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ステーブルコインはドル箱?「GENIUS Act」がもたらすSoFiの制度的優位【株価インパクト試算③】

前回は、SoFiがTetherやCircleと比べてどのような競合優位性を持つのかを整理した。今回は、その優位性を制度面から裏づける「GENIUS Act」の内容と、SoFiがステーブルコイン市場で「最初に動ける銀行」となる理由を見ていく。

<SoFiの時間的優位性>
2025年7月に成立した「GENIUS Act」は、ドル連動の支払型ステーブルコインの包括的な枠組みを定めた初の連邦法である。施行時期(=法律の運用開始時期)は「規制当局が最終規則を定めてから120日後」または「法律公布から18か月後」のいずれか早い方と定められている。

最終規則は法案成立から1年以内に制定することが義務付けられており、形式上は、2026年7月までに制定される。ただし、各種調整に時間を要し、実際には数か月遅れる可能性もあり、その場合、そこから120日後の2026年末〜2027年初頭に施行されることになる。

一方、「法律公布から18か月後」の施行期限は動かすことができないため、もっとも遅い場合でも2027年1月までには確実に施行される

また、2025年春にOCC(通貨監督庁)が公表した解釈書により、銀行による暗号資産の預かり業務やステーブルコイン関連の活動は正規の銀行業務として認められた。これにより、銀行免許を持つ企業はGENIUS Actの施行直後からステーブルコインの発行が可能になる。

半面、銀行免許を持たない企業(非銀行事業者)はGENIUS Actの施行を待ち、その後に申請・審査・承認のプロセスを経る必要があり、免許取得まで1年前後の時間を要するだろう。すなわち、銀行免許を持つSoFiより確実に参入が遅れる。加えて、GENIUS Actの施行後は、非銀行事業者が発行する既存のステーブルコインは継続可能だが、新たな発行やサービス拡張には制約がかかる可能性がある。

この時間的優位性は、ステーブルコイン市場でSoFiがシェアを拡大するうえで、大きな武器となる。

こうしてGENIUS Actそのものが、SoFiには「追い風」となる一方、他社には「参入障壁」として立ちはだかる。この二面性こそが、SoFi優位の核心である。

<SoFiの収益的優位性>
さらに、非銀行事業者がステーブルコインを発行する場合、準備金を外部の信託銀行に保管する必要がある。したがって、準備金から生じる金利収益をすべて自社で享受できない。

対照的に、銀行免許を保有するSoFiは、ステーブルコイン発行の裏付けとなる短期国債などの資産(準備金)を自社で保有し、そこから生じる金利収益をそのまま取り込むことができるため、収益構造の面でも明確な優位性を持つ

<SoFiの構造的優位性>
TetherやCircleが築いたステーブルコイン市場は、もはや「ドル箱産業」と呼ぶにふさわしい規模へと成長した。しかし、両社はいずれも現在米国での銀行免許を持たず、また金融サービス全体を自ら完結できるエコシステムを構築していない。

そのなかで、銀行免許を持ち、預金・投資・融資などをワンストップで提供できるSoFiは、制度が味方する数少ないプレイヤーの一つだ。

そのうえ、SoFiは、約1,200万人の会員に加え、BaaS(Banking-as-a-Service)を通じて約1億6,000万人の外部ユーザー基盤ともつながっている。銀行としての信用力を持ち、準備金からの運用収益もすべて得られることも含め、制度面・ネットワーク面・収益面の三拍子がそろった「最初に動ける銀行」となる。

ステーブルコインを起点に送金・決済・資産運用などの金融サービスが一体化していけば、SoFiは「ワンストップで金融サービスを提供する会社」から、「金融インフラそのものを提供する会社」へと進化していく可能性がある。

そして、真の転換点は、制度が「実際の取引」に落ちた瞬間に訪れる。法律が現実の経済行動と結びついたとき、はじめて制度は市場を変える。

次回は、ステーブルコインが現実の「決済」にどのようなインパクトをもたらすのか、その代表格として、世界中で人と人、お金とお金をつなぐAirbnbUber――。彼らがステーブルコインを使い始めたら何が変わるのかを見ていく。

おそらく多くの人が、2社の巨額の決済額に驚くはずだ。

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