NTではこの仕組みにより、約150haの緑を保全しました。 ○市街地の中で、これだけの緑を、まとまりをもって連続させ担保していることは、意義深い取り 組みで、港北NTの大きな特徴といえます。平成8年には、「緑の都市賞 内閣総理大臣賞」も受賞しました

19 保存緑地
公園緑地緑道などの公共用地に加え、それに隣接するように、土地利用計画で、小中 学校、計画建設用地(集合住宅用地)などを配置し、その区域に存していたクヌギ・コナラ林など 既存の緑地を「保存緑地」として連担して保存することにより、多く緑地を、大きなまとまりを持た せ保全させました。
・この「保存緑地」の保全・活用により、ふるさとを偲ばせる景観が創出されました。 真ん中の図は、代表的な緑道の断面図です。
・緑道(5系統、全長14.5km)を整備するにあたっては、集合住宅地内や小学校等の公益用地 内に保存した保存緑地と一体に整備することにより、緑の幅が100m以上に及ぶ区域も創出しま した。このように広大な緑化空間を土地区画整理事業の中で保全しているのは、とても大きな取 組みかつ、港北ニュータウンの大きな特徴とも言えます。
・また、緑道には「せせらぎ」を配置し、「緑」と「水」が一体化した豊かな自然空間が形成されて います。
・ちなみに、横浜市の「緑地保存地区制度」で、保存緑地について固定資産税・都市計画税の 減免を行っており、これにより、民有地等宅地にあった現況緑地の保全を図っています。

20 大規模タウンセンター
・港北NTの中心には、タウンセンターが整備され、大規模な商業・業務・サービス文化等に対 応する多機能複合センターとして、港北NTの生活基盤の中核地区となっています。
・タウンセンターは、横浜市の「副都心」、首都圏での「横浜業務核都市の業務施設集積地区」 としても位置付けられており、広域拠点形成としてふさわしい高水準な都市基盤施設の整備も行 われました。
・タウンセンターを港北第1地区・第2地区、各々に配置させ(センター北、南)追って港北中央 地区の事業実施により、タウンセンターを一体化させました。
・タウンセンターは港北中央地区も含め、約88haの規模で、特にセンター南地区には、都筑区 総合庁舎、警察署、消防署、郵便局、昭和大学横浜市北部病院など、公益施設を一挙に集約させ、高い利便性を図っています。
・センター北・南駅前には、大規模商業施設を誘致し、駅前広 場、ペデストリアンデッキ・エスカレーター、地下駐車場を整備するとともに、橋梁・デッキによる 立体交差を多用した機能的な歩車交通動線計画としており、シンボル広場等のシンボリックな修 景空間と合わせ、便利で快適な空間を形成させています。
・また、高水準な都市基盤施設として、電線類共同収容溝、地域冷暖房システム、CATV施設 などの整備も行い、広域拠点形成としてふさわしい新都市施設・高次公共施設を整備しました。 共同収容溝の整備によりタウンセンターでは全面無電柱化を図っています。

21 新都市施設の整備
・タウンセンターでは、高水準な都市基盤施設として、道路工事による交通渋滞を引き起こ さない安全で効率的な都市運営、美しいまち並み形成のため、都市災害に強いライフラインで ある、電線類共同収容溝を整備しました。これにより、タウンセンター内では、全面無電中化としています。
・共同溝は、センター北・南の主要道路の地下に各々2幹線を整備し、その延長は、2,000mに 及ぶ大規模なものとなっています。特殊部は計74箇所整備し、大規模宅地や、TC内の街路に 整備した収容溝へ接続させ、各々の宅地への引き込みを行っています。
・収容施設としては、電 気・水道・電話・CATV・地域冷房施設を収容しています。また、共同溝内の排水・換気・照明・受 配電設備、ドア施錠・酸素濃度測定等の防災安全設備を総合的一元的に管理する中央監視シ ステムを併せて整備しており、不法侵入がないか、設備に異常がないか等の常時監視を行い、 高度なセキュリティ維持・都市施設運営を行っています。
・なお、下水道は自然流下での整備が 必要なことから、ガスは危険なことから、共同溝には入れていません。
・また、タウンセンターでは、環境配慮、防災、都市景観の向上のため、地域冷暖房施設を導入しています。 地域冷暖房施設とは、ビルごとに設置する冷暖房機器を、地域冷暖房プラントに集約して、各ビ ルに温水・冷水として熱供給するシステムです(冷熱:7度、温熱:80度等)。
・この施設導入のメリットは、「大気汚染防止による環境保全の向上」「省エネルギー問題への 対処」「地域プラントによる熱エネルギーの安定供給・高水準サービスの具現化」「個々のビルス ペースの有効利用化・防災性向上による安全性の確保」等があげられます。
・港北NTTCでは、 都筑区総合庁舎・ショッピングタウンあいたい・港北TOKYU S.C.・サウスウッド・都筑警察署・横 浜市北部病院・都筑郵便局などに熱供給を行っています。
・センター南、北駅の駅前広場の下には地下駐車場を整備しました。この2つで約1,100 台です。



22 立地施設
センター用地への換地希望が少なからずあったことから、申出換地を実施しています。
・タウンセンターでも約19haの申出換地を行いましたが、想定を上回ったことから、グループ討議 にて面積等を調整をしました。 ・多機能複合都市への転換にあたり、タウンセンターも大規模街区に変更、再度申出調査を実 施し、グループ討議で調整しています。
・特にセンター北・南駅前それから港北中央地区に設定した共同義務化街区では、共同利用を 前提に申出してもらい、「短冊」形状に換地のうえ、大規模商業施設を誘致しました。(センター 北:都筑阪急百貨店、センター南:港北東急百貨店、港北中央地区:みなも)
タウンセンターの主な立地施設は以下のとおりとなっています。
・商業施設(モザイクモール・ノースポート・モール・ショッピングタウンあいたい、港北東急S.C・ 港北みなも等)
・業務施設(横浜貯金事務センター、野村総合研究所等)
・公益施設(都筑区総合庁舎、横浜市歴史博物館、昭和大学横浜市北部病院、都筑郵便局、 都筑警察署、都筑消防署等)
また、センター用地については、意欲ある権利者の土地利用意向を換地に反映することにより、 計画的なセンターづくりを行い、タウンセンター地区では「共同化義務街区による大規模商業施 設の立地」を図りました。
・共同化義務街区では、地権者の換地を短冊形状・バーコード形状にし、地権者個人の独自利 用リスクを回避しています。
・センター北、南、それぞれの共同化義務街区の地権者が建設組合等を設立し、大規模商業施 設(北:都筑阪急百貨店、南:港北東急百貨店)を誘致しました。
・ニュータウン内には、住環境に配慮した研究所・研修所、オフィスビルを誘致しています。複合多機能都市を目指すことで、街の魅力を高めることに加え、地方自治体の税収増による財政や地域の雇用増を目指しています。
住宅単独の開発は、収入より行政コスト増となり、都市運営上も課題があります。

23 街づくり協定
港北ニュータウンにおけるまちづくり誘導について説明します。
・港北NTでは、良好な環境で魅力あるまちづくりを永続的に維持・誘導していくため、「横浜市 街づくり協議」をはじめ、「街づくり協定」(タウンセンター、駅前センター、近隣センター)や「地区 計画」(タウンセンター)等の各種制度を導入しています。他、一部の区域では、建築協定を定め、 まちづくり誘導を実施しています。
・港北NTでは、まちづくり誘導・まちなみ誘導について、横浜市・市民(地元地権者)・都市機構 がともにタイアップし取り組んできました。
・街づくり協議は、港北NTのほぼ全域が対象となっており、建築を行うときは、この街づくり協議 の手続きが必要となっています。
・具体には、港北NT全域において、一般住宅地区、共同住宅地区、近隣センター地区、計画建 設用地、駅前・タウンセンター地区、工場倉庫地区などがその協議対象とされています。
・街づくり協議での、建築に関するルールに則るように、皆が建築することにより、港北NT全体で の、まちづくり誘導、まち並み誘導を実現させています。
・具体には、建物用途、敷地面積、壁面後退、緑化指導、かき又は柵の構造、駐車台数等、まち づくりを誘導する各種要素が定められており、これらにより港北NT全体で、まちづくり誘導、まち なみ誘導の取り組みが行われています。


