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【臨床評価×動作分析】大腿骨前捻角が与える影響〜歩行が明かす関節への意外な負担〜

変形性股関節紹介や膝関節症など、関節を変形させてしまう要因としては体重がありますが、他にもあります。

その1つが大腿骨の過前捻と言われています。
つまり、正常より大きい前捻角という事です。

ただ、それが原因であるとはっきりと言われているわけではなく、可能性のひとつとして考えられるというものです。

研究では、前捻角が大きいと筋力や関節可動域に影響を与えると言われています。

では、動作にはどの様な影響を与えるのでしょうか?

今回紹介する研究は、大腿骨前捻角が歩行中に与える関節への負荷を調査したものです。

内容としては、タイトルとは裏腹に、ある点において負荷がかかる事が証明されています。

果たしてどの点でしょうか?

そして、今回は歩行などの動作分析に関して私見を交えて述べていきたいと思います。

タイトル

“Increased Femoral Anteversion Does Not Lead to Increased Joint Forces During Gait in a Cohort of Adolescent Patients”

日本語訳

「大腿骨前捻角の増加は、青年期患者の歩行における関節負荷の増加につながらない」
となります。

今回の要点はこちら

【研究要点】
大腿骨前捻角の増加は、歩行中の股関節・膝関節の負荷増加を引き起こさないことが確認された
膝関節の過剰な屈曲(終末立脚期でのKneeFlextSt増加)が、膝蓋大腿関節への負荷を増大させる
静的な大腿骨前捻角の評価だけでは不十分で、歩行パターンの評価が重要である

では、要約です。


1.【研究の目的】

大腿骨前捻角の増加が関節への負荷にどのような影響を与えるかを検討するため、青年期の患者の歩行時の下肢運動学、関節モーメント、および関節力を評価した。

コメント
大腿骨前捻角により関節の適合が変化することで、股関節でカバーしきれない部分が他の関節への負荷となる可能性が考えられます。


2.【対象と方法】

  • 対象:

    • 大腿骨前捻角が増加した患者群(n = 42, 平均12.8歳, 前捻角39.6 ± 6.9°)

    • 対照群(n = 9, 平均12.0歳, 前捻角18.7 ± 4.1°)

  • 方法:

    • CT/MRIによる大腿骨前捻角の測定

    • 3Dモーションキャプチャー力板を用いた歩行分析

    • 個別の筋骨格モデルを作成し、股関節・膝関節の関節モーメント・関節力を計算

    • 統計的パラメトリックマッピング(SPM)を用いた比較解析

コメント
大腿骨前捻角がここまで大きい方はたまにいらっしゃいますが、その方は膝や股関節の疾患にかかっている方が多いように感じます。


3.【主な結果】

(1) 患者群は対照群よりも関節力が低下

  • 股関節および膝関節の圧縮力有意に低下(p < 0.05)

  • 股関節の内旋や足の内向き歩行(in-toeing)は関節負荷と関連しない

(2) 膝関節終末立脚期(Terminal Stance)での屈曲角度が関節負荷に影響

  • 膝の過剰な屈曲がある患者(歩行解析より分類)は、

    • 四頭筋の膝蓋骨への負荷が増加(p < 0.05)

    • 膝関節の後方剪断力(posterior shear force)が増加(p < 0.05)

(3) 股関節の内旋や足の内向き歩行(in-toeing)は関節負荷と関連しない

  • 大腿骨前捻角の増加だけでは、関節負荷の増大を引き起こさない

  • 個々の歩行パターンが関節の負荷に影響する


股関節接触力・膝関節接触力・大腿四頭筋力の比較を示したグラフ
  • 対照群(Control)を基準(100%)として、

  • 患者群(通常のKneeFlextSt)は股関節・膝関節の負荷が低下し、四頭筋力はやや増加

  • 膝の過剰な屈曲を持つ患者群(Excessive KneeFlextSt)は、四頭筋の負荷がさらに増加(膝蓋骨への負荷増大)

このように、膝の過剰な屈曲がある患者では膝蓋大腿関節の負荷が増加する可能性が示唆される。

コメント
股関節や膝関節への負荷は増えずむしろ減っているとの結果は予想外でした。形態よりも立脚後期で膝の屈曲が過剰に生じるという歩行時の代償パターンが負荷をかけているようです。


4.【考察】

  • 大腿骨前捻角の増加だけでは関節ストレスの増加に直結しない

  • 歩行パターン(特に膝の過剰な屈曲)が関節負荷に影響を与える

  • 手術適応の判断には、大腿骨前捻角の静的評価だけでなく、歩行分析など動的評価が必要

コメント
歩行という動作で代償が生じることが非常に大きな負荷をかけることにつながるわけですね。


5.【臨床的意義】

  • 単に大腿骨前捻角が増加しているだけでは手術適応とならない可能性が高い

  • 膝関節の屈曲角度が過剰な患者では、膝蓋大腿関節の負荷が増加するため注意が必要

  • 歩行分析を活用し、患者ごとに動作評価を行うことが重要

コメント
大腿骨前捻角に異常な方は歩行の特に立脚後期での膝のアライメントを確認するべきですね。逆に言うと、立脚後期で膝が過剰に屈曲位を呈している場合は大腿骨前捻角が増加している可能性も考えられるのではないでしょうか?

6.【まとめ/動作分析の方法】

いかがでしたか?

今回は大腿骨前捻角が他の関節にどのような負荷を与えるのかという研究でしたが、歩行の際に特に影響が出るようですね。

この研究から、代償動作というのは関節に非常に大きな負荷をかけることにつながり、それがやがて関節の変形や疼痛という症状を生じさせる可能性があるということだと思います。

逆に言うと、いろいろなパターンで生じる代償を見抜き、正常な動作パターンへと修正できると疼痛を軽減させられる可能性が高まると考えられます。

動作を正しく見れる眼を持つことが必要ですね。
また、思い込みで観ないようにする必要もありそうです。

動作分析に関して

私は、歩行を見る際は動作がスムースでなめらかであるかをまずみています。

どこかに窮屈なだと感じられる部分があったり、不安定な感じがするといった感覚をつかみ、それがどの関節で生じているのかを見つけます。

そしてその部分と、全体の動きを統合して考えます。
例えば、立脚時に過剰にknee-inしている膝関節疾患の方がいたとします。膝は荷重に伴い捻じれて、窮屈な印象を受けることがあります。

そして全体を見たときに体幹がknee-in側に傾斜していたとすると、臀部筋群の働きが悪いと予測し、
臀部筋群での股関節安定性が不十分な結果knee-inという現象を生じさせている
と考えます。

もちろん他の可能性もありますが、ベッド上で触診やその他の評価を行い、仮説を検証していきます。

このようにまずは感覚的に捉えることも必要だと思います。皆さんはどのように行っていますか?

教科書的な方法も大事ですが、それを応用し、根拠のある自分なりの評価と分析の手法を確立いていくことも素早く適切な分析と治療につながるのではないでしょうか?

以上で紹介を終わります。

7.【参考文献】

また学びになる研究がありましたら紹介します。よろしくお願いします。


ー大腿骨前捻角に関してはこちらもどうぞー


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