「金融スーパーアプリ」への挑戦──SoFiが描くプラットフォーム戦略
金融業界でも「プラットフォーム化」の波が押し寄せているように思う。
GAFAMをはじめとするテクノロジー企業が、消費者とサービス提供者をつなぐ仕組みを「プラットフォーム」として提供し、圧倒的なスケールと収益を獲得してきた。金融業界でも同様の構造変化が進めば、他社を寄せ付けない存在感を持つ企業が新たに誕生することになる。
SoFiは、銀行・証券・保険・ローンといったあらゆる金融機能を統合した「金融版スーパーアプリ」として、他のフィンテックとは一線を画す存在になりつつある。
果たして、SoFiは金融業界における覇者となり得るのか。他社を寄せ付けない存在へと成長する鍵は、ワンストップサービスと、BaaS(Banking-as-a-Service)の二層構造にある。
<プラットフォーム事業とは>
「プラットフォーム事業」とは、消費者と企業、出品者と購入者、アプリ開発者とユーザーなどを結びつける仕組みや場所を提供するビジネスモデルのことである。
具体的には、以下のような企業がプラットフォーム事業を展開している。
Google:検索する人とWebサイトをつなぐ「検索プラットフォーム」
Apple:アプリ開発者とiPhoneユーザーをつなぐ「アプリ配信プラットフォーム」
Meta(旧Facebook):ユーザー同士をつなぐ「SNSプラットフォーム」
Amazon:出品者と購入者をつなぐ「ECプラットフォーム」
Microsoft:OS、Office、Azureなどの「ビジネスプラットフォーム」
Airbnb:ホストと旅行者をマッチングする「宿泊プラットフォーム」
Uber:ドライバーとユーザーをマッチングする「配車プラットフォーム」
<SoFiの金融プラットフォーム戦略の特徴>
代表的な金融プラットフォームとして、Robinhoodの「証券プラットフォーム」、PayPalの「決済プラットフォーム」などがある。多くのフィンテックが「単機能の尖り」で勝負する中、SoFiだけが「ワンストップサービス」で真っ向勝負を挑み、多層的な広がりを持つプラットフォーム型戦略を採用する点が、SoFiの大きな特長である。
これにより、ユーザーは預金・ローン・投資・保険といった金融サービスを一括して管理できる。他社に移る場合、「高金利の預金が使えなくなる」「ローン優遇が適用されなくなる」「投資口座が分散する」といった不利益が生じやすく、その結果、SoFiにとどまる強い動機づけが働く構造になっている。
これは、Amazonがプライム会員向けに配送特典、Prime Video、Prime Musicなど、複数のサービスを束ねることでユーザーを囲い込んでいるのと構造的に似ており、SoFiもサービス間の相乗効果を活かした巧みな囲い込み戦略を展開している。
<SoFiの二層構造の金融戦略>
加えて、SoFiは自社の金融インフラを外部企業にも提供する企業向けのBaaS(Banking-as-a-Service)事業も並行して展開している。
つまり、「個人のあらゆる金融ニーズをワンストップで満たすサービス」と「他社に金融インフラを提供するBaaS型プラットフォーム」という両輪を組み合わせた「二層構造の金融戦略」を採用している。この「自社利用」と「外部提供」の両輪によって、SoFiのプラットフォーム基盤はより強固なものとなっている。
SoFiのBaaSは、住宅ローンやクレジットカード発行機能を自社で持たない企業にも、銀行機能をサービス提供できる。これは、AmazonがAWSを通じて、あらゆる企業にインフラを提供している構造と似ており、安定的なB2B収益源となっている点でも注目されている。
この二層構造は、金融業界においてSoFiがWinner Takes “Most”の地位を確立するうえで、有利に働くと考えられる。SoFiのプラットフォーム構想が完成すれば、「米国の金融スーパーアプリ」というポジションを独占し、金融業界の構造そのものを塗り替える可能性を秘めている。
また、SoFiのワンストップサービスは、将来的にブロックチェーンが「金融業界の壁」を壊し、銀行・証券・カードの境界があいまいになる時代に極めて有効に働くはずだ。
次回は『ブロックチェーンとスマートコントラクトが溶かす「金融業界の壁」―前編―』を予定している。SoFiの構造的な強みが、テクノロジーの進化とどう交わるのか――次回もお楽しみに。
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