24 土地利用計画
こちらは港北ニュータウンの土地利用になります。
・早渕川を挟んで、北に港北第1地区、南に港北第2地区となっており、港北第1地区と港北第 2地区とを結ぶネック部分を港北中央地区として整備しました。
・土地区画整理事業で整備した区域は、着色された区域となります。(うすい緑色:農業専用地 区と、うすい紫色:既存開発区域等は土地区画整理区域外)
・港北ニュータウンの中央で、横浜市営地下鉄3号線と4号線がX字状に通っており、区域内に は6つの駅があります。
・港北ニュータウンでは、マスタープランの策定にあたり、いくつかのパイロットプランが検討され ましたが、検討の結果、最終的に、タウンセンターをニュータウンの中心に設け、主要街路は、タ ウンセンターに求心性を持たせるよう配慮し、東西・南北方向へのはしご(ラダー)型を骨格とす る配置に計画されました。
・センター北・南駅を中心とするニュータウンの中央部には大型商業施設が集積するタウンセン ター地区が配置され、その他の駅の周辺に商業集積する駅前センター地区を配置しています。
・幹線道路沿いに研究施設やオフィスビルなどを配置しています。さらに、区域の縁辺部、第三 京浜道路都筑ICや東名高速道路の横浜青葉ICの隣接部等には、工業施設を配置しています。
・土地区画整理事業の実施による保留地、公団先買地による換地を利用し、計画的に、集合 住宅、商業施設、学校等教育施設、企業の研究所、病院等の商業・業務・サービス・文化施設 の集積、各種施設の立地を図り、横浜の「副都心」機能と首都圏の「業務核都市」機能を持った、 多機能複合型まちづくりを目指した市街地整備を行いました。
・土地区画整理事業区域の外側の、北と南には農業専用地区(うすい緑色:市街化調整区域) があり、農業用地として利用されています。

25 整備の変遷
昭和50年1月、港北第1・第2地区の事業認可後すぐの頃の写真と、事業完了後、令和2年6 月の写真です。
・事業認可後すぐの段階では、谷筋に集落が見えるほかは田畑や林が残っている状況でしたが、 事業実施により、市街化されたのがわかります。
・特にタウンセンターや、幹線道路の沿道沿いに大きな建物が立っているのがわかると思います。
・他、ビルドアップされた市街地の中に、公園や斜面林、保存緑地等の緑のグリーンマトリックス も確認できます。
・隣接する農業専用地区との違いも航空写真をみると明解に確認できるかと思います。
・港北ニュータウンで行った土地区画整理事業により、大きく市街化されたのが確認できるかと思います。
都会の利便性と自然の豊かさを兼ね備えた、住み心地抜群の港北ニュータウン。一度、訪れてみてはどうですか。
[参考]
このような大規模な都市開発は、国内では実施されることはありません。
note記事にした理由の一つは、将来、これらの街の都市機能を更新する時、作る時の計画や事業の考え方が分かっていた方がより効果的な更新が可能になると思ったからです。何かの参考になることを願っております。
実は、社会人になって初めて関わった都市開発が港北ニュータウンです。
1983年の街びらきで忙しい時期に現場に着任したので、家に帰れるのは週の半分程度。現場で寝泊まりすることが多かったです。
その他の街づくりも次のとおり紹介しています↓
