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ステーブルコインはドル箱?SoFiへの株価インパクトを試算④―Airbnb・UberがSoFi Coinを使う日

前回は、「GENIUS Act」により、SoFiがステーブルコイン市場で“制度的優位”を持つことを見た。では、「現実の市場」では何が起きているのか。
毎日、世界中で膨大な数の決済が行われている。その裏側では、巨額のコストが企業の収益を圧迫している。今回は、その代表的な例としてAirbnbUberを取り上げ、ステーブルコインがもたらす変化を数字で検証していく。

AirbnbとUberはいずれも、世界で数億人規模の利用者と5百万人を超えるサービス提供者(ホスト・ドライバー・配達員)を抱える巨大プラットフォーマーである。もしステーブルコインが支払いに使われた場合、どのような変化が起きるのか。両社の現状と潜在的インパクトを検証する。

1. Airbnb(ABNB)
<国境を越える「宿泊代の支払い」>
世界220を超える国と地域で展開するAirbnb。宿泊者が支払った代金は一度Airbnbが預かり、ホストに送金するという流れになっている。

Airbnbでは、宿泊者とホストが異なる国にいるケースも珍しくない。たとえば、日本の宿泊者がタイのホストに支払う場合、以下のような多段構造になる。

・宿泊者のクレジットカード → カードネットワーク(Visa/Mastercard)→ 決済代行 → Airbnb → ホストの銀行

※この過程で「円 → ドル → バーツ」と両替が発生。円からバーツへの直接両替も可能だが、流動性や清算ルートの制約から、ドル経由の方が安く、取引の安定性も高い。

そのため、国際送金手数料、為替手数料、着金までの時間(数日〜1週間)といったコストが発生する。

<膨れ上がる莫大なコスト(Airbnb)>
Airbnbの2024年における総予約額は約820億ドル、このうちホストへの支払いは年間約700億ドル(約10.5兆円)となっている。

平均4%のコストが発生していると仮定すると、

700億ドル × 4% = 約28億ドル(4,200億円超)

わずか4%の手数料だけで、年間4,200億円ものお金が“単なる送金コスト”として消えている。

2. Uber(UBER)
<世界各地における給与支払い>
Uberのドライバーや配達員は、世界全体で700万〜900万人規模に達しているとみられる。Airbnbと同様、利用者が支払った代金は一度Uberが預かり、ドライバーや配達員に送金する。

Uberは国ごとにさまざまな決済基盤を使い分けているものの、銀行やカードネットワークなどを介するため、必ず手数料が発生している。

<膨れ上がる莫大なコスト(Uber)>
モビリティ(配車)とデリバリー部門の2024年の総予約額は約1,580億ドル、ドライバーや配達員への支払は年間約1,200億ドル(約18兆円)となっている。

平均2%のコストが発生していると仮定すると、

・1,200億ドル × 2% = 約24億ドル(約3,600億円)

こちらも巨額のコストが発生している。(Airbnbとの手数料率の違いは、Airbnbは国際送金あり、Uberは原則国際送金なしのため。)

<もしステーブルコインが使えたら>
ステーブルコインを導入すれば、多くの支払いは数秒で完結し、手数料もほぼゼロになる。

支払う側にとっては巨額のコスト削減、受け取る側にとっては即時入金と資金繰りの改善――、両者にとっての利便性は飛躍的に高まる。同時に、SoFiにとってはステーブルコインの裏付け資産となる国債などから多額の金利収入を生む。

支払う側、受け取る側、そして発行する側――すべての関係者にメリットが生まれる。

<ステーブルコインの広がり方>
もちろん、現実には法的・制度的な壁が存在する。

マネーロンダリング防止・顧客確認・ライセンスなどの要件は各国で異なり、ひとつのステーブルコインで全世界の支払いを網羅するのは不可能だ。したがって、最初は、米国内の「国内送金」から始まり、段階的に「国際送金」へと広がる可能性が高い。

また、B2B分野においては、Circleのような強力な競合も存在し、SoFiが主導権を握るには慎重な制度対応、技術的信頼の構築、実績の積み重ねが不可欠である。よって、SoFiが目の前に広がるAmazon、ウォルマート、Airbnb、Uberなど、大手企業とのビジネスをものにできるかは現時点では不確かだ。

とはいえ、宿泊予約サイトを運営する「Booking Holdings」、オンラインストア構築プラットフォームを提供する「Shopify」、オンライン決済の仲介を行う「PayPal」、さらに動画配信サービス大手「Netflix」、フードデリバリーサービス「DoorDash」、配車・決済アプリ「Grab」など、多額の決済手数料を払っている会社は例をあげればきりがない。

すなわち、ステーブルコインが生み出す新たな価値には、無限のビジネスチャンスが眠る「ブルーオーシャン」だ。

AirbnbやUberのような企業にとって、決済の非効率は「損失」であると同時に、改善余地が極めて大きな領域だ。その課題を解決できるプレイヤーが現れたとき、決済のルールは書き換えられる。

SoFiがその座を射止めることができれば、「強烈な利益エンジン」が追加される。次回は、クレジットカード決済のわずか5%がSoFi発行のステーブルコインに置き換わったら、いくらの利益を生むか――。その巨額の数字からSoFiのポテンシャルをはかる。

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