見出し画像

SoFiがVisa・Masterを揺さぶる日 ―ステーブルコインがもたらす決済の進化【前編】

先日「GENIUS Act」と呼ばれる、米ドルと連動した「支払いや送金に使用されることを目的としたステーブルコイン(Payment Stablecoin)」に関する包括的な規制法案が、米上院で可決された。

ステーブルコインとは、米ドルなどの法定通貨と価値が連動するよう設計された暗号資産のことで、ビットコインやイーサリアムのような価格変動の大きい暗号資産とは異なり、1コイン=1ドルのように、常に安定した価値で交換できることを前提としたものである。

過去には、十分な裏付け資産を持たずに発行された、ステーブルコイン(自称)の価格が急落し、紙切れ同然となった例もあった。

しかし、今回の法案では、Payment Stablecoinの発行者に対し、現金や短期国債など、価値の安定した資産の保有を法的に義務付けている。これにより、今後はステーブルコインが信頼できる支払いや送金手段として、広く利用される道が開かれたことを意味する。

また、この上院での可決に呼応するかのように、SoFiは国際送金サービスと暗号資産サービスの開始(それぞれ今年後半に予定)を発表した。これは単なる国際送金サービスや暗号資産の売買にとどまらず、ステーブルコインの発行を視野に入れた構想である可能性もある。まだ想像の域を出ないが、今後、SoFiにどのような変化が起き得るのか、考えてみたい。

※補足
「GENIUS Act」において、Payment Stablecoinの発行主体は「連邦政府公認の銀行」または「登録済みの非銀エンティティ(銀行ではないものの米国の規制当局に登録された企業や組織)」に限定されている。当然、SoFiは連邦政府の認可を受けた銀行のため、ステーブルコインの発行が可能だ。

<クレジットカード決済の課題>
現在のクレジットカード決済には以下のような構造的課題がある。

1.決済手数料が高い
お店側は、売上の数%程度の決済手数料を支払う必要があり、ほかにもクレジットカード決済の導入には初期費用や運用コストが発生する。よって、小売価格にこれらコストが実質転嫁されていると言える。

2.入金まで時間がかかる
クレジットカードからの売上は、入金までに数日程度かかることが多く、お店側は資金繰りの悪化要因となり得る。

3.情報漏洩リスク
クレジットカード番号やクレジットカード裏面にあるセキュリティコードが盗まれると、不正利用が容易に起きる。この不正利用により、お店側が損失を被ることがある。

<ステーブルコインの活用による変化>
上記問題に対して、ステーブルコインの活用により、以下のように変わる。

1.手数料の激減
クレジットカード決済には、決済代行業者、カード発行会社(例:三井住友カード・楽天カード)、決済ネットワーク提供会社(例:Visa、Master)などがかかわっている。そのためそれぞれでコストが発生するが、中間業者の排除により、決済手数料は大幅に削減される。

2.即時決済・即時着金
決済がほぼリアルタイムで完了するため、売上金もすぐに店舗に届き、キャッシュフローが改善する。

3.セキュリティ強化
秘密鍵(本人しか知り得ない、複雑なパスワードのような情報)で管理され、カード番号のような情報漏洩リスクが低く、不正利用のリスクが大幅に軽減される。

ステーブルコインの利用は多くの小売事業者や消費者にとって、大きなメリットが生まれる。SoFiはステーブルコインの発行とステーブルコインによる決済手段の提供を通じて、より便利な未来を創ろうとしている可能性がある。

【現在の決済構造】
「決済代行業者」「カード会社」「Visa、Masterなどの決済ネットワーク提供会社」など、多数の中間業者が存在する現在の決済システムで、お金も時間もかかり、セキュリティリスクも高い。

【将来の決済構造】
SoFiが開発したアプリを通じて、SoFiが提供するステーブルコインによる決済ネットワークで取引を即座に完了させ、1社ですべて完結。加えて、SoFiの技術プラットフォーム部門がステーブルコインを活用した決済ネットワークの提供をBaaS(Banking-as-a-Service)として各社に提供し、速くて安くて、安心な取引を実現。

これが実現できれば、Visa・Masterなど、既存の決済ネットワーク提供会社の牙城を崩しにいくことが可能となる。クレジットカードの手数料を削減したい会社は無数に存在する。

後半は「SoFiが狙う新たな収益源 ― ステーブルコインがもたらす送金革命とBaaS戦略【後編】」を記載予定です。後編もどうぞお楽しみに。

【免責事項】 本ブログは情報提供を目的とし、特定の金融商品や投資手法を推奨するものではありません。内容は執筆時点の情報に基づき、将来的に変更される可能性があります。投資判断は自己責任で行い、十分な調査のうえ決定してください。本ブログの内容を基にした投資損失について、当方は一切の責任を負いません。また、外部リンクや第三者情報の正確性も保証するものではなく、各自の判断でご利用ください。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー