ステーブルコインはドル箱?SoFiが仕掛ける「決済革命」とリアルタイム経済圏の誕生【株価インパクト試算⑤】
前回は、AirbnbやUberが抱える決済コストの現実を見た。今回は視点をSoFiに移し、もしクレジットカード決済の5%がSoFiのステーブルコインに置き換わったら、SoFiの収益構造がどれほど変わるのか――。具体的な数字をもとに、その潜在的インパクトを試算していく。
<「半世紀」続いた決済インフラ>
クレジットカード決済は1970年代に確立して以来、その基本構造は半世紀にわたりほとんど変わっていない。
決済代行業者、カード発行会社、決済ネットワーク提供会社(例:Visa、Mastercard)など、多くの仲介者を経て清算される。消費者の支払いはすぐに完了しても、実際にお店にお金が入るのは後日。その間に数%の手数料が差し引かれる。
<SoFiが描く再設計>
SoFiが挑む「決済の再設計」は、半世紀ぶりの“金融インフラ革命”とも言える。ブロックチェーン技術を用いることで、決済・清算・送金の全工程をリアルタイム化し、これまで複数の仲介者を介して行われてきた取引を、一気通貫で完結させることが可能になる。
たとえば、従来のカード決済では「消費者→カード会社→決済ネットワーク→銀行→お店」と、いくつもの中間業者を経由して清算が行われてきた。一方、SoFiのステーブルコインを利用すれば、ブロックチェーン上で取引が直接記録され、SoFiネットワーク内で即時に清算が完結する。よって、中間業者が不要となり、消費者からお店に資金が即座に移転する。
銀行の営業日や時間帯の制約もなく、週末でも数秒で資金が清算できる。既存のVisaやMastercardネットワークを経由する必要もない。手数料構造は極限まで簡素化される。つまり、「時間」と「コスト」という2つの課題を同時に解消するのが、SoFiの狙う決済インフラの再設計である。
<お店やECサイトにとってのインパクトは絶大>
こうした再設計がもたらす効果は、単なるスピード改善にとどまらない。数%の手数料削減でも、企業規模によっては年間数千億円単位のコスト圧縮につながる。
AirbnbやUberといったプラットフォーム企業はもちろん、Amazonやウォルマートのように米国内だけで数十兆円規模の取引量を抱える企業では、そのインパクトは計り知れない。手数料負担が軽減され、さらに入金までのタイムラグがなくなることで、資金効率が大幅に改善する。
一方SoFiは、自社が発行するステーブルコインの裏付け資産を短期国債などで運用し、そこから得た利息収入の一部をお店へのキャッシュバックとして還元することも可能だ。つまり「消費者・お店・SoFi」の三者がすべて利益を得る、“三方よし”の新たな決済エコシステムが形成される。
<もし5%がSoFi経由になったら?>
年間の総決済取扱高はVisa約15兆ドル、Mastercard約10兆ドルである(American Expressなどのほかブランドは割愛)。
仮に、このうち5%がSoFiのステーブルコイン決済に移行した場合、年間で1兆2,500億ドル(25兆ドル×5%)の取引がSoFiネットワークを通過する。このとき、SoFi Coin(仮称)の発行額はおそらく300億ドル~500億ドル程度に膨らむのではないだろうか。
※決済に使われたステーブルコインは、繰り返し再利用されていくため、必要な発行残高は取引総額の数%程度と想定。
このとき、SoFiが得る収益源は大きく二つある。
一つは、ステーブルコインの裏付け資産から生じる運用益。もう一つは、お店あるいはBaaS事業を通じて法人顧客から得る各種手数料である。
仮に、ステーブルコイン発行額を400億ドル、今後の金利低下を見込み、保守的に年利2%とすると、準備金運用収益は「400億ドル×2%=8億ドル」となる。この運用収益部分は実質的な原価はほとんどなく、営業利益率は90〜100%近く見込める。
加えて、手数料収入(SoFiの取り分)を0.05%とすると、「Visa/Mastercardの年間の総決済取扱高25兆ドル×5%×0.05%=6.25億ドル」となる。営業利益率はVisaの60%台前半、Mastercardの50%台後半を踏まえ、保守的に50%程度と見積もるのが妥当だろう。
上記試算に税率25%を考慮すると、年間で約8億ドル前後の純利益ポテンシャルが見えてくる。(8億ドル×90%+6.25億ドル×50%)×(1−25%)=約8億ドル。
2025年通期の最終利益見込みは3.7億ドルのため、ステーブルコイン事業から得られる利益は、上記試算が成り立てば「クレジットカード決済」の分野だけで数倍規模の押し上げとなる。
もちろんこれは中長期的な話だ。VisaやMastercardが長年にわたって築いた決済網をすぐに置き換えることは簡単ではない。
しかし、GENIUS Act施行後、急激に変化が進む可能性も十分ある。なぜならば、前回見たように膨大な決済手数料と入金遅延に悩む企業は無数にあり、ステーブルコイン導入の効果は極めて絶大になるからだ。
こうした「決済」分野における変革は、ステーブルコインが持つ力の一部に過ぎない。次回は、ステーブルコインが“日常の中”でどのように根付き、経済の仕組みそのものを変えていくのかを見ていく。当然、ほかの分野でもステーブルコインが根付けば、SoFiの利益はさらに膨らんでいく――。
※SoFiの挑戦は、まだ始まったばかりです💪 この先に何が起こるのか、一緒に追いかけていきたいと思います。よければ「スキ」💖や「フォロー」をして、次の展開を見守ってもらえると嬉しいです✍️
